生田緑地の生物多様性保全活動

湿地地区の水辺保全など
日時:2021/11/23(火) 9:40〜14:00 晴
場所 生田緑地 上の田圃地区(B06)、湿地地区(B05)
参加者 岩田臣生
参照/ 谷戸の地図

今秋の湿地地区(B05) の水辺保全活動は、11/16(火)、11/18(木)に行い、一番上の段、2番目の段の泥上げを行ったので、今回は3段目の泥上げを行うことにしました。
湿地地区は、2004年、水田ビオトープ班として、初めて、自然と向き合い、かつて生育していた水辺の植物を復活させて、保護することを目的に、 乾ききって、アズマネザサ、ススキ、ヒメコウゾなどが生えていた土地に水流を引き入れて、湿地化を進めてきた地区です。
それ以前の当該地区は、昔、低地域から続く水田の谷戸の一番奥でしたが、狩野川台風による崩れた土砂が入ったことで、水田を諦めて、畑に転用するために、土地を乾燥させる努力を積み重ねてきた土地で、 多数の排水管が埋設され、沢は深く掘られていましたので、夏期には水が涸れて、棲むようになった生きものを成仏させることも、複数回ありました。
それでも、活動目的とした植物の復活は達成することができたので、以降、消滅することが無いように、注意を払って、水漏れ補修の活動を繰り返しています。
この植物は、最近、生田緑地以外の神奈川県内からは消滅してしまい、生田緑地は、県内唯一の生育地になりました。
その状況下で、残念なことに、今年、数株が盗掘されました。

湿地化のためにつくった水辺には、ハンノキが発芽して、高さ10m程に育ち、ハンノキ林の拡大地域と呼んでも良いのではないかと思っていますが、 林床にはオニスゲ、ゴウソ、ミゾソバなどが繁茂し、ヒメシロネ、アカバナ、コガマなども観られます。
「川崎市および周辺の植生 1981」によれば、かつての生田緑地のハンノキ林は、オニスゲーハンノキ群集であったようです。
40年前の生田緑地のハンノキ林の植生に近似していると思い、ハンノキ林の保全活動の参考にできると考えるようになりました。

谷戸に降りると、上空を 3羽のトビが旋回しながら飛んでいました。

(イ)上の田圃地区
11/16(火)に、上の田圃が湛水していなかったので、上の段と下の段の土嚢堰の土嚢を積み直して、水漏れ補修を行いましたので、 湿地地区の活動の前に、田圃が湛水しているかどうかを見に行きました。
田圃への導水路が木道下に入る所で、パイプに落葉が詰まって、溢れていましたので、補修しました。
田圃は湛水していましたので、湿地地区に移動しました。


(ロ)湿地地区の水辺の水辺保全
湿地地区(B05) の水辺保全については、11/16(火)、11/18(木)と活動しましたが、3段目の泥上げと 2段目の水漏れ補修が残っていました。
まず、3段目の上端部の水路の泥上げを行いながら、2段目の畔斜面のヒメコウゾ、ウツギ、ススキなどを刈りました。
東端部に生えてきたヤマザクラが大きく育っていましたので、これは、そろそろ伐採して、萌芽更新した方が良いかも知れません。




それから、3段目に蛇行させて、流れを悪くした水路をつくっていますが、その水路部の泥上げを行いました。
アカバナが種子散布を終えた実の殻をつけていましたが、晩秋だというのに、花も二つ見られました。
冬期の野鳥のために、下の畑との緩衝地帯に、アズマネザサ、オギ、ヒメコウゾなどのヤブをつくらせていますが、活動中、その中から、アオジの声がしていました。






2段目から 3段目に移る辺りから沢に水漏れしているらしいので、土嚢堰近くの水路を調べ、可能性がありそうな所に手を入れましたが、水漏れは止まりませんでした。
ただ、2段目端部まで届いていなかった水を土嚢堰の上から落とすことができました。
一応、湿地地区全体の湛水ができたので、この日の活動は終えることにしました。




帰り道、萌芽更新地区のアカシデ、クヌギの黄葉が輝いていました。

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