里山の自然学校2011 第7回 夏の里山


里山の自然学校2011
第7回《夏の里山》

【2011/8/23 更新】

日 時 2011年8月21日(日) 10:00〜15:00 雨,20℃
場 所 生田緑地(川崎市多摩区)
参加者 豊島芳璃人、内藤義人
    江口暁香、大江田慧、酒見果歩、原田大雅
    上野美紀、島津千咲、高田泰成、谷実鈴、永喜康雅、丹羽小蒔、山本来幸 13名
講 師 藤間煕子、山本 晃、岩田芳美、岩田臣生                4名


今年度の「夏の里山」は雨となり、気温も下がりました。 今回は公園管理事務所の2階を借りていましたので、お昼は室内で食べること、午後は室内でファーブルを使っての観察学習をすることにして、 午前中は雨の生田緑地の自然を観察することにしました。 また、夏休みの野遊びプレゼントとして水鉄砲づくりをすることにして、その材料も自然観察の途中で採取することにしました。
「雨の日は生物はどこに行っちゃうの?」という子どもがいました。 雨の降っていないところに移動しているのだろうか? 本当にいないのか、観察してみることにしました。
植物の花はどうでしょうか。雨の日は開いていないのだろうか?観察することにしました。

雨に濡れた樹木にはキセルガイがたくさん見られました。 雨を喜んでいる生物がいることが分かります。
キセルガイは煙管(きせる)に形が似ていることからつけられた名前で、キセルガイ科に属する巻貝の総称です。 キセルガイは世界に1500種程、日本にはアジアギセル亜科に属する200種程が棲息し、 そのうち137種が絶滅危惧種に指定されています。 移動能力の極めて低い生物であるため細かい地域分化が進んでいます。 国内分布は北日本には少なく、西日本から南西諸島に多くの種が棲息しています。
生田緑地のキセルガイの種同定はできていませんが、このような陸生巻貝は陸生ホタルなどの昆虫や、 ネズミなどの小型哺乳類、鳥類やコウガイビルなどの食料としても重要な役割を果たしているようです。

雨の自然探勝路は滑って危険です。

ハンノキ林上の池まで降りてきました。 前回の「案山子づくりと生物調査」の時に設置したアメリカザリガニ・トラップに入っていたのはモツゴだけでした。
デッキの上をバタバタとアブラゼミが飛んできました。 飛び上がれずにデッキの上を走っていました。

子どもたちが里山の恵みを楽しんでいたヤマグワの大枝が折られているのを見つけました。 キブシなども折られているのを見つけました。 誰が折ったのか、何のために折ったのかと質問してきますが、誰がやったのか分からないと答えるしかありませんでした。
折った枝はそのまま放置してあります。景観には全く配慮していません。

ハンノキ林内の木道上に伸びたアズマネザサの天辺にクモヘリカメムシを見つけました。 こんな場所で何をしていたのでしょうか?

タマアジサイの花は雨の中でも咲いていました。

ヤブランの花も咲いていました。

午後は室内でファーブル(実態顕微鏡)を使って植物の観察をすることにしました。 そのために少しずつ、花や葉を戴きました。 シダ植物は葉裏の胞子嚢が面白そうです。

サザナミスズメが濡れた樹木の幹の小さな凹みにジッと張りついていました。
ヒグラシも濡れた幹でジッとしていました。 幹の高い場所ではなく、手の届く下の方にいました。




上の田圃周辺ではさまざまな観察材料を手に入れました。 イネの花は雨の日は閉じているようです。

下の田圃周辺では雨と風の影響でしょうか。ヨシが倒れていました。 コバノカモメヅル(ガガイモ科)は赤紫色の星形の花をつけていました。 アオツヅラフジ(ツヅラフジ科)は雌雄異株ですが、雌株が木道から届くところに雌花を咲かせていました。
雨が止んでいたせいでしょうか。 ダイミョウセセリが現われました。
アオツヅラフジの雌花
戸隠不動跡です。

ゴルフボールが落ちていました。 こんな所でゴルフの練習をしている人がいるようです。

城山下谷戸経由で芝生広場に向かいました。 谷戸の探勝路の縁にトキホコリが広がっていました。 花はまだのようです。

19日、21日と続いた雨のせいでしょうか。 ハナオチバタケが群生していました。 何とも雰囲気のある綺麗なキノコです。 子どもたちは観察用に採集しました。

ここでもヒグラシが幹の低い位置にいるのが観察されました。


公園管理事務所2階に戻って、お弁当を済ませてから、採集してきた花や葉をファーブル(実態顕微鏡)で観察し、ノートにスケッチしました。

イネの花は閉じていました。 雨に打たれる前に花粉を撒き散らしていたのでしょう、'おしべ'が'えい'の外側にくっついていました。 '外えい'を外すと'内えい'の基部に小さな子房と'めしべ'が観察されました。


採集した花や葉の観察と記録を終えた子どもから水鉄砲づくりを始めました。
基本的なことは教えますが、自分で工夫することが大切です。 アズマネザサの棒にまきつける布の大きさや糸の縛り方が問題で、何回もやり直しながら少しずつ改善して、水の飛ぶ水鉄砲に仕上げていきました。

できたら水を入れて、飛ばしてみる。 上手く飛ばなければ、調整します。

上手く飛ばせるようになったら、こんなことになるのは必至です。 集中して観察した後は、思いっきり気持ちを解放して、夏休みの思い出になってくれればいいでしょう。

最後に集まって感想を発表して解散しました。


感想
・水鉄砲でびしょ濡れになって寒かった。
・初めて竹の水鉄砲をつくれて良かった。(2)
・今日は水鉄砲をつくって、みんなでかけあって楽しかった。
・水鉄砲をつくって遊んで楽しかった。また遊びたい。
・水鉄砲が楽しかった。
・水鉄砲は失敗してできなかったけど、他のことは楽しかった。
・いろんな植物の名前が分かったので楽しかった。
・いろんな植物を見つけられて、楽しかった。
・今日は植物の絵を描けたのが楽しかった。(2)
・シダ植物を沢山見つけられて良かった。
・植物の絵を描くのが面倒だった。
・イチモンジチョウの数mm大の幼虫が雨に濡れていた。雨をかぶっても溺れずに生きているのが不思議だった。


以上

里山の自然学校のスタートページ

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation