生田緑地の生物多様性保全活動


下の田圃の水辺保全  
日時:2025/4/24(木) 9:00〜12:00
活動参加:岩田臣生、田村成美、鈴木潤三(10:00〜)
場所:生田緑地 下の田圃地区(B07)

活動準備をしている時に、生田緑地整備事務所の村上さんから、城山下谷戸の木道の分岐点から大階段に至る部分の木道改修の相談がありました。
改修工事については、@現況の木道範囲(幅2m程度)の外側での作業は禁止、A木道の材料・構造についての要望は無いので、行政としての改修案ができたらの協議としたいこと を回答しました。

下の田圃は、膝上まで潜る田圃なので、ウエイダーを履いて、ジョレンと桑切鎌を持って、谷戸に降りました。
ハンノキ林(A07-01)で開花していたウワミズザクラの大枝が裂けて、落ちていました。
2007年以降、ハンノキ林の林床の陸地化を止めて、湿地化することをハンノキ林保全の柱にしてきましたが、(A07-06)の湿地化が少し進んだのか、ミヤマシラスゲが開花していました。
上の田圃は湛水していました。
田圃の上で、シオヤトンボ(オス)が2頭、縄張り争いをしていました。
今年も、シオヤトンボに出会えたことを嬉しく思いました。

下の田圃に到着しました。
ヨシは既に、新稈を50〜70cm程に伸ばし、ミゾソバは 10〜20cmに育っていました。
何故か、田村はウエーダーを履いていませんでしたので、周辺の枯れヨシを刈ってもらうことにしました。


田圃に入ろうとしたら、アズマヒキガエル幼生が群れていました。
下の田圃でも産卵していたようです。

田圃に入って、投入してあった落葉や、生えだしていたヨシ、ミゾソバなどを泥の中に鋤き込んでいきました。
すると、その中に、シュレーゲルアオガエルの卵塊がありました。
また、近くには、シュレーゲルアオガエル(オス)もいました。

落葉やヨシなどを鋤き込んでいく活動を続けました。


下の田圃でも、シオヤトンボ(オス)を観察できました。


調査団が管理する田圃は生きもののための田圃ですが、下の田圃は絶滅危惧種の保護を行いながら、 在来のヤマトクロスジヘビトンボ、クロセンブリなどの保護を考えて、水辺保全を行っています。
そろそろ発芽しているはずの絶滅危惧種を探しながらヨシ刈りを進めました。
今年は、なかなか見つからず、県内絶滅を心配しましたが、1〜2cmの芽を2〜3個、見つけることができました。
絶滅を免れたと安心しましたが、過去の苦い経験から、同行の団員には、ここに入るなと叫び続けていました。
1株でも育って、開花・結実してくれれば、消滅は免れられると思います。
田圃の中にできていた水流は止めたいと思い、流れを変えるための活動を行いました。




下の段からは、全てのヨシを抜いて、泥の中に鋤き込みました。




水域のヨシは少し残してしまいましたが、これから発芽してくる可能性もあるので、この日は、ここまでとしました。
木道に上がったら、田圃とは反対側の木道沿いに育っていたフジが開花していました。


帰り道の梅ノ木広場の草地に、シオヤトンボ(メス)とキアゲハを観察できました

ハンノキ林近くでは、園路脇のヤブムラサキの葉上で交尾しているイチモンジカメノコハムシを見つけました。


更に、ピクニック広場下付近では、専修大学側から園路に現れたアナグマに出会いました。
アナグマは2頭で、飛び跳ねるように歩いて、目の前を通り、ヤブの中に消えていきました。
哺乳類調査で撮影したアナグマを見ていますが、目の前に現れた実物を観察したのは初めてのことで、ただ見惚れていました。
環境省のモニタリングサイト1000里地調査は15年間参加して止めましたので、ナラ枯れによってどうなったのかが気になっていましたが、 楽しそうに歩くペアに出会えて、幸せな気分になりました。


かわさき自然調査団の活動

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation