里山の自然学校2011 第11回 冬の里山


里山の自然学校2011
第11回《冬の里山》

【2012/2/13 更新】

日 時 2012年2月12日(日) 10:00〜15:00 晴
場 所 生田緑地(川崎市多摩区)
参加者 里山4年 鈴木萌恵
    里山3年 豊島芳璃人
    里山2年 井原沙羅、野村麻理亜、山内雄仁、原田大雅、酒見果歩、江口暁香、大江田慧
    里山1年 上野美紀、島津千咲、高田泰成、谷実鈴、永喜康雅、丹羽小蒔、棟安恵万、山本来幸、吉田光誠、吉田泰成 
    計 19名
講 師 岩田臣生、岩田芳美、梅原和仁、神山歩未、鈴木志歩、中臣謙太郎、藤間煕子、山本 晃 8名


里山の自然学校2011も最終回となりました。「冬の里山」です。
植物や昆虫の冬の姿を観察します。 冬になると葉を落とす落葉樹、冬でも葉をつけている常緑樹、地上部を枯らしている草本。 昆虫の越冬形態は卵、幼虫、蛹、成虫と様々ですが、どんな昆虫に出会えるでしょうか。
山本先生がいくつかの蛹を用意してくれました。

谷戸へ降りる階段の手摺りにフユシャク♀がいました。 冬に成虫が出現します。メスは翅が退化していて飛べません。
ここでば1匹でしたが、後でも、別の場所でいくつか見つかりました。

萌芽更新地区は勉強会や観察会で使える管理された雑木林を目標にしています。これは2008年1月の生田緑地植生管理協議会市民部会において話し合って決めたことです。
この日は子どもたちに冬の雑木林の自然を体験してもらおうと思い、林内に入れて、観察していました。
観察を始めたところで、「雑木林に入るな!」、「生田緑地では園路から出ては駄目だ!」と注意する人がやってきました。
私たちが管理している雑木林で、子どもたちに冬の雑木林の自然を観察させていること、生物に影響のない時期と場所を選んで、観察の仕方もコントロールしていると説明しても、なかなか引き下がってくれません。注意してくれる人が出てきてくれるのは有り難いのですが、まさか私たちが注意されようとは思いませんでした。
子どもたちは落ち着かなくなり、自然観察どころではなくなってしまいました。

園路わきにヤマコウバシが生えていました。 葉は枯葉になっているのに落ちていません。 さて、落葉樹なのか、常緑樹なのかという疑問がわいたようです。

カシワバハグマやコウヤボウキ、そしてトキリマメの種子も残っていました。

冬のキノコはないのかという子どもは、サルノコシカケの仲間や、園路沿いのササ刈りをした時に見つけておいたキノコの観察を行いました。

冬の観察会の定番になった葉痕の観察も行いました。 毎年少しずつ除伐しているアオキの葉痕やニワトコの葉痕など、ルーペを使わなくても、誰かの顔のように見えます。

ハンノキの枝先には沢山の雄花序がついています。 既に明るい黄褐色になって、間もなく花粉を撒き散らしそうな様子です。

上の田圃の周辺にはオオイヌノフグリが花を咲かせ始めていました。
また、田圃の下の段には氷が張っていました。子どもたちは直ぐに夢中になっていました。
稲刈り後の畦の手入れを怠っていたため、田圃の畦は柔らかくなっていて、子どもたちの靴痕がくっきり残ったり、 畦自体が潰された所もありましたが、これは後日、手を入れればいいことです。
転んで田圃に飛び込むような子どもはいませんでした。
冬の陽射しの中で、氷を割って元気に遊ぶ様子は、見ているだけで楽しくなります。

ヨシ原の池にも氷が張っていました。しかも、上の田圃の氷よりも厚かったようです。
こちらの池こそ深いので落ちたら大変です。
子どもたちにとっては、冬の生物の観察よりも、氷で遊ぶ方が魅力的だったようで、なかなか止めようとしません。
靴の中に泥水を入れてしまった子どもが数人出ました。

いつもは戸隠不動尊跡でも少し時間をとるのですが、この日は泥に浸かった足を洗うぐらいで枡形山広場に向かいました。 お昼から参加するという子どもが生田緑地に着いたという連絡が入ったからです。
志歩先生は子供たらからみればお姉さんです。 どっちが遊んでいるのか分かりません。

枡形山広場で、遅れて参加の2人が加わり、記念写真を撮りました。
その後、ここでお昼にしました。 冬でも晴れてくれたので、楽しくお弁当を食べられたと思います。

食事が済めば、子どもたちは直ぐに遊び始めます。
この日は何故か男女に分かれて、女の子は鬼ごっこ、男の子は宙返りをしていました。
地域や学校などとは異なる里山の自然学校という場だけの友達との遊びに夢中になっていて、 これも里山の自然学校の魅力の一つ、或いは半分ぐらいを締めているかも知れません。

枡形山広場ではサクラやケヤキを、公園管理事務所に戻る途中ではコナラやクヌギなどの落葉樹を観察しました。

公園管理事務所2階の会議室に戻って、1年間の感想を書いてもらい、それを発表してもらいました。
里山の自然学校の4年生、3年生は4年間、3年間で最も印象の強かったことが思い出されたようです。

その後、修了証書の授与を行いました。
里山の自然学校第1期生の神山歩未さん、鈴木志歩さんが、今では里山の自然学校の先生として修了証書を渡す側参加しています。
一人は、かつて参加者の立場で感想文に、将来は里山の自然学校の先生になって、後を引き継いでくれると書いていた子どもです。
参加者の立場での経験が活かされているばかりか、年齢的に参加者に近いことから、参加者にとっては頼りになるお姉さんという感じで、 里山の自然学校の運営に貢献してくれています。

今年度、一度も休まなかった人は里山の自然学校の1年生(今年度初めて参加した人)の上野美紀さん、山本来幸さん、丹羽小蒔さんの3人でした。

修了証書授与を終えた後に、先生全員から挨拶を戴きました。


2010年4月から青少年科学館学習室を使えなくなっていましたが、昨年(2011年) 8月から公園管理事務所2階の会議室が使えるようになりました。
お陰様で室内活動ができるようになり、この日は感想文を机の上で書くことができました。

里山の自然学校の活動は7年間継続したことになります。
2005年度は20人、2006年度は37人、2007年度は27人、2008年度は30人、2009年度は20人、2010年度は30人、2011年度は24人の子どもたちが参加してくれました。
延べ人数でいえば188人の子どもたちと一緒に里山の自然を体験学習してきたことになります。
毎回初めて参加する子どもたちだけだったら続けられたかどうか分かりませんが、継続して参加してくれた子どもたちが、この事業の持続可能性を支えてくれていると思います。

2月10日からは次年度の参加者募集も開始しました。
今年も、小学4年生にならないと参加できないということで何年も待っていたという子どもからの参加申込みがありました。
私たちはホームページと生田緑地内の掲示板に募集案内を載せる程度で、大々的な広告をしていませんが、それでも、この程度の参加者が集まっています。
元青少年科学館館長の梅原さんも講師ボランティアに参加してくれていますが、講師全員が同じ基準の僅かばかりのボランティア交通費で参加してくれています。
会議室も無料で使用できていますので、参加料収入で全てを賄うことが可能になっています。
ただ、少し残念なのは、市内の子どもたちにもっと参加してもらって、身近な生田緑地の自然を知ってほしいと思うのですが、 半数近くが市外からの参加者だということです。
次年度はどんな子どもたちに出会えるのか、今から楽しみです。


以上

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation