生田緑地の生物多様性保全活動

ハンノキ林地区の水辺保全
日時:2021/11/18(木) 10:00〜12:00 曇
場所 生田緑地 ハンノキ林地区(A07)
参加者 岩田臣生、鈴木潤三、田村成美、井口 実

(ハンノキ林地区のゾーン図)

ハンノキ林については、2006/12〜2007/1 に樹木調査を行い、植生管理計画を考えて、生田緑地植生管理協議会の承認を得て、活動開始しました。
活動は、繁茂していたアズマネザサを刈って、水流に溜まった泥を上げて、林床の湿地化を図り、また明るくすることでした。
2007年に湿地地区から移植したハンノキの稚樹 5本は、蛾やハバチの幼虫の攻撃を受けて、3本が枯れましたが、残る 2本も成長が遅く、林内のハンノキは樹冠に葉をつけるだけで、 林床が暗いことが明らかであり、ハンノキ林保全のためには、隣接地区のコナラ大径木などを伐採しなければならないと考えていました。
ハンノキ林の保全活動を始めて、丁度 10年が経った2018年8月に、木道の上に大枝を張っていたコナラが弱って、そろそろ伐採した方が良いのではと考えながら眺めていたら、 カシノナガキクイムシの穿孔が見つかりました。
そして、翌年(2019)から、ハンノキ林周辺のナラ枯れが始まりました。
今年(2021) 1月に、ハンノキ林の木道沿いの枯れ始めたコナラ大径木伐採についての現地協議を生田緑地整備事務所と行い、数本の枯れコナラとスギの伐採を行ってもらいました。
この伐採によって、ハンノキ林内は明るくなって、林床の草本の繁茂が著しくなり、今までは水辺に少しあるという風情でしたが、今では一面にミヤマシラスゲが繁茂しています。
この日の活動は水流の泥上げの予定で、今までなら、落枝などでダムをつくり、そこに泥を上げて、水溜まりをつくるようにしていましたので、 木の根が張っていて、泥溜まりの無いような場所は、水溜まりをつくるのが困難でした。
しかし、そのような場所にも、ミヤマシラスゲが一面に、高さ 1mほどに繁茂し、 落枝を置いてダムとした場所には、ミヤマシラスゲが補強したダムができて、少し刈ってやると水溜まりが見えるという、望んでいた状態が現われました。
ナラ枯れによって生み出されたギャップが、ハンノキ林を活性化させてくれたと感じながらの活動を楽しめました。











根元からの萌芽が見られるハンノキもありました。
更新が可能な明るさになりつつあるということかも知れません。

メギも元気になって、紅い実をつけていましたが、別名コトリノボラズと呼ばれるように、鋭い棘があるので、活動中に伐られそうになったのを止めました。
川崎市内では、生田緑地と黒川のみに、記録があります。

草本層のマンリョウ、ヤブコウジ、低木層のウメモドキなども、紅い実が目立っていました。
また、低木層のイロハモミジ、ムラサキシキブなどは低い位置で伐採し、アズマネザサは刈るようにしました。


湿地地区の水辺保全など
日時:2021/11/18(木) 12:00〜13:30 曇
場所 生田緑地 湿地地区(B05)
参加者 岩田臣生

いつからかは分かりませんが、水田ビオトープ班の活動は 10:00〜12:00 となっていましたので、ハンノキ林地区(A07-08)の活動を終えたところで、一旦、解散しました。
湿地地区については、本格的に生田緑地での自然保全活動を始めた最初の活動場所ですので、作業に追われずに、じっくり状態を観察して、実施した手入れに対する反応を知り、現実から学ぶ場として大切にしたいと考えています。
まず、一昨日(11/16)の活動の続き、1段目の中央部からの水路の泥上げを行い、2段目の水域に繋げました。
しかし、2段目の水域全体のデサインについては、今までに生育した植物や、出会った生きものを思い出しながら、ゆっくり楽しんで考えさせてもらって、それから手を入れることにしました。

今回は、2段目から 3段目への水の流れや水漏れについて、手を入れながら調べてみましたが、なかなか難しくて、解を見出すまでには至りませんでした。
湿地地区については、不満な活動でしたが、ハンノキ林のダイナミックな植生遷移を目の当たりにしたという興奮を胸に、帰ることにしました。
かわさき自然調査団の活動

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation