特定非営利活動法人かわさき自然調査団
設立趣旨書
【2003/11/26】
川崎市は、工業都市として、また首都圏のベッドタウン、あるいは文教地区として発展し続けてきた。
しかしながら、都市開発によって市民の生活が向上する一方、環境を如何に保全していくかが重要な課題となっている。
1982年に、川崎市青少年科学館が登録博物館に指定され、翌年、行政・専門家・市民の協働による「川崎市自然環境調査」が開始された。この長期にわたる調査の担い手として活動を開始した市民ボランティアが今日の「かわさき自然調査団」である。 草木・鳥・昆虫・クモ・土壌動物・気象・地勢などに大きな関心を持つ様々な立場の市民、概ね100名が「かわさき自然調査団」を組織し、ボランティアとして活動してきた。 活動は、同科学館を拠点とし川崎市全域を調査の対象とし、自然の現状やその変化を記述することに努めてきた。川崎市域には、今でも多様で豊かな自然の生物相に出会える場所がいくつかある。これらの自然を如何に保全して後世に伝えるかは、私たちに課せられた大いなる課題であると感じている。 1983(昭和58)年の第1次川崎市自然環境調査に始まって第5次同環境調査まで、20年間にわたり、継続した調査を3〜5年ごとにまとめて、川崎市教育委員会として調査報告書を発刊してきた。今年3月には、4年間にわたる第5次同環境調査をまとめ、初めて、膨大なデータをCD−ROMに記録して、報告書とした。 活動は、観察、採集、記録、標本作製、分類、分析、報告など多岐にわたり、自然科学各分野の専門家の協力を仰ぎ、同科学館と緊密な連携をとって成果を積み重ねてきた。専門家の指導で研鑽を重ねて高いレベルに達した団員は、同科学館の主催する自然観察会などの講師として川崎市の社会教育普及活動の一翼を担うまでになった。また、同科学館による市民のための展示、印刷物の刊行などにも協力し、同科学館と一体となって自然環境調査、教育普及活動を進めてきた。蓄積したデータや動植物の標本は、永久保存されるべき市民共有の財産である。 また最近では、川崎市環境局緑政部などとの連携も深め、公園緑地の整備或いは維持管理という現場での調査或いは助言という活動も展開している。 豊かな環境の確保・保全は、これからの大都市における人間社会の潤いと活力のために必要不可欠であり最も重要な政策課題となるであろう。この環境保全における公共的利益の担い手として非営利セクターを位置づける法的整備も進みつつある。私たち「かわさき自然調査団」は、こうした時代の潮流を踏まえて、今まで長期に渡って継続してきた調査研究活動に加えて環境保全に関連する様々な場面での計画に対して、積極的かつ自主的に、提案或いは提言するという活動を展開すべきと考えるまでに成長した。 これからは公共的利益のために、今までの蓄積を活かし、活動の幅を広げて、地域社会に貢献したい。その為に、特定非営利活動法人を設立する。 |
平成 15 年(2003) 8 月 17 日 |
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
団長 三 島 次 郎 |