生田緑地の生物多様性保全活動

谷戸の水辺の観察と保全
日時:2021/8/31(火) 9:10〜12:40
場所 生田緑地 ヨシ原地区、下の田圃地区、上の田圃地区、湿地地区、ハンノキ林地区
参加者 岩田臣生

暑い夏の間は、水涸れが起こると、そこに棲息していた生きものが、死に直面することになりますので、毎週、水の状態を観察して、水涸れしないようにする活動を欠かせません。
谷戸に降りると、自然探勝路沿いの夏草が、ヤブミョウガからヤブマオに替わって繁茂しています。
私たちは、自然探勝路は、そんな草地を歩く感じが良いと思っていますが、都会の公園らしくないから草を刈れとクレームをつける来園者もいるかも知れません。
そんなクレームが入れば、指定管理者は、待っていましたとばかりに、刈ってしまうと思います。
そうならないように、少し刈っておいた方が良いかも知れませんが、この谷戸は、できれば、こんな景観を大事にしたいと思っています。
もしかすると、花が咲いている間の 1〜2週間、「サガミヤブマオ」という銘板を立てておく手があるかも知れません。


ハンノキ林上の池は、澄んだ水を湛えていました。

ハンノキ林西の池も、湛水していて、土嚢堰の端からオーバーフローしていました。

湿地地区は、またも、ハンノキ林からの水流を受けている水路の途中に、水漏れ穴がありました。
今回はイネワラで補修し、水路底の砂泥を積むようにしました。
穴を塞ぐ作業をしていたら、オニヤンマのヤゴが現われました。
林縁の、この水流で産卵しているオニヤンマを何度か観察しています。

湿地地区内の水辺に水涸れはありませんでした。
夏草の繁茂は顕著でしたが、保護すべき植物の種子は採取済なので、このまま冬になったとしても、消えることはないと思いますので、上の田圃に移動しました。

上の田圃への導水路は問題無く、パイプ経由で木道下を抜けていました。

上の田圃の稲穂は成熟してきました。
木道沿いのジュズダマは、花から実に移りつつあります。


木道の住宅地側では、クサギの花が終わり、ヒメコウゾは一回り大きくなったようです。
ノブドウが木道の上に伸びているのは、来園者からは嫌がられるかも知れません。


8/26(木)に、水漏れ穴を補修した結果を確認するのは後回しにして、下の田圃、ヨシ原地区に行くことにしました。
下の田圃のイネも頭を下げて、田圃らしくなっていました。


ヨシ原地区では、池の畔のヨシなどを刈り、一番奥の水が溢れる辺りには、寝かせたヨシの上に、池の泥を上げました。
8/28(土)に水環境調査をした班員からは、池に水が無かったので、水路の補修をしたとの報告がありましたので、状態を観察して、少しだけ手を入れました。


上の田圃地区まで戻って、田圃に降りて、田圃が湛水していること、沢に漏れ出していた水が止まっていることを確認しました。

田圃の中に、イチモンジセセリが来ていました。

田圃の周りには、オオミゾソバ、ジュズダマなどが繁茂し、農家経験者が見たら、田圃ではないと言われそうですが、生きもののための田圃を目指している私たちには、良い状態に観えます。


梅の木広場は、キンミズヒキが花盛りになりました。


コブナグサが繁茂し、ゲンノショウコや、キツネノマゴが咲き始め、ヤマトシジミや、イチモンジセセリが吸蜜に来ていました。






帰る途中、木道沿いのエゴノキの伐り株に、キクイムシが入っていたようで、フラシが出ていました。
昔、エノキに入ったキクイムシが出していたのと同じように、円筒形になって、出ています。

かわさき自然調査団の活動

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation