城山下谷戸生物保護区の水辺保全など、ヨシ原地区〜湿地地区の観察など 日時:2021/3/30(火) 10:00〜14:00 場所 生田緑地 城山下谷戸生物保護区(B11)、ヨシ原地区(A08)、下の田圃地区(B07)、上の田圃地区(B06)、湿地地区(B05) 参加者 岩田臣生、岩田芳美 2/18(木) に城山下谷戸生物保護区の湿地に入った時には、水面が全く無い状態でしたので、できるだけ沢山の水溜まりをつくるための凹みを掘って、 僅かに滲み出す水を確認することまでは行いました。 一月以上経ったので、どう変化したかを見ておくことにしました。 この水辺は、センサーカメラによる調査結果から、比較的大きな鳥獣も、水浴び、水飲みに利用していることが分かり、生物保護区において最も重要な水辺だろうと考えるようになりました。 元々、一面に広がる浅い水域、そこで観察したスジグロボタルは、ホタルの権威であった故・大場信義さんをも惹きつける景観でしたから、この調査結果は、 この水辺の重要性を一層強く意識させることになりました。 ともかく、水面を消してはならないと思いながら、城山下谷戸に向かいました。 芝生広場へ降りる尾根路には、ヤマブキが咲き、ヤマツツジも咲き始めていました。 生物保護区の湿地に着いて、末端部の水溜まりが見えて、その中に、小さな黒いオタマジャクシが見えた時は、嬉しくなりました。 アズマヒキガエルが、ここでも産卵していたのです。 前回の活動でつくった凹みが水溜まりになって、小さな水流を想起させる状態になっていました。 そこで、その湿った所の泥上げを行って、水溜まりを確実なものにして、水面をつくる活動を行いました。 一番奥の谷斜面に移る所には、折れたヤマザクラが倒れていましたので、頭の中では、フクロウが止まり木として利用する場面を想像しながら、その倒木の枝を切り落として、材を片づけました。 そして、この止まり木の目前に水溜まりがあるようにと考えて、泥上げを行いました。 この平坦な谷底には、直径 10〜20cm の島状に、スゲ植物が生えていて、その多くが花穂をつけていました。 ここでは見慣れた、このスゲ植物はシラコスゲだと思いますが、スゲ植物はスジグロボタルの棲息環境として欠かせない要素のようです。 シラコスゲは湧水環境に依存する日本固有種のようですので、湧水〜シラコスゲ〜スジグロボタルがつくる生態系は、生田緑地の生物多様性を語る上で非常に重要な要素の一つだと思います。 最後に、湿地端部の水溜まりの泥上げを行って、水域を広げました。 また、水辺のオオバジャノヒゲの群落を覆うように、倒れかかっていた斜面裾のアズマネザサを刈りました。 湿地に面して広がる草地は、かつては、アオキやアズマネザサが繁茂していた場所ですが、少しずつ刈ってきたことで、開けた草地状態になっています。 この日は、タマノカンアオイが蕾をつけていて、ヤマルリソウが咲いていました。 帰りは、ホームグラウンドである谷戸の観察もしておくことにして、先ず、芝生広場に寄って、フデリンドウの状態を観察しました。 すると、実生畑状態になっている場所で、アオダイショウが寝ていました。 また、フデリンドウも咲いていました。 更に、谷戸に降りて、ヨシ刈りを済ませたヨシ原地区を観察しました。 隣家から侵入してきたハナニラが白い花を咲かせていました。 ヤトセスジジョウカイが飛んで来て、垣根に止まりました。 春のヨシ刈りで出会う昆虫の常連です。 下の田圃地区、上の田圃地区も観察しました。 ムラサキケマンが咲いていました。 本葉を出し始めたカナムグラが、あちこちで、見られました。 田圃のオタマジャクシは、元気に泳ぎ出していました。 湿地地区の水の状態も調べておくことにしました。 すると、導水路部分に大きな穴が 3つも開いていました。 これは、刈って積んであった山の中から、比較的柔らかそうな枯草を取り出して、それを骨材に使って塞ぎましたが、改めて、イネワラ補修を行っておく必要がありそうです。 作業を終えて、木道に上がったら、待ち構えていた来園者から、「この水はどこから来るのか」と尋ねられました。 これは、谷戸の自然を理解する上で重要なことですので、生田緑地の地層と湧水の話をしました。 萌芽更新地区下で、生え始めたセリバヒエンソウを抜いていたら、早くも、ツボスミレが咲き始めていました。 ツボスミレは、生田緑地で観察できる十数種のスミレの中で、最も遅く咲くスミレです。 ピクニック広場下地区の階段には、タチツボスミレが咲いていました。 私たちは、とても良い状態だと思うのですが、残念ながら、「除草しろ」と苦情を持ち込む人がいないとは言えません。 |