川崎の生物多様性保全

谷戸の水辺保全
日時 2018/8/9(木) 10:00〜12:00 曇
場所 生田緑地の谷戸
参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三

台風13号が千葉沖を通過し、生田緑地にはたっぷりの降雨をもたらしてくれました。
整備事務所付近でも、アズキガイやキセルガイ科の陸貝が活動していました。
アズキガイは、本州では長野県以西が自然分布域だそうですので、生田緑地にとっては外来種になるのでしょうか。
キセルガイ科の陸貝は、国内ではアジアギセル亜科に属する 200 種ほどがあるとのことです。 これは、ナミギセルだと思いますが、・・・。

この日は水流の状態点検と必要な手入れ、カナムグラ刈りなどを行いました。
水路、水流には適度な水量がありましたが、大きな洪水は無かったようでした。

湿地に面した木道の手摺に フキバッタ がいました。
フキバッタは翅が退化していて移動能力が低いので地域的分化が進み、世界では 890 種以上、国内では 27 種以上に分ける説もありますが、まだ不明です。
フキ、クズ、フジバカマなど、大きくて柔らかい葉の草が繁る林縁や明るい落葉広葉樹林の林床などに棲息します。

湿地の水は 2 段目末端部で消えていて、経路不明ながら大部分は 3 段目に流れ出ているようでした。
そこで、直接 3 段目に流すべく、補修を行いました。
また、水流が涸れそうになっていた時に外しておいた 1 段目の水路の途中の土嚢堰を元に戻し、水溜まりをつくりました。
更に、繁茂の目立ったカナムグラを刈りました。
この季節のカナムグラは成長が著しく、気がついた時に、気がついた立派なものを引き抜いておかないと、覆われた植物が枯れてしまいます。

ヤマグワの葉裏に、アゲハモドキが休んでいました。
雨でしっとり濡れた伐採材に、クロミャクチャタテを観察できました。
9 年程前に、幼虫、成虫が集団をつくっている光景を見た時は、気持ち悪い生物に出会ってしまったと思いましたが、樹幹に棲んで、地衣類を食べている生物のようです。

今回の台風の影響による降雨のお蔭で、上の田圃は久し振りにたっぷりと湛水していました。
土嚢堰付近の水漏れ穴を塞いで、堰上からオーバーフローが見られるようにできました。
この辺の畦には、昔、水田耕作を行っていた頃の名残でしょうか、ホオヅキが繁茂し、紅く色づいた実が顔を覗かせています。

気がつくと、濡れた土嚢の上に サカマキガイ がいました。
サカマキガイは、原産地がヨーロッパなのか、北米なのか不明ながら、世界的に移入・帰化している淡水産巻貝で、左巻きです。

7 月のモニ1000水環境調査では、谷戸末端の調査地点の水が流れていなかったという報告を受けていましたので、点検し、流れを止めていた小枝や泥を取り除き、相当量が流れていることを確認しました。
また、ヨシ原地区(B08)の池の水面を開放したかったのですが、高い湿度に戦意を喪失して、少しだけの泥上げで止めました。
先日の活動で、ハンノキ周りの草刈り、カナムグラ刈りを行いましたが、ハンノキの萌芽枝を保護できたことが分かりました。
上の田圃地区(B06)、下の田圃地区(B07)のカナムグラ刈りも程々に止め、早めに活動を終えました。

休憩していたら、ミカドトックリバチが飛んできて、口を開けていたリュックに入って、ネコが顔を洗う時のような仕草をしていて、顔を近づけても逃げようとしませんでした。
撮影した写真を見たら、左の触覚がありませんでした。
何者かに襲われて失い、安全な場所だと判断して休んでいたのかも知れません。
ミカドトックリバチ(別名トックリバチ)は、スズメバチ科ドロバチ亜科のハチで、名が示す通りトックリ型の巣を泥でつくり、幼虫の餌となる蛾の幼虫を押し込んで、卵を産みます。

クサギの花も強風に煽られたのか、乱れていましたが、クロアゲハ、ナガサキアゲハなどのアゲハチョウのほか、ホウジャクまたはオオスカシバの仲間と思われる蛾類が吸蜜に来ていました。


帰り道、園路の上に落ちて、暴れているカナブンがいました。

整備事務所裏まで帰ってきたら、ツマグロヒョウモン(オス)が飛んで来ました。
南方系のチョウですが、今では、この辺でも普通に見られるチョウになっています。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
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