生田緑地の生物多様性保全活動

田圃への落葉投入と萌芽更新地区のアカシデ伐採
日時:2022/1/20(木) 10:00〜12:30 晴
場所 生田緑地 田圃(B06, B07) 萌芽更新地区(A06)
参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三、田村成美、上路ナオ子、伊澤高行、井口 実


上の田圃
上の田圃は 2005年、2006年に谷戸に再生した田圃です。
生田緑地が指定管理者制度を導入してから、彼等が集めて、イベント等に使った落葉をもらえるようになりました。
しかも、田圃付近にまで運んでくれるので、落葉を担いで、谷戸を何往復もする手間がかからなくなりました。
いただいた落葉を早速、田圃に投入して、できるだけ広げておく活動を行いました。
田圃には、厚さ 1cm程の氷が張っていました。








下の田圃
下の田圃は、当調査団がNPO法人化した翌年(2004年)に再生した田圃で、この田圃づくりは自然に手をつける活動であるため、今までのような自然を調査する活動ではないということで、 水田ビオトープ班を新設することになった田圃です。
小さな田圃ですが、在来の水辺の生物が多数、生き残っています。





萌芽更新地区下
田圃に落葉を投入する活動を終了してから、この活動をしていた参加者は、萌芽更新地区下に移動して、園路沿いのアズマネザサ刈りなどを行いました。
園路沿いには、晩春、ツボスミレが咲きます。





萌芽更新地区
萌芽更新地区の標柱は腐って、ボロボロになっていますが、1998年末に、1200平方メートルのコナラ林を国庫補助事業で伐採した地区です。
伝統的な里山管理である萌芽更新を観察できる雑木林を目的にした整備事業でしたが、更新管理を行う仕組みが無かったこともあり、萌芽枝は 5年後には枯れて、萌芽更新は実現できませんでした。
生田緑地植生管理協議会市民部会では、2008年1月に、現地観察とその後の植生管理について話し合い、改めて、萌芽更新を観察できる雑木林を目標に、伐採更新に取り組むことを合議しました。
そして、第一段階では、樹林を暗くしていた大径木を伐採して、明るい樹林にしました。
第二段階では、萌芽更新目的での大径木伐採を行いました。
この過程で、アカシデも伐採しなければならなかったのですが、この谷戸では少ない種であり、実生も見かけることなく、萌芽更新も期待できないため、伐採できずに残していました。
当該地区の萌芽更新目的の伐採更新が順調に進んでいるので、 このアカシデが一人勝ち状態になって、傍のクヌギなどの萌芽枝の成長が阻害されている様子が見られるようになりました。
当該地区伐採更新の目的を考えれば、このアカシデを残して、更に大きく育ててしまうのは適切ではないと考えました。
そして、今のうちに、伐採することにしました。
ただ、問題は、萌芽更新中の樹木などにダメージを与えないように伐採することです。
現地観察によって伐倒方向を検討し、斜面下方のコナラとサワフタギの間に倒すことにしました。
ロープを張るための樹木としては、少し方向がずれるものの、エノキの大木が使えそうでした。
実際に、ロープを張ってみると、エノキにロープ・プーラーを直接つけるのであれば、何とかなりそうでした。
コナラとサワフタギの間の隙間に倒すためには、受口の向きで調整できそうでした。
あとは、直ぐ傍のクヌギの萌芽枝や、コナラを叩き潰す危険があるだけでした。
伐倒の方向を決めたので、ロープを軽く張っておいて、受け口を伐りました。
シデ類の材質は硬く、傾いているために圧縮力が働いていて、受け口を伐るのに苦労しました。
それから、ロープを張って、テンションをかけた状態で追い口を伐りました。
このアカシデは枝を広げていましたので、コナラに少しかかりましたが、押し倒すことはありませんでした。
そこで、急いで、他の樹木にかかっている枝から順番に切り落として、カントリーヘッジに積みました。
この枝落としには、田圃から戻った女性たちも参加してくれたので、幹や太い枝などの材以外は全て、地区下のカントリーヘッジに片づけることができました。


受け口を伐り始めました。


追い口を伐り始めました。

伐倒方向をコントロールするためのロープは、地区下のエノキの大径木にロープ・プーラーをセットして引っ張りました。


伐倒しました。
細くて危なげに見えたコナラがしっかり受け止めて、立っていました。














伐採した場所に大枝等が残っていますが、景観を損なう状態ではないと判断し、少し時間オーバーしてしまった活動を終えることにしました。
今回は参加者が多かったので、久し振りに、集合写真を撮りました。


かわさき自然調査団の活動

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation