大雨後の谷戸の水辺の観察と保全 日時:2021/8/24(火) 9:10〜13:00 場所 生田緑地 参加者 岩田臣生 この日は、曇、炎天下ではありませんが、湿度は高いようです。 夏の間も、否、夏だからこそ、水の状態を観察して、必要な手を入れておかなければ、少ない湧水による水辺に棲息する生物を守れません。 谷戸を降りながら、水辺を見て行きました。 ハンノキ林内の水流については、夏の間は、立ち入らないことにしています。 ハンノキ林上の池は、澄み切った水が溜まっているものの、溜まった土砂は何とかしなければなりません。 棲息している生物に負荷をかけずに、泥上げを行う方法と段取りは検討中していて、秋になったら実施したいと考えています。 ハンノキ林西の池は、堤体下部から水が流れ出していて、池の水位が極端に下がっていることが、木道から見ても分かりました。 池の中の生物を守るために、大至急補修することにしました。 前回、同様の状態になった時は、8/3(火)に補修しました。 それから、3 週間経過しましたが、漏水の状態は同じようでした。 補修は、堤体の内側の水漏れ穴を塞ぐことだと思いましたので、先ず、大きめの土嚢を 3袋つくって、これを堤体の内側 1mほどの所に並べて沈めました。 前回の長靴が潜ってしまったという経験に基づく準備でした。 この土嚢の上に、辛うじて、立って、堤体の内壁を手探りして、穴を探しましたが、土がトロトロ状態になって、水が染み出しているのは、沈めた土嚢に近い、深い所で起こっていると分かりました。 投入した土嚢と岸の間のトロトロの柔らかい泥の所に、イネワラを 3束、穴を探しながら押し込んでみたら、流れ出していた水が止まりました。 初めに投入した土嚢は、沈んだというより、ジョレンで押し込んで沈めたものです。 時が経てば、水底に沈むとは思いますが、その土嚢で水漏れが止まったという印象でした。 そこで、更に、土嚢を 3袋つくって、初めに沈めた土嚢の上、少し内側に沈めました。 土嚢の上に載って、踏み固めたいところですが、不安定なので、今回は、ここまでにしました。 一度、座れる場所で休憩することにして、湿地地区上のデッキに向かいました。 ノダケが蕾をつけ、タマアジサイが咲いていました。 ハンノキ林のタマアジサイは弱っていたので、冬期に、周囲の低木やアズマネザサなどを除伐して、少し明るくしたのですが、まだ日照不足のようです。 ベンチに座って休みました。 湿地地区のハンノキが増えて、ハンノキ林が広がった状態になっています。 周囲の樹木も、湿地地区を覆うように枝を伸ばしています。 このために、地区内の照度は低下していて、植生が影響を受けていると思います。 元の地主さんが語っていた「一番上の田圃には、カワニナがウジャウジャいた。」という状態からは遠のいているようです。 湿地地区再生の目的であった植物のためにも、少し照度を回復させる管理が必要かも知れません。 湿地地区は、ハンノキ林からの導水路部に水漏れ穴が開いていたので、今回は、イネワラで補修し、土嚢を一つ追加しました。 区域内の水涸れはありませんでしたが、2段目末端部辺りから、沢に漏出していました。 ただ、何処から、何処を通って漏出しているのかが分かりません。 かつても、同様のことがあったのですが、大変な作業であったことを思い出したので、可能性が高い場所を踏み潰して、止まりきれないまま諦めました。 田圃地区の状態も観察することにしました。 上の田圃の導水路が木道下を通過する所が気になりましたが、詰まってはいませんでした。 土砂の堆積は気になりましたので、4〜5mの範囲だけ、泥上げをしました。 上の田圃の上の段のイネが 8/19(木)には、少し暴れて、倒れそうな様子でしたが、それが回復して、しっかり立ち上がっていました。 根元に水面は見えませんでしたが、稲穂は重そうになっていましたので、今は良しと判断しました。 しかし、下の段も、イネの根元の水が消えていました。 しかも、木道上に、大きな水音が聞こえていました。 木道を降りると、田圃の堰下には水が流れていませんでした。 そのくせ、水音は増々大きくなっていました。 堰下の水路沿いの畦の草を刈りながら、水音の発生している所を探りましたが、田圃の外側ではありませんでした。 雑木林側に回りこんでから、田圃の中の水面を見渡したら、畦の内側に、直径 10cm もの穴が開いていて、そこに流れ込んでいる水音だと分かりました。 水音からは、大きな穴が沢に繋がっていると推測されますので、これを確認して、止めておく必要があると思いますが、この日は、もう、そんな作業をする元気は残っていませんでした。 イネワラと泥で穴を塞いで、その場しのぎですが、水漏れを止めました。 それから、田圃の雑木林側を一通り観察しておくことにしました。 様々な草が繁茂していて、それらを刈りながらでないと進めない状態でした。 そして、上の田圃のイネの根元に水面が無かったわけが分かりました。 一段目末端の土嚢堰の脇が抜けて、水が落ちていたのです。 一段目の水域の生物は、既に逃げていることと思いましたので、この日は、確認しただけで済まさせてもらいました。 畦の外側には、ホオズキが紅い実をつけていました。 また、ヤブマオが咲いていました。 下の田圃の状態も観察しました。 下の田圃は、木道側を 2mほど、苗を植えていませんでしたので、開放水面ができていて、シオカラトンボ、オオシオカラトンボが縄張りをつくっています。 この日は、真赤なショウジョウトンボ(オス)が来ていました。 今年は、これが初見でした。 オオミゾソバの葉上に、イチモンジセセリがいました。 年 3化で、7〜8月に発生する第 2世代の幼虫はイネツトムシと呼ばれ、イネの害虫です。 |