生田緑地の植物種 全国調査で7位 市街地の中「驚くべきこと」
東京新聞 2013年11月13日


 人の生産活動と関わりながら保全されてきた「里地」の環境調査で、生田緑地(川崎市多摩区)の植物の種類が全国で七番目に多いことが、環境省が公表した報告書で分かった。緑地の調査を担当したNPO法人かわさき自然調査団は「大都市の公園にもかかわらず、種の多様性に富んだ緑地であることがはっきりした」と誇らしげだ。 (栗原淳)
 環境省は各地の動植物相を長期的に観測するため、全国千カ所で情報を収集するプロジェクト「モニタリングサイト1000」を実行中。里地をはじめ、高山帯、砂浜、サンゴ礁など十一の生態系に分け、二〇〇三年から市民や研究者が環境省のマニュアルに従って調査している。
 里地調査は北海道から沖縄まで二百カ所を指定。うち八十カ所で植物相調査が行われ、月一回、一〜二キロの調査ルートを歩いて沿道で確認できる植物の種類、つぼみや花、実などの状態を記録している。
 一一年までのデータをまとめた一二年度の調査報告書によると、生田緑地は樹木やシダ植物などを除いた在来植物が「百九十六」種と確認された。
 生田緑地は〇八年にサイト登録された。四百ヘクタールという広大な登録地もある中で、面積はゴルフ場などを除くと四十ヘクタールほど。都心に近く、市街地に囲まれた同緑地のトップ10入りは「驚くべきこと」と、調査団の岩田臣生さん=宮前区=は強調する。
 秋には野菊の仲間のシロヨメナやリュウノウギクなどの花が観察できる生田緑地の種の多様性について、岩田さんは「落葉広葉樹の雑木林があり、水湿地の谷戸があり、と変化に富んだ環境が多様な種をはぐくんでいる」と解説する。


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