谷戸の水辺保全と植物班によるカヤツリグサ科植物調査
【2025/8/12 更新】

谷戸の水辺保全と植物班によるカヤツリグサ科植物調査
日 時)8月12日(火) 9:00〜12:00 曇
場 所)生田緑地 湿地地区、上の田圃地区、下の田圃地区、城山下谷戸合流部、その他
活動者)岩田臣生、種子植物班(佐藤登喜子班長、吉留憲子)

先週の8/5(火)の生田緑地田圃通信に書いたカヤツリグサ科植物の記述に誤りがあるという連絡をいただくと共に、急遽、種子植物班の二人が調査してくれることになりました。
8/9(土)〜8/10(日)には、待望の降雨があったので、この日は水辺の状態観察をするつもりでした。
丁度良いタイミングなので、水辺の植物を調べてもらいました。

(湿地地区)
湿地地区(B05)は、2004年末に、乾燥した荒地状態の土地に、水を引き入れて、湿地をつくり、消えていた絶滅危惧種の復活を目指した場所です。
導水した水路は、流路や形状を何回か変えていますが、湿地化の進行に伴って、多様な植物が発芽し、繁茂して、短期間に変わる草地の遷移を見せてくれました。
水辺づくりは容易ではなく、何度も、水涸れを経験しました。
生田緑地の湧水は流量が少なく、長期間、降雨が無いと、涸れる水辺が現れます。
今夏も、心配していましたが、大きな水涸れには至らなかったことに感謝しています。

さて、水辺の植物にはカヤツリグサ科が多いのですが、これがなかなか判別が難しいので、本を頼りにしながらも、諦めてしまうことが多くなっています。
植物班の優秀な二人が調べてくれることは、有難いことでした。
絶滅危惧種を播種して保護するために、4/8(火)につくった水域を調べてもらいました。
涸れていた水溜まりには、水面が広がっていました。



この水辺の周りには、チゴザサが40〜50cmの高さに繁茂していました。
調査を始めたら、調べようとしているカヤツリグサ科の上に、オオカマキリ(メス)が現れました。
オオカマキリ
また、シオカラトンボとオオシオカラトンボが、ミヤマシラスゲの葉に止まって、調査の様子を見ていました。
シオカラトンボ
オオシオカラトンボ

●調査の結果報告
カヤツリグサ科
 タマガヤツリ、アゼガヤツリ、ヒンジガヤツリ
 ホタルイ、テンツキ
  ※タマガヤツリ以外は生田緑地では30数年ぶりの確認になります。
アゼトウガラシ科
 アゼナ
イグサ科
 イ、コウガイゼキショウ

ヒンジガヤツリ
(上図)ヒンジガヤツリ

種子植物班の二人が帰ってから、湿地地区の水路を点検し、水漏れ穴の有無を調べましたが、1段目から3段目まで、水面が広がっていたので、 明らかなサワガニ穴は埋めましたが、水が流れていることで安心して、雑な点検になったと思います。
湿地地区は、草刈りの必要がありそうでしたが、それは今でなくても良いので、上の田圃地区に移動しました。

 10:15 WBGT 25.2℃、周囲温度 27.7℃、湿度 78.3%

(上の田圃地区)
上の田圃地区の導水路には水が流れていて、木道下に入る所に、降雨時に運んできた土砂が溜まっていましたので、この泥上げを行いました。
上の田圃の上の段にも、下の段にも、水面が広がって、出穂は全面に広がっていました。




田圃下草地には、草の茂みの中から、ノカンゾウの花が覗いていました。
ノカンゾウ

(下の田圃地区)
下の田圃に移動して、8/7(木)に、コナギやチョウジタデをむしって、絶滅危惧種の保護活動を行いましたが、ここも水が少なくなっていたので、 降雨の効果を知りたいと思っていました。
すると、植物班の二人が、まだ、そこにいたので、どうしたのか尋ねたら、標本用にノカンゾウも欲しいとのことでした。
下の田圃附近の隣地境界の辺りには、2004年に下の田圃をつくってからの数年間、絶滅危惧種のコマツカサススキや、県内でも減少著しいヌマトラノオなどが 観察できました。
そういう場所だからか、ここのノカンゾウは株を増やして、今年は沢山の花をつけていましたので、木道から楽しめるように、ヨシを刈ってから、 丁度倒れていた花茎を取って、二人に渡しました。
ノカンゾウ
田圃のチョウジタデやコナギは、随分、取ったつもりでしたが、改めて、観察すると、まだまだ取り足りなかったように感じます。

田圃の隅にいたナガコガネグモは元気そうでした。
ナガコガネグモ
田圃に面した畦のヨシを刈って、下の田圃の奥までの路をつくり、田圃裏の水流が流れていることを観察しました

外来種のアメリカホドイモが花を咲かせていました。
アメリカホドイモ
ヤマナメクジがいました。
ヤマナメクジ
クワイの葉上に、ムラサキツバメがいました。
ムラサキツバメ
チョウジタデの葉裏に、セスジススメの若齢幼虫がいました。
セスジスズメ幼虫

木道に上がって、状態確認を行いました。
ヨシを使った支柱では支えられなかったようで、花茎を倒した絶滅危惧種がありました。
コナギの塊は、もう少しむしっておくべきだったと思いました。
8/7(木)の活動は不十分だったようです。



(城山下谷戸合流部)
城山下谷戸合流部の状態観察を行いました。
谷戸右岸流につくった落枝ダムには、水も土砂も溜まっていました。

芝生広場側斜面下の水溜まりは、辛うじて、水面が広がっていました。
少し上流まで観察しましたが、水は少ないながら流れていました。



(上の田圃地区)
上の田圃に戻って、畦の点検をしました。
天気は晴ではありませんでしたが、開花しているイネもありました。

イネ
田圃に水面が広がっていて、イネが出穂、開花してきたことを確認して、帰る時間になったので、帰ることにしました。

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Kawasaki Organization for nature Research and Conservation

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