生田緑地観察会
主催 青少年科学館

生田緑地観察会“里山の自然”

日時 2022/10/23(日) 11:00〜12:00 晴
ガイド講師 特定非営利活動法人かわさき自然調査団
       水田ビオトープ班班長 岩田臣生
  サポート 事務局長 岩田芳美
観察会参加者  9 人(大人 7 人、子ども 2 人)
同行 中健一郎、服部隆博(青少年科学館)

水田ビオトープ班岩田がガイドする「里山の自然」は、中央地区北側の谷戸を歩いて、生きものとの出会いを楽しみたいと考えました。
この谷戸の園路(自然探勝路)は狭いので、定員10人募集にしていただいた結果、参加者は9名でした。
この谷戸は離れているので、青少年科学館前に集合して、挨拶を済ませてから直ぐに出発しました。


北側の谷戸に向かう前に、中央広場北雑木林(A26)に寄りました。
中央広場北雑木林(A26)は、2011年12月に、それまでヤブに過ぎなかった雑木林のアズマネザサ、竹、常緑樹などを除伐して、低木層にヤマツツジが咲く、明るい雑木林を目標に管理してきた地区です。
この地区は、来園者の皆さんに、生田緑地の雑木林を知ってもらう展示林として管理している地区なので、ここだけでも季節によっては、観察会ができますが、 この日は天気が良かったので、アカトンボなどに出会えると思い、この雑木林は紹介に留めて、中央地区北側の谷戸の田圃に向かいました。


七草峠地区(A04)の中央園路に面した法面には、ススキが繁茂し、ハギが咲き始めていましたが、その中に、外来種のセイタカアワダチソウ、在来種のヤクシソウが黄色い花を咲かせていました。
キタキチョウが飛んでくれたのを観察しました。
この辺りの法面は、スミレの仲間が観察できるように管理している場所であることを説明しました。



生田緑地整備事務所近くの階段から、谷戸に降りました。

階段沿いで、タマノカンアオイを観察しました。
タマノカンアオイは、標本原産地が川崎市内である唯一の植物です。
川崎市民には知っていていただきたい植物です。

ツリフネソウは、花も残しながら、実をつけていて、熟した実を触って、弾かせて楽しむ参加者もいました。
昔は、庭にホウセンカを栽培している家庭が多かったので、ホウセンカのように弾くという説明が可能でしたが、最近では、ホウセンカを知らない人が普通になっているので、そのような説明は通用しなくなりました。

ヤブミョウガの実に、子どもが関心を示しましたので、中に無数の種子が詰まっていることを、自分で割って、観察してもらいました。

コメナモミが開花していたので、観察してもらいました。
花の形が独特で、面白い花です。
稲作の伝来とともに入って来た史前帰化植物がピクニック広場に分布しているのも面白いと思います。


園路脇に積んで置いた落枝にも、子どもが関心を示しました。
見上げれば、ナラ枯れコナラが枯枝を広げていましたので、ハンノキ林上のデッキで説明しようと思っていた生田緑地のナラ枯れの話を、ここで、することになりました。


ハンノキ林上のデッキで、萌芽更新地区の説明、生田緑地の地層と湧水の説明、湧水が染み出している場所に生えているミヤマシラスゲの観察と説明、 環境省特定植物群落ハンノキ林の説明などを行いました。
勿論、目の前に広がるナラ枯れコナラについても、省くことはできませんでした。



ハンノキ林の中では、実に移りつつあるノダケを観察し、ノダケの花にはスズメバチが吸蜜に来ることを話しました。



赤い実をつけているウメモドキを観察しました。
庭木として、良く使われるウメモドキは、このような湿地の樹木であることを説明しました。


大きくなったジョロウグモにも出会えました。


水流を覆うように枝を広げていたエゴノキの下側に、ヤマガラを観察できました。
声を出して観察しているのに、ヤマガラが次々に集まって来たのです。
エゴノキの実は取り尽くしたと思っていましたが、地面から1mほどの高さに広がった枝の下側でしたので、まだ種子が残っていたのかも知れません。

今年は手入れ不足でしたが、シロヨメナが咲いてくれていましたので、観察しました。



梅の木広場は草原になっていて、何処から来園した観察会なのか、チカラシバを観察しているグループがありました。
盛期を終えたコブナグサ、ヒッツキムシとなった実をつけたキンミズヒキなどを観察しました。


田圃に近い所で、オオアオイトトンボに出会いました。
オオアオイトトンボは、秋になると、繁殖のために、上の田圃に集まって来ます。
イノコズチに止まったオオアオイトトンボを観察しました。
オオアオイトトンボは、樹皮下に産卵する不思議なトンボであることを説明しました。



田圃周辺では、群生するミゾソバの花を観察しました。


天気が良かったので、アカトンボに出会えることを期待していました。
秋の日差しを浴びて、マユタテアカネが木道の手摺上に観察できました。
マユタテアカネは神奈川県東部では急減しているアカトンボであることを説明しました。



カラスウリの実や、ミスジマイマイも観察しました。

12時になったので、ここで、生田緑地観察会「里山の自然」を終わりにして、解散しました。
マユタテアカネや、オオアオイトトンボが連結して飛んでいる場面を観察できたので、急ぎ足で田圃まで来て良かったと思いました。


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Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation