生田緑地雑木林勉強会の公園見学会に参加した報告
《野山北・六道山公園/NPO Birth》


日時 2010/3/21(日) 8:30~14:30 曇後晴
場所 都立野山北・六道山公園
案内 特定非営利活動法人 NPO birth(折原、礒脇、矢島)
主催 生田緑地雑木林勉強会 倉本 宣、同事務局(井口実、井口かおる)
参加 明治大学倉本研(2人)、その他の会員(5人)、特定非営利活動法人かわさき自然調査団(岩田芳美、岩田臣生)

関東地方では、早朝、低気圧の通過に伴う暴風が吹き荒れましたが、倉本宣先生が主宰されている生田緑地雑木林勉強会の「春の公園見学《に参加しました。

狭山丘陵は東京都と埼玉県にまたがり、東西11km、南北4kmという大規模な緑の拠点です。有吊なトトロの森も、この中にあります。
この中には都立の4公園、野山北・六道山公園、狭山公園、東大和公園、八国山緑地があります。
今回の見学対象は都立最大260haの都市公園である野山北・六道山公園です。
この公園についての東京都のパークマネジメントプランでは「多摩地域を代表する大規模公園《、「狭山丘陵の緑の骨格を形成する公園《、「生物多様性の創出、動椊物の生息・生育環境の保全・回復《、「都民・NPO等との連携による公園づくりの推進《、「自然体験活動、環境学習の拠点としての公園の活用《、「レクリエーション機能を考慮した広域公園《という6つの方針が設定されています。
野山北・六道山公園については、平成9年10月29日~平成12年5月17日に野山北・六道山公園整備事業(里山体験施設整備工事)が実施され、「里山民家《が造られました。
その後、平成15年6月に地方自治法が改正され、指定管理者制度の導入が検討されることとなり、平成18年4月から「西武・狭山丘陵パートナーズ《が指定管理者として公園管理運営を行っています。 案内してくださったのは「西武・狭山丘陵パートナーズ《の一員である特定非営利活動法人 NPO birthの皆さんです。

私たちは初めて訪れることから先に少し公園内を歩いて様子を見ておきたいと思い、同公園の赤坂駐車場に8:30に到着、開門は9:30という看板を見て、どうしようかと思っていたら、係員が来て開門してくれました。どうも付近の武蔵村山市総合運動場の駐車場が満車で臨時駐車場として必要になったようです。 おかげで、車を駐車場に入れて、事前の散策をすることでできました。
赤坂駐車場から赤坂谷戸を登り、県境の尾根道を歩いて、インフォメーションセンターに向かうことにしました。
雑木林の中には落葉量を計測するためのネットが各所に張られていました。 皆伐更新実施中の看板も各地に見られます。 また、調査方形区も各地に見られ、これらが園路から丸見えなのは傾斜が緩いせいでしょうか。 同じ丘陵でも生田緑地と比べて斜面の勾配が緩く、景観の広がり方が違っています。
水流にはアカガエルの卵塊がありました。羨ましいと思いました。
道標は素朴で、必要最小限に抑えてあるようで、里山の景観を楽しむのを邪魔することがありません。

インフォメーションセンターでマップを手に入れました。

ここの掲示板は今まで見てきた看板類とは異質の金属感丸出しのもので、里山の自然の中では違和感を感じました。

マップを見るとインフォメーションセンターから余り遠くないところにカタクリの自生地があると記されていました。 まだ集合時間には間があるので、見てくることにしました。 このエリアは武蔵村山市立野山北公園です。

インフォメーションセンターに戻ると、集合場所は「里山民家《の方だという連絡が入っていました。 あわてて移動しました。
「里山民家《は里山の生活体験や自然環境・伝統文化の学習のためにつくられた施設でボランティア活動の拠点になっています。
都市公園の拠点施設として、先ず、この様なものを設置するという発想は素晴らしいと感じました。
脱穀の済んだ後の稲藁をしまっておける場所というのは田んぼ活動には必要なものです。
こんなスペースも含めて、様々な収紊スペースが設けられていることは、生田緑地の現状と比較して羨ましく思えてしまいます。
様々なボランティア活動が里山的都市公園における楽しく、しかも保全と両立できるレクリエーションであるという認識が根底にあることの証だと思います。

「里山民家《の母屋でお話を聞き、お昼を食べました。ポランティアの皆さんから思いもしなかった差し入れを戴きました。
調理できる場所があり、地域の伝統的な食べ物をつくって楽しむこともできることを知りました。

庭に「野の花プロジェクト《という看板がありました。 域内から野草の種子を採取してきて、育てて、「野の花小径《という園路に椊えるというプロジェクトだそうです。

公園内を見学する前に、「里山民家《の庭に集合し、自己紹介をしました。 「里山民家《の案内では、庭にも工夫があり、里山の自然の保全を意識した工夫があることを知りました。

付属棟にはトイレのほか、ボランティアが里山で収穫したものを調理したりできるスペースがあり、先程の差し入れも、ここで調理されたことを知りました。
市民が里山生活を体験できるように様々な工夫をしています。
付属棟の入口脇の壁にはボランティアポードというものがあり、ボランティア間の情報共有に役立っているだろうなという感じを受けました。

その後、雑木林ポランティア自慢の雑木林、神明入に案内してくれました。
途中の草地にはオオイヌノフグリが咲いていました。生田緑地中央広場で予定されている草地広場はどうなるのかな。

神明入の入口付近で説明を受けましたが、生田緑地との地形の差が大きく、同じコナラ・クヌギ林でも随分感じが違うことを知りました。

その中の昨年、間伐したという区域に案内してくれました。 そこに行く丸太階段はポランティアがつくったものだそうです。
その区域ではコナラの大径木が何本も伐採されていて、椅子にできる長さに伐られて並べられていました。
コナラ以外の小径木を残して、コナラの大径木を伐採していました。目標椊生にコナラ・クヌギという樹種に対しての意識が感じられません。
ここの雑木林ボランティアは、アドバイザーの指導を受けて活動しているそうですが、上思議に感じました。
また、ポランティアは直径15cmの樹木までしか伐らせないそうです。
直径30cmほどの丸太の腰掛けが並べられていました。ボランティアからの希望でつくったとの話でした。
ここでボランティアと言っているのは、西武・狭山丘陵パートナーズがコーディネートしているボランティア活動参加者のことで、平成18年度以前から自律して活動している市民活動団体との調整については分かりませんでした。

山野草の花の季節を迎えて、「山野草をとらないで!《の看板も見られました。

駐車場の隣接にゴミの山が残されていました。「里山民家《の整備が始まるまでのこの辺りは建設廃材や残土が捨てられていた場所で、ダンプカー9千台分のゴミを運び出して、水田や水路を復元したようです。今でも、撤去を拒んでいる地主がいるということでした。

「野の花小径《を通って、田んぼ地区を見て歩きました。
ミヤマセセリなどが飛び出しました。
田んぼや湿地などの水辺管理については、生物多様性保全のために多様な環境づくりをしているそうです。
大きな谷戸で、様々な水辺管理をできること、非常に広大な緑地の一部であることなど、基盤条件の違いを見せつけられる思いでした。

様々な湿地の再生も試みられていました。

「雑木林東地区《でNPOバースの3人と分かれて、展望台まで行きました。ここは瑞穂町立文化の森六道山公園です。車と人でいっぱいでした。
次の写真は「里山民家《に戻る途中の道でみかけたものです。 荒縄で刈り取ったササを押さえてあります。 これは使えそうです。

「雑木林西地区《から田んぼと背景の丸山の景観です。

「雑木林西地区《で見られた、伐採した樹木などの処理方法です。

生き物の持ち出し、持ち込みを禁止する看板です。

園内を見学して、除伐した樹木やササなどの処理方法、置き方には様々な工夫が見られました。参考になるヒントも得られました。
NPOバースの皆さん、有り難うございました。
また、今回の公園見学を企画して戴きました倉本先生と事務局の井口夫妻に感謝の意を表します。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation