里山の自然学校2010 第10回 秋の里山


里山の自然学校2010
第10回《秋の里山》

【2010/11/22 更新】

日時 11月21日(日) 10:00〜15:00 曇
場所 生田緑地
参加者 A 野村麻理亜、岩野可菜子、工藤思由、酒見果歩
    B 川村美涼、須藤有弥、佐々木伶、増沢知泰、森田龍平
    C 鈴木萌恵、内藤義人、井原沙羅、大江田慧、佐藤夕波、島田真衣、山内雄仁
    D 大島万奈、江口暁香、鈴木こころ、高村慶太朗、原田大雅
    OB 須藤早紀、神山幸雅
                                    23人
講師 山本晃、鈴木志歩、岩田芳美、岩田臣生


早く来た子供たちに、山本先生がオオスズメバチを見せてくれました。 写真左が女王バチ、右がオスバチです。 集まっていた子供たちは平気で触っていました。 昨年までは、これの標本づくりを教えていました。

朝の挨拶と今日の活動予定について説明してスタートです。 藤間先生がお休みですが、落葉や実、種子などを拾いながら、秋の自然観察をすることにしました。

出発しようとしたところで、ヒイラギが咲いていることに気がつきました。
ヒイラギはモクセイ科の植物でキンモクセイに似た芳香を漂わせていました。
葉が似ているヒイラギナンテンはメギ科の外来種で、生田緑地の雑木林でも各所に逸出が見られます。

谷戸への降り口にはサクラの落葉が広がっていました。綺麗な落葉を拾いました。

階段を降り始めたところにヤブムラサキが紫色の実をつけていました。 手で葉を触って、フカフカした毛の感触を楽しみました。これがムラサキシキブとの違いです。

さらに降りたところに、ヌルデミミフシが幾つも落ちていました。 小さな孔が開いています。 この虫こぶは、ヌルデシロアブラムシによってつくられるものです。 ヌルデシロアブラムシは秋に翅のある成虫♀が虫こぶを出て、コツボゴケなどに幼虫を産みつけるようです。 山本先生と子どもたちが見つけたのは、成虫が抜け出た後の空の虫こぶでした。

ピクニック広場です。 甘い実を食べさせてもらったヤマグワを覚えていた子どももいました。
アワブキの大きな葉が黄葉していました。 スミナガシやアオバセセリの幼虫が葉を食べるということを山本先生から聞きました。
園路わきのヒヨドリバナの実をルーペで観察しました。冠毛があって、飛び始めていました。

ノササゲの紫色の実が残っていました。

子どもたちがキイロテントウを見つけました。
ウドンコ病などの菌類を食べるテントウムシです。落葉の下で越冬し始めていたところだったようです。

ハンノキとハンノキ林について、ノダケについて学習しました。

ヤブランが青黒い実をつけていました。

山本先生からはアケビとミツバアケビの違いについての話がありました。

シロダモには赤い実がついていました。同時に花も咲いていました。

シロヨメナが咲いていました。

ハンノキ林の林内が明るくなってきました。

梅畑に着きました。
枯れたコブナグサの上に犬の糞(ふん)がありました。

トホシテントウの幼虫を見つけた子どもがいました。今日、2種目のテントウムシです。
生田緑地で冬の下刈りなどをしているとよく出会えるので幼虫越冬と思っていましたが、成虫でも越冬するようです。 成虫も幼虫もカラスウリ類の葉を食べます。

ツリフネソウの実が残っていました。手で触ると弾けて、種子が飛び出します。
初めて出会った子どもは大感激で、すっかり夢中になってしまいました。
そろそろ草刈りをしようと思っていた場所なので、入らせたところ、ヌスビトハギやイノコズチなどのヒッツキムシを沢山着けて、夢中で遊んでいました。

アカバナの実が弾け始めていました。 昨年は短期間に弾けてくれたので形体的に面白いものでしたが、今年は少しずつ長い時間をかけて種子を飛ばしているようです。 インパクトのある造形美は見られませんでした。

ムクノキの実は、もう干しぶどう状態でしたが、恐る恐る食べてみると、甘いことを知りました。 当たり外れはあるのですが、気に入った子どもは、野鳥の上前をはねることに夢中になってしまいました。 こんな手の届くところに枝を張っているムクノキは里山の宝物かも知れません。

いつの間にか、カラスウリの赤い実を取っていた子どももいました。 採集を認めていたわけではないのですが、目が届きませんでした。 草刈りの時は、景観要素としてできるだけ残すようにしていましたが、保護しなければならないものではないので、子どもの事として見ることにしました。

戸隠不動尊跡では、イチョウが黄金色に輝き、地面を黄色に染めていました。 紅白の一重のサザンカは花盛りです。モミジは紅く色づいています。 雑木林の黄葉は少し始まったというところです。

枡形山広場でお弁当にしました。
秋の一日、紅葉を楽しんで過ごそうという人たちで賑わっていました。散り敷かれた落葉が季節感を盛り上げています。 落葉をかけあって遊ぶ子どもたちがいます。 落葉の季節は落葉があるのがいいのだと思います。落葉が散るそばから掃除をしてしまうのは、生田緑地では間違いだと思います。

枡形山から東口へ降りて、野鳥の森にいきました。
黄葉の季節、大きなフウやユリノキのある野鳥の森の中心部は、静かで、落葉や木の実を楽しむには良い場所です。 フウは江戸時代に渡来した外来種ですが、野鳥の森の主のような存在になっています。
落葉掃除も多少は控えられているのでしょうか。斜面に広がっているアオキを減らして、低木層を落葉樹に替えていくと、明るく、気持ちよい樹林になると思います。

子どもたちは大きな落葉や変わった形の実を拾って楽しんでいました。
フウの実と葉、ユリノキの実と葉、アオギリの実、トチノキの葉、フジの実など、様々なものを見つけて、これは何かと尋ねてきます。
中でも、フウの実から発生しているキノコ、緑色を失っているスミレ類の実などを見つけて教えてくれたのには驚きました。

野鳥の森を出て、ツツジ山に向かいました。
植栽ですが、カシワの葉と実を観察しました。カシワモチを包んである葉と、直ぐには結びつかなかったようです。

ツツジ山で休憩しました。シロモクレンの実も観察しました。

ナンキンハゼの実が弾けていました。

奥の池を経由して見晴台まで来ました。途中、民家園からはたき火の匂いと煙が流れてきました。

見晴台では少し休んだだけで集合場所に戻り、感想を聞いて一日の活動を終了しました。

感想
・今日はたくさん歩いて疲れたけれど楽しかった。
・今日、いろいろな道を歩いて、いろいろな落葉を集めて、いろいろな形があることに驚いた。家に持って帰って飾ってみたい。
・自然を歩けて良かった。
・自然の中を歩いて、いろいろな葉っばをしることができて良かった。
・いろいろな色の落葉があって楽しかった。家に帰ったら押し葉にしたい。
・いろいろな形の落葉があって面白かった。疲れた。
・いろいろな落葉を集められて楽しかったけれど、疲れた。
・登り道とか、降り道とかあって疲れた。
・いろいろな葉っぱがあって、いろいろな色の葉っぱやいろいろな形の葉っぱがいっぱいあったので面白かった。
・カラスウリを採れた。階段が多くて疲れた。
・今までカラスウリを知らなかった。
・カラスウリを初めて採れて良かった。楽しかった。
・モミジやイチョウがきれいだった。黄葉がきれいだった。
・ムクノキの実がおいしかった。
・いろいろな葉っぱがあったので驚いた。ギザギサの葉っぱとか、(触った感触が)フワフワした葉っぱがあった。
・階段や坂道がいっぱいあって疲れたけれど、モミジなどの紅葉がきれいだったので歩いたかいがあった。
・モミジやイチョウの紅葉(黄葉)がきれいだった。
・普段見ている葉っぱにもいろいろな種類があるのが凄いと思った。坂がきつかった。(この子は先頭を歩いていました。)
・家からではこんなきれいな紅葉を見られないから、山に来て、こんな素晴らしい紅葉を見られてうれしかった。
・カラスウリを見つけられて良かった。雌株にしか実(カラスウリ)がつかないということを初めて知った。
・山登りが楽しかった。

以上

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