生田緑地の生物多様性保全活動

アブラチャン実生の保護、苗木畑のアズマネザサ刈りなど
日時:2021/2/23(火) 10:30〜14:30 
場所 生田緑地 城山下谷戸(B10〜B11)
参加者 岩田臣生、岩田芳美

天皇誕生日のこの日は暖かい晴天となりました。
生田緑地整備事務所裏から出て、尾根路を芝生広場に向かう途中で、猛禽類の食痕を見つけました。

また、芝生広場に出る直前、探勝路の両側のドウダンやアシビの生垣が繁茂して、通行スペースが狭くなっている場所に来たところで、下方から駆け登ってきた 4人のランナーに出会ってしまいました。
4 人全員がマスク無し、呼吸も荒く、真面に息を浴びせられることになりました。
新型コロナ感染を怖れて人混みを避けて生活している者には、恐怖の時間でした。
東口には、マスク着用の注意看板がありました。
集団でのランニングは、別の観点からですが、禁止されていたはずです。
余りに自分本位のマナーの悪さに不愉快になりました。
しかし、一方、このような場所、植栽樹の管理がなされないために、通行可能幅員が狭くなり、すれ違うことが難しく、風通しも悪くなっている状態が放置されているのは、 防犯上の問題もあり、受け入れ施設のコロナ対策としても問題があると思いました。
この生垣が設置された当時の状況は分かりませんが、雑木林への立ち入りを規制するための柵代わりだったのではないかと想像されます。
だとすれば、周囲の景観を楽しめるようにするという条件を加味するべきで、来園者の視界を遮らない範囲の高さに抑えた方が良いと思われます。
昨年の谷戸で、「園路ですれ違うことができない」という理由をつけて、やっと咲き始めたばかりの野菊を、 公園管理者が、植生管理を行っている市民活動団体に無断で、むしり取ってしまったという事件を思い出してしまいました。



城山下谷戸の分岐点付近にはアブラチャンの群落があります。
神奈川県植物誌によれば、「県内では山地や丘陵地の谷部林内で普通に見られる」とあります。
大都会の川崎でも、県内の山地や丘陵地の谷部に普通に見られる植物があり、見ようとすれば見ることができるということが生物多様性が保全されているということだと思います。
2011/4/2 の里山倶楽部の活動で、皆伐更新地区から萌芽更新地区に移動するルートとして、前年に植生管理について話し合い、 その植生管理を実施していた城山下谷戸を通る道を選んだことで、思いがけず、満開のアブラチャンに出会いました。
以来、この場所のアブラチャンを 3〜4月の生田緑地の見所の一つに加えようということになり、アブラチャンを少しだけ"えこひいき"する植生管理を始めました。
今回は、その活動の一環で、このアブラチャンが散布した種子が発芽して、20〜170cm に育っている場所のアズマネザサや、アオキや、ヤツデなど、 アブラチャンの生育を妨げている植物を取り除く活動を行いました。
また、昨年、枯れたエノキを除伐していただきましたが、その伐採材が転がしてあったので、これを片付けました。
これは、面倒だから放たらかしたというのではなく、余りに沢山の小さな実生があったので、何処に片づければ良いか判断できなかったのでしょう。
合わせて、落枝や、昔、積んだ材なども片付けました。
実生のアブラチャンは、昨年発芽したと思われるものは 20cm 程度でしたが、8 年は経っていると思われる数本は 1.5mほどに育っていました。
成長が遅いのは、日照時間が足りないためなのか、間引かないための栄養不足のためなのかなどは分かりません。
早く、花をつけるように育ってほしいと思います。





カラタチバナが数本あって、赤い実が一つだけ残っていました。


また、城山下谷戸の(B10-3) に面した自然探勝路の (B11) 側斜面下は、アオイスミレ、ヤマルリソウ、ヤマホトトギス、トキホコリなどが見られる場所なので、 昔、北部公園事務所が柵をつくってくれました。
今回は、この場所に生えていたアズマネザサを刈りました。



ついでに苗木畑(C03)の手入れもしておくことにしました。
クヌギやコナラのドングリを蒔いて、苗木をつくったのですが、皆伐更新地区は、自然に発芽したコナラを育てて樹林をつくることができたので、 今や苗木ではなく、若齢林になっています。
混みあっていた部分が自然淘汰されており、樹高は 8mほどあると思いますが、細く、弱弱しいので、間伐して半数ほどに減らした方が良いだろうとは思います。
また、最も太いものは、直径 10cm を超えたので、皆伐して、萌芽更新すべきかも知れません。



苗木の根元付近の落葉の下には、発根したコナラのドングリが出番を待っていました。

陽当たりには、フキノトウが咲こうとしていました。気温は確かに春でしたが、・・・。

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