特定非営利活動法人かわさき自然調査団水田ビオトープ班による生田緑地の水辺の生物多様性保全活動

ハンノキ林のアズマネザサ刈り、水辺保全
日時 2016/11/22(火) 12:00〜14:00 晴
場所 生田緑地ハンノキ林
参加者 岩田臣生、岩田芳美

生田緑地の生物多様性保全の活動を始めるに当たって、生田緑地の自然をどのように考え、どのように保全すればいいのかについて話し合うシンポジウムを、2004年10月に開催しました。
これによって、「取り返しのつく範囲で、やってみて、考える」という概念を知ることができ、その後の活動において、常に意識していました。
田圃が消えて久しい谷戸の谷底部に田圃を再生したり、湿地をつくったりする活動は、大きなインパクトを与えても大丈夫だと思われる場所で、取り返しのつく範囲を考えることは容易でした。
しかし、生物が生き残っている場所の水辺保全は、取り返しのつく範囲の見極めが難しく、なかなか手をつけることができませんでした。
生田緑地のハンノキ林の林床は陸地化が進んでいましたが、手の入れ方を誤れば、棲息していた生物が消えてしまうかも知れません。
取り返しのつく範囲の考え方、捉え方には慎重にならざるを得ませんでした。
しかし、高さ4mを超えるアズマネザサが密生したり、アオキの繁みが広がったり、水流が土砂で埋まって開放水面が見られなくなったりするのを見ていると、 放置するわけにはいかないと思うようになり、まず、2006年12月には、ハンノキがどこに生えているのかを調べることから始めることにしました。
その結果、ハンノキ林内のハンノキは、南側の区域には少なく、アカメガシワ、ヤマグワなどが密生して藪を形成していることが分りました。
そこで、この南端部の樹木を伐採して明るくし、ここをハンノキ林と言える湿地林にすることから活動を始めました。
ハンノキは明るい場所でないと生育しない樹木です。
ハンノキ林を、その林床の水辺に棲息する生物を保護しながら、ハンノキ林として更新・保全することは、非常に難しいことで、10年経っても、未だに適切な保全方法についての見通しが立っていません。
ただ、取り返しのつく範囲での活動として、アズマネザサ刈りや林床に水溜まりをつくって、湿地状態を広げるための活動を行っています。
今回も、ハンノキ林の南端部のアズマネザサ刈り、水溜まりづくりなどを行いました。


ハンノキ林上の池からハンノキ林内に導いた水路沿いにアズマネザサを刈ってから、湿地として保全するために掘った水溜まりの泥上げを行いました。
水溜まりには、2cm大のヌカエビ?がいました。 ヌカエビが棲める程度の水が溜まるようになっていたことが分りました。


木道の陽当りにクヌギカメムシがいました。



特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation