生田緑地の植生管理
希少植物の保護を目的とする植生管理

2009/6/21 更新

日時 2009年6月19日(金)10:00〜11:30 曇
場所 生田緑地
参加 かわさき自然調査団植物班/吉田多美枝、佐藤登喜子、武久春美、佐崎藤子
   市民部会事務局/岩田芳美、岩田臣生
                  参加者人 6人

自然のままに放置しておくと強い植物が繁茂し、弱い植物が消えていきます。 それが自然で、人は特定の植物に手を貸すのは適切ではないという意見もあります。 しかし、気持ちの良い樹林、多様な生物が棲息できる場とする目的で、人が特定の植物を保護することはあっていいと私は考えています。 かつての里山では、薪や炭を、シイタケを、落葉などをとる目的で雑木林の管理を行っていました。 現代の市街地の中の里山では、生物多様性保全と気持ちのよい景観づくりを目的とする植生管理がなされてよいと考えています。
昔、路をつくった時に造られた小さな切土の急斜面に生育していた絶滅危惧植物を保護する目的で、 かわさき自然調査団植物班では、年1回の手入れを行っています。 この日は、その活動を行いました。


園路沿いの樹木管理についての現地協議
日時 2009年6月19日(金)11:30〜13:30 曇
場所 生田緑地
参加 かわさき自然調査団植物班/吉田多美枝、佐藤登喜子、武久春美、佐崎藤子
   市民部会事務局/岩田芳美、岩田臣生
   北部公園事務所/堀江洋、山口泰民
                  参加者人 8人

第1の課題は、中央の園路に面している樹木が園路に覆いかぶさっているので、これを伐りたいということです。
これから夏に向かって、生田緑地の大きな樹木がつくる樹陰は生田緑地の魅力の一つだと思うのです。
市街地の中の暑い道を歩いてきて、木陰に入ってホッとする。
生田緑地に着いたぞ!と感じて、一息入れる。
そんな場所も必要だと思います。
そういう空間をデザインして、何年間かの植生管理によってつくっていくというのも一つの方法だと思います。
生田緑地の中にも、空間演出が必要な場所があります。


次は、菖蒲池周辺です。
水流の近くにあるヤマモモなどの植栽によって、この辺りが暗くなっているので、このヤマモモの枝を剪定して、明るくしたいということでした。 植栽樹なので、毎年でも剪定して、形よく整えておくべき場所だと思われます。

問題になりそうなのは、菖蒲池南側の四阿付近に生えているイヌシデの大木の枝が菖蒲池の上に張り出しているので、この大枝を切り落として、 菖蒲池の日当たりを良くしたいということです。
菖蒲池は花菖蒲を咲かせるために費用をかけているのに対して、イヌシデは費用をかけていない自然の領域の樹木です。 花菖蒲を管理している立場からすれば日当たりを悪くしている斜面の樹木は邪魔な存在です。伐採してしまいたい、そう発想するのは当然かも知れません。
しかし、生田緑地の魅力は多摩丘陵の在来の自然が残っていることだと思います。 林縁に位置する大きな樹木の形状は景観要素として非常に重要であり、何度も下枝を切り落とされた樹形は里山の自然を感じさせてくれるものではありません。
また、花菖蒲が景観として価値を持つのは、6月の花の季節だけですが、イヌシデは1年を通して景観を形成しています。
切り落とすことについてコンセンサスが得られたとしても、菖蒲池に落とさずに、こんな大きな枝を切り落とすことは至難の業です。
今年の花菖蒲はよく花をつけていました。 共存の道はないのでしょうか。

次は、香りの園です。 斜面に生え出しているアカメガシワ、クサギなどは、今のうちに伐採除去した方がいいでしょう。
庭園はして位置づけて植栽している所は庭園として管理しないと枯れてしまうものや、逆に大きくなり過ぎるものがでてきます。
斜面に接してコナラが枝を大きく広げ、園地を覆ってしまっている所について、そのコナラを伐りたいということでした。 この時期に伐っても、園地の植物が芽生えて、花を咲かせるということではないので、顔にぶつかりそうな枝は落とすとしても、木陰は残しておくこととしました。
このコナラをどうするかについては、秋冬期までに検討していくことになります。皆さんもご意見をお寄せください。

その後、中央の園路沿いの植栽樹等についての意見交換を行いながら北部公園事務所前まで歩きました。
 

中央園路沿いの崖面のシダ植物の保護活動

シダ植物班が崖面のシダの保護のための活動をしていました。
 

   かわさき自然調査団の活動
特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation