生田緑地観察会
主催 青少年科学館

生田緑地観察会“里山の自然”

日時 2018/7/15(日) 10:00〜12:00 晴
ガイド講師 特定非営利活動法人かわさき自然調査団 水田ビオトープ班班長 岩田臣生
サポート  特定非営利活動法人かわさき自然調査団 事務局長 岩田芳美
観察会参加者 13人(大人 11人、子ども 2人)
       麻生区 1人、宮前区 2人、高津区 1人、幸区 1人、川崎区 1人
       横浜市 4人、大和市 1人、多摩市 2人

観察コース:青少年科学館前(集合)〜@中央広場北雑木林〜A七草峠〜B薪置場〜C樹液レストラン〜Dピクニック広場周辺〜E萌芽更新地区〜 Fハンノキ林(湧水浸み出し地)〜Gハンノキ林上の池〜Hハンノキ林谷間の探勝路〜I竹林下(湿地上)デッキ(解散)

非常に暑い日の観察会となりましたので、各所で、日陰と日向の気温を測りながら進めることにしました。
出発前に、この日の観察ルートとミッションの説明をしました。
・・・・・・ 青少年科学館前(日陰気温 31℃、日向 34℃)

@中央広場北雑木林
雑木林は 4階建てで構成されていることを話し、一番下層の草本層から低木層、亜高木層、高木層と分けて、それぞれの構成種を調べることが、里山の雑木林の見方の一つであることを話し、 実際に各層を構成する種を調べることを試みました。
樹林内に入っての観察ではなく、外周園路からの観察であり、林床にアズマネザサが繁茂しているために難しいのですが、一歩踏み込んだ雑木林観察会の試みです。
生田緑地の雑木林ではアズマネザサの管理が最重要課題です。
草本層には、アズマネザサのほかに、アオキ、ヤマノイモ、ミツバアケビ、ウグイスカグラ、ノササゲ、・・・などが観察されました。

そこに、大きなナナフシモドキ成虫メスが持ち込まれました。
子どもたちに触ってもらおうとしましたが、恐がって、手が出てきませんでした。
ガビチョウが騒がしく鳴きだしたので、特定外来生物ではあるけれども、駆除はしていないことを話しました。
ヒカゲチョウが目の前を飛びました。
多摩市の団地では、団地の中にまで棲息するようになっているという話が、参加者から出されました。

低木層にはヤマツツジが観察されましたので、この雑木林の管理を始める時のアズマネザサの繁茂の状況、ヤマツツジが咲く雑木林を目標植生にしたことなどを話しました。
草本層〜低木層に、民家園から侵入してきた竹が目立ちました。
亜高木層、高木層には、コナラが目立ちましたので、この辺りの里山にはコナラやクヌギが多いこと、またその背景などについて話しました。
薪炭林として里山を管理している時には、萌芽更新という管理手法が重要であったことを話しました。
雑木林の縁を歩きながら、草本層に、ヤブムラサキ、ハリギリなども確認しました。
・・・・・・ 中央広場北雑木林下(南面) 34℃、日向 36℃

中央園路に出ると、ニイニイゼミの蝉時雨を浴びることになりました。
ニイニイゼミって、どんなセミかという話になったところに、カラスに食べられたらしい頭と翅だけになったニイニイゼミを参加者が拾ってくれました。
実物の翅を観察して、生きているニイニイゼミの姿を想像してもらいました。
園路端をキタキチョウが 2頭、飛んでいました。

A七草峠付近の崖面には、ヤマユリが咲き、オトギリソウが黄色の花を咲かせていました。
ススキとハギが少し繁茂し過ぎていると感じる状態でしたが、春にはヒゴスミレが咲いていた崖面の変化を観察してもらいました。
・・・・・・ 七草峠付近 日陰 33℃、日向 34℃

B坂道を登り切った辺りの園路脇の伐採材置場
ガビチョウが鳴き続けていました。
日本民家園で薪として使われるものですが、季節によっては、カミキリムシなどの甲虫類が見つかることがある環境であることを話し、少し観察しましたが、 クモを探しているらしいハチ類が動き回っているだけでした。
樹林内も含めて、辺りは乾燥しきっている様子で、生きものとの出会いは期待できません。
・・・・・・・・ 31℃

Cクヌギの樹液レストラン
コフキコガネが園路上にいました。
カブトムシの頭部や手足が落ちていました。
いつからかは覚えていませんが、木肌や割れ目を掘られて、かつての樹液レストランの面影は薄れ、キセル貝がぶら下がっているだけでした。
竹垣によって入れないようになっていますが、バナナトラップが仕掛けられていました。
ルリタテハが近くに来ていました。
トイレ休憩をとり、水分補給も済ませました。
・・・・・・ 32.5℃

谷戸に降りる階段の所では、ハンショウヅル、タマノカンアオイなどを観察しました。
タマノカンアオイは絶滅危惧U類ですが、生田緑地では良好な状態にあると思います。

アオイスミレの葉が大きくなっていました。
両方とも、アオイという言葉が入っているので、子どもたちから質問が出ましたが、両方とも、葉がフタバアオイの葉の形に似ていることによるものです。
ヤブミョウガ、ヤブマオ、そこにアオバハゴロモの幼虫と成虫がいました。
ミズヒキ(花)、トモエソウ(実)、オオシオカラトンボ(メス)が観察できました。

Dピクニック広場では谷頭凹地という微地形について説明し、急斜面から平坦な場所に移る所は土中の水分が多く、このためにツリフネソウが繁茂していることを観察しました。
ヌスビトハギ(花、実)が可愛いという声があがりました。
・・・・・・ 日陰 31℃、日向 33℃

サシガメ類幼虫、コチャバネセセリ、ヤブミョウガ(花)、カタハリウズグモ(巣)、腐生ラン 1種を観察しました。

E萌芽更新地区の説明を行い、コナラ萌芽枝、1998年末に高い位置で伐採され萌芽更新していたクヌギを 2017年 2月に伐採した株(47齢)の萌芽枝などを観察しました
イチモンジチョウ、カワゲラ?、ヤマグワ、ヤマユリなども観察しました。
植生管理の方法、伐採方法、若齢林のイメージなどについての意見交換も行われました。 テーマ「里山の自然」を意識して参加してくれた人がいたようです。

F湧水が出始める辺りの植生、ミヤマシラスゲ、ハンノキ、ハンノキ林のハンノキとコナラの棲み分けなどを観察しました。
・・・・・・ 日陰 30.5℃、 日向 33℃

アオカラムシを観察し、ゼフィルスの話をし、移植したハンノキを観察していたら、そこにカブトムシ(オス)が現れました。 夏の里山の人気者です!
ヤマハゼが沢山の実をつけていました。

Gオオシオカラトンボ(オス)、ホトケドジョウ、アメンボなどが観察できました。
公園整備として造られた池であることを説明しました。

Hハンノキ林内
ヤマコウバシ(実)、アオバハゴロモ(幼虫、成虫)、アキノタムラソウ(花)、ヤブラン(花)、アカイラガ(幼虫)、エゴノキ(実)などを観察しました。
ハンノキ林内を歩きながら、質問に答えて、生田緑地では田圃が消えた時に、ヘイケボタルも消えた話をしました。
・・・・・・ 29.5℃
竹林下デッキでは、キビタキ?の声が聞かれました。
ここで、感想を聞き、意見交換の時間を取りました。


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Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation