谷戸のナラ枯れ観察 日時:2021/12/7(火) 10:00〜13:00 曇 場所 生田緑地(下図) 参加者 岩田臣生 生田緑地の雑木林は、環境省の特定植物群落「生田の雑木林(50ha)」として選定されていて、コナラ林として注目されています。 しかし、里山として利用されているコナラ林ではないので、ナラ枯れの洗礼を受けることになったのは当然のことであったと思います。 ナラ枯れに対して、生田緑地の自然に関わる仲間が、枯れたコナラを伐採する費用のことばかりを問題にしているかに思われるので、生田緑地の自然の危機を感じています。 生田緑地自然環境保全管理会議においてすら、カシナガが穿孔したコナラの場所と本数を調べるに留まっていて、生田緑地の雑木林の再生については、話し合われることなく済まされています。 枯れたコナラを伐採することは大きな問題ではなく、伐採後の植生管理をどのように進めて、コナラ林を再生するかを検討しなければならないと思います。 そこで、水田ビオトープ班として貢献できることを考えるために、主要な活動フィールドである谷戸を歩いて、ナラ枯れを観察してみました。 (01) 萌芽更新地区は、萌芽更新中で、区域内のクヌギ、コナラは枯れていません。 (02) ハンノキ林の東側隣接地で、6〜7本のコナラ大径木のうち、園路に近い 2本が、今夏、枯れ始めました。 一番手前の大きなコナラの伐採は難しそうなので、伐倒方法を思案中です。 (03) ハンノキ林の東側隣接地で、萌芽更新地区からの丸太階段状の園路の両側に枯れたコナラがあり、その園路脇には落枝などが積まれていました。 (04) ハンノキ林の西側で、シラカシなどの常緑樹林化している中に、枯れたコナラが見えました。 (05) 芝生広場の下、上の田圃下草地に面した急斜面に、枯れたコナラが 2本ありました。 (06) 谷戸の末端の階段付近に、数本の枯れたコナラがありました。 (07) 戸隠不動尊の参道途中の見晴台下に、数本の枯れ始めたコナラがありました。 (08) 桝形山北尾根の戸隠不動尊跡上の雑木林は、かつては、生田緑地で一番美しい雑木林と言われていましたが、枯れ始めた数本のコナラ、クヌギを残して消えていました。 アズマネザサが一面に繁茂して、園路脇には、伐採材が敷き詰められていました。 この地区については、2018年5月19日(土) の里山倶楽部の後、全く来ていませんでしたので驚きました。 アズマネザサの繁茂が著しかったので、M大の学生さんの調査研究が上手く進んでいるのかが心配になりました。 昔は、同大の学生さんが調査する時は、直接会って、話をしていたのですが、今回は、指定管理者経由の話だけでしたので、お手伝いできなかったことを申し訳なく思いました。 (09) 桝形山北尾根の最上部の園路沿いについては、沢山のコナラが枯れたようで、園路脇は伐採材に被われていました。 注目しているアサダに、直径20cmほどの枯れたコナラがかかっていましたので、取り除こうと思いましたが、動かせませんでした。 早いうちに、これらを退けて、アサダの生育環境を改善してほしいと思いました。 (10) 少し戻って、城山下谷戸への急階段を降りました。 この木階段の両側にも、伐採材が置かれていました。 園路は林縁環境で、生きものにとっては重要な環境ですので、気になりましたが、置かれた材の隙間からゴンズイ実生が育ち始めていました。 桝形山北尾根地区としてアズマネザサ刈りを行っていた園路沿い 2〜3mの範囲は、そろそろ刈り頃かも知れません。 (11) 苗木畑の真上のコナラ大径木が枯れましたので、伐採方法を考える必要があります。 真下の苗木畑のコナラ、クヌギは移植は困難な大きさになっていて、最大のものが直径15cm程になりましたので、この場所で萌芽更新を考えたいと思います。 必要であれば、苗木畑の周囲に、コナラのドングリを播種することも考えられますが、この土地には、ここに建っていたアパートの解体瓦礫が埋められています。 (12) 芝生広場の下の方に、枯れたコナラ大径木がありました。 これは、田圃側斜面の枯れたコナラ大径木と合わせて、伐採更新を考えることがで伐るかも知れません。 芝生広場の下側縁辺部には、毎年、コナラ実生が発芽していて、2年ものも残っていると思います。 ただ、芝生広場には植栽樹が大きく育っていますので、付近の高木の伐採も必要かも知れません。 (13) 芝生広場上雑木林については、現在、伐採更新の大径木伐採中ですが、ここと園路を挟んだ東側の雑木林で、まだ、枯れたコナラは目立っていません。 生田緑地では、コナラ林の再生が困難な場所もありますので、伐採更新の対象地区として考えられます。 (14) 芝生広場上雑木林の上の尾根の西側も、少し急な斜面になりますが、西側斜面なので、伐採更新が可能ではないかと思いました。 ナラ枯れは 2019年に始まりましたので、枯れたコナラの伐採だけで済ませた林地の植生遷移が実例として見られるようになったと思います。 生田緑地の雑木林は、川崎市民共有の財産だと思います。 10年後の雑木林を考えて、対応策を考えるべきと、私は思います。 |