生田緑地の生物多様性保全活動


谷戸の水辺保全など  
日時:2023/8/1(火) 9:00〜12:00 晴
場所 生田緑地 湿地地区(B05)、田圃地区(B06)
参加者 岩田臣生

今夏も、水涸れに悩む夏となりました。
夜中に落雷があったので、降雨に期待していましたが、谷戸に降りたら、植物の葉が濡れている感じがした程度で、 ハンノキ林内の水流は1本涸れていて、残りの水流も弱弱しく、頼りない状態でした。
(湿地地区)
湿地地区に入ってみると、毎回のように、水漏れを起こしていた水路には水面が広がっていたので、少し安心してしまったのですが、その先、 ミヤマシラスゲが繁茂している場所には、水が流れていませんでした。
湿地地区は、昔は、谷戸の一番奥の田圃があった3段の棚田状の土地です。
昭和33年(1958)の狩野川台風によって崩れた土砂が田圃を埋めたことで、地主さんは田圃を諦めて、畑への利用転換を図るために、排水管を入れたり、沢を掘ったりと努力されていたと聞いています。
しかし、谷戸の谷底部の土地ですから、何処からともなく、水が染み出してきて、畑作は上手くいかなかったと聞きました。
水田ビオトープ班が活動を開始した2004年の当該土地は、ススキ、ヒメコウゾなどが繁茂していて乾燥した土地でした。
ただ、その辺りには、貴重な水草が生えていたという話を聞いていましたので、その水草の復活を活動目標に、田圃だった状態に近い湿地に戻すことを計画しました。
そのために、ハンノキ林から出てきた水流を誘導して、地区内に水路を掘ったり、田圃状の水域を作ったり、試行錯誤を重ねてきました。
水路は、地区の土地を湿潤にするための水を供給することが第一で、辺りが湿地らしくなるまでに10年以上かかりました。
排水のための水路ではないので、流れを良くするのではなく、水はできるだけ滞留させることをイメージして、泥上げなどを行っています。
しかし、これだけ長期間降雨が無く、高気温が続いていると湧水量が非常に少なくなってしまいます。
ところが、当該地区の湿地化が進み、安定的に水面ができるようになったことで、ホトケドジョウなどが棲息するようになっていますので、 水面があるべき所には水面をつくってあげたいと思います。
そのために、今はできるだけ下の方まで水を流すことを優先した方が良いと考えました。
そこで、水路の泥をスコップであげて、細い流れをつくって、中央部に設けていた枯木ダムの所まで、細い水面のある水路としました。
これでは足りないのですが、既に、3回の休憩を入れての作業でしたので、この日の湿地地区の活動は終わらせてもらうことにしました。
活動中、芝生広場上雑木林の方向からオオタカ幼鳥の声が聞こえていました。
ノハラアザミが咲き始めていました。








少し休憩してから、一応、上の田圃の状態を確認しておくことにしました。
沢から導水している辺りに水漏れ穴は見られませんでしたが、かつて流量計測に使っていた竹の樋から水が流れるようにしました。
これで、目視での流量確認ができます。

田圃は上の段も、下の段も、水が涸れていましたが、上の段では、土嚢堰の下から水が抜けていましたので、これを塞いで、堰で水を止められるように補修しました。
時間はかかりますが、他に水漏れ穴が無ければ、上の段の水面は広がるはずです。


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