里山の自然学校2012
第1回《春の里山》
【2012/4/26 更新】
日時 2012年4月22日(日) 9:30〜15:00 曇
場所 生田緑地 公園管理事務所〜ピクニック広場〜ハンノキ林〜田圃〜戸隠不動尊跡〜城山下谷戸〜芝生広場〜公園管理事務所 参加者 A 豊島芳璃人、谷 実鈴、山下 優、山根将聖 B 大江田慧、山内雄仁、山本来幸、山根早也香、吉澤俊明 C 江口暁香、甲斐亮汰、春田健登 D 原田大雅、山崎慎悟、八代舜太郎、駒松沙生 16人 講師 藤間煕子、中臣謙太郎、山本晃、岩田芳美、梅原和仁、神山歩未、鈴木志歩、岩田臣生 第8期、2012年度(平成24年度)の里山の自然学校を開校しました。 今年度の参加者は20人、市内からの参加者が13人、横浜市からの参加が5人、鎌倉市からの参加が2人です。 学年別では、中学1年が1人、小学6年が8人、同5年が5人、同4年が6人です。また、男子が12人、女子が8人です。 里山の自然学校の経験年数でみると、4年目が1人、3年目が5人、2年目が4人、1年目が10人です。 講師側は前年同様8人で行います。 第1回は9:30〜9:50を参加手続き時間としましたが、急な発病などで4人が欠席でした。 10:00〜10:30 オリエンテーション 天気予報は雨でしたが、まだ降ってはいませんでした。 できるだけ早く、フィールドに出たいと思い、詳細は里山ノートを見てもらうことにして、簡単な説明のみとし、講師の紹介、参加者の自己紹介を行ないました。 オリエンテーションのみの参加という子どももいましたので、野外に出たところで集合写真を撮りました。 まだ、保護者の方たちもいましたので、一緒に写真に入っていただきました。 このページのトップの写真がそれですが、保護者も入れての撮影は初めてでした。 ここから谷戸に降ります。 トイレを済ませてからの出発です。 まずは、川崎の生田緑地辺りを標本原産地とするタマノカンアオイの話からスタートです。 多くの観察会で使われている株のため、少し元気がありませんが、花を咲かせています。 著名な牧野富太郎博士が発見して、名前をつけた植物が、今も、川崎の生田緑地には健在であることを子どもたちに知ってもらうことは大切なことだと考えています。 ピクニック広場東側の斜面は1ヶ月前に里山倶楽部Bの活動としてミズキ、ヤマグワなど数本を伐採しました。 主な目的は広場の草地を広げたいということでした。 この草地には限られた場所にしか生育しない植物が生育するので、その生育環境を広げること、 それから減少傾向にあるチョウのために比較的乾燥した低茎草地を広げたいという二つの目的によるものです。 子どもたちは、タチツボスミレ、ツボスミレ、ホウチャクソウ、ムラサキケマン、カキドオシなどが咲いているのを見つけました。 子どもたちは、疎らに草の生えているところの落葉の陰などからヒシバッタ(ハラヒシバッタだと思いますが、詳しく見ていないので、ヒシバッタ科ということでとらえています)を捕まえてきました。 ハンノキ林上の池では、オタマジャクシを見つけて、捕まえ始めました。 里山3年生はヌカエビをすくっていました。 ここでは全員が活動するのには狭すぎます。 また、一見浅く見えますが、実際は深くて、ここで泥だらけにしてしまうと後が大変です。 アズマヒキガエルのオタマジャクシだという話だけにして移動しました。 ハンノキ林の林床にはたくさんのホウチャクソウが出ていました。 マユミの枝にはミノウスバという蛾の幼虫が群がっていました。 マユミの葉が食べ尽くされて、丸裸の枝もありました。 子どもたちは、気持ち悪いと言いながらも覗き込んでいました。 ヤブニンジンの小さな花が咲いていました。 ニンジンのような根をしているのかと聞いてくる子どももいましたが、似ているのは葉の方です。残念。 エゴノキの幹にマルハナバチが休んでいました。 子どもたちが大勢で覗き込んでも逃げようとしません。 マルハナバチの隣に、アブの仲間を見つけた子どもがいました。 男の子がベニシダに興味を示しました。 今年の男子の参加者は植物にも関心を示しています。 梅畑に着いたのは、まだ11時半でしたが、田圃で遊ぶ前にお弁当にしました。 お弁当を済ませると、直ぐに、田圃に走る子どもが何人かいました。 気温が低く、それ以上に水温は低くなっています。 それでも、田圃に入る子どもは少しずつ増えていきました。 目的は、田圃にいるアズマヒキガエルのオタマジャクシです。 友達が採ってバケツに入れてくれたオタマジャクシで遊んでいる子どももいました。 生物を本の中でしか知らない子どもたちは、なかなか泥田には入れません。 でも、夏の里山の頃には入れるようになっているでしょう。 田圃で遊んだ後は、足を洗って、靴を履きます。 バケツに採集したオタマジャクシは田圃に戻して、そのバケツに水を汲んで、足を洗います。その水汲みは、神山先生が一人でやっていました。 その水場の流れには、ホトケドジョウやカワニナがいて、子どもたちは木道の上から「そこにいるよ。」、「その草の陰だよ。」などと声をかけて、 神山先生にすくわせていました。 ここでも、観察容器が活躍しました。 上の田圃の上側の草地にはレンゲが咲いていましたが、今年の子どもたちは余り興味が無かったようです。 ここを訪れる高齢者の人たちはレンゲが咲いているといって大騒ぎをしていますが、 春の田圃にレンゲの花が咲いている景観は、もう今の子どもたちには原風景とは写らないようです。 春の里山体験を続けます。 下田の田圃の周辺にはスギナが一面に広がっていました。 カサスゲの花が咲いていました。 カサスゲは、例年4月20日ころから咲き始めます。今年も同様でした。 スゲ類の花は普通の花とは少し違うことを観察しました。 黄色の房のように見えるところが雄花が集まっているところで、黄色いのは花粉です。 少し揺らしてやると花粉が飛びました。 雌花の集まりは、その下の小さな房の方だということを学習しました。 また、花が終わってから、葉が1m以上にも伸びてくること、葉の繊維が丈夫で、蓑笠などの材料として使われていた時代があることなどを学習しました。 今までは、戸隠不動尊跡から真っ直ぐ枡形山に登っていましたが、この日は城山下谷戸に降りました。 アブラチャンの花は終わっていましたが、面白い名前の樹木として学習しました。 この辺りは里山倶楽部の活動として植生管理を実施してから明るいイメージの場所になりました。 園路から近いところにウラシマソウが咲いています。 浦島太郎の釣り竿になぞらえてウラシマソウという名前になったという話をしましたが、 もしかすると浦島太郎を知らない世代かも知れないと、後で思いました。 芝生広場で「自分の樹」を選び、樹高や胸高直径を計測しました。 樹木の成長変化に関心を持ってもらうことが目的なので、植栽樹でもいいことにしました。 雑木林の中にアズマネザサを分けて入るよりも良いと思いました。 芝生の無い芝生広場からは真っ直ぐ公園管理事務所裏に出る尾根路を辿りました。 ヤマツツジが咲き始めていました。 このルートはヤマツツジの美しい山路です。 数年前までは大きなヤマツツジがあったのですが、残念なことに、何者かに強剪定されてしまい、枯れてしまったようです。 雑木林の中で剪定を経験せずに育っていたヤマツツジには、強剪定は負荷が大き過ぎたようです。 園路沿いにはミヤマナルコユリなどが生えていました。 子どもたちは、様々な植物を見つけて、ノートに記録していました。 公園管理事務所2階に戻りました。 今日の活動中に気がついたのは、ルーペを使えない子どもがいたことでした。 そこで、ルーペの使い方を、また、雨が降った時のために持ってきたファーブル(携帯型実態顕微鏡)の使い方も教えることにしました。 でも、子どもたちは顕微鏡は学校で使っているようでした。 最後に、今日の活動で出会った生物をあげてもらいました。 里山3年生の江口暁香と大江田慧が手伝ってくれました。 里山の自然学校のような活動は、室内が使えると、内容が一段と充実できるように思います。 今後も、同様に使わせてもらえるように願っています。 以上 |
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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation