日時 2010/10/24(日)10:00〜15:00 曇
場所 生田緑地の谷戸のハンノキ林
参加者 岩田臣生、岩田芳美
谷戸のハンノキ林周辺では、アケボノソウやヤクシソウ、ヒヨドリバナ、シロヨメナなどがが咲いています。
ここのアケボノソウは数年前に心ない人が切り捨ててから、どうなったかなと思っていましたが、今年は花を咲かせてくれました。
花のデザインは独特のものです。
今秋は、朽木やまだ生きていると思われる木にまでキノコが出ています。
コブシの葉の裏にはアカスジキンカメムシの幼虫が集まっていました。
カラムシにはフクラスズメの幼虫がいて、葉を貪っていました。
水辺の再生・保全
(岩田臣生)
水辺は放置すると土砂が堆積したり、植物の根が広がったりして水面が閉鎖されてしまいます。
水生生物が棲息できる環境を保全するためには、適度な攪乱を与えて水面を確保してやることが必要です。
この活動には10月頃がいいと考えています。
ハンノキ林東谷戸の上部について前回掘った穴を見ると水が溜まっている所と溜まっていない所がありました。
周辺を掘っても湧水が滲みだしてくる気配がありません。
東谷戸の上部に水面をつくるのは無理かも知れません。
今年3月17日にネザサの茂みを刈り取った中につくった穴には水が溜まっていましたが、泥で埋まって浅い池になっていました。
この下流部の湿った地表に穴を掘ってみましたが、水が滲みだしてくる様子がありません。
東谷戸の出口に近い所にはミヤマシラスゲが繁茂していますが、その上側はヒメカンスゲやヤマルリソウが生えています。
この辺りを 1〜2ヶ所掘ってみましたが、水が滲みだしてくる様子はありませんでした。
長い年月の間に、崩れて流されてきた土砂が相当量堆積している所かも知れません。
ここに水面をつくることは諦めました。
ミヤマシラスゲが繁茂している場所の直ぐ上側の所々に穴を掘って、小さな水面を上側に広げることを試みることにしました。
草本層のヤツデ、ヒイラギナンテン、アオキ、ハリギリなどは抜き取りました。
散乱していた落枝も気がついたものは取り除きました。
取り返しの付く範囲ということで、この方法は右岸側と中央部の2ヶ所に少しだけ行いました。
更に木道に近い場所を観察すると、ハンノキ林の東端を流れている水流が流れる場所を変えて、伏流してしまっていることが分かりました。
水流が消えた部分のミヤマシラスゲの元気がありません。
この伏流を止めて、元の流れに戻そうとしましたが、落枝や落ち葉と泥では塞がってくれませんでした。
ここは更めて、土嚢を幾つか置いて流れを戻すことにしました。
また上側(南側)から流れてきていたと思われる流れが消えていました。
そこで、この流れを再生することにしました。
東端の水流に落枝や落葉、泥を使って堰をつくり、30〜40%の水をミヤマシラスゲの群落の端の方に水路を掘って分流することを試みました。
水が流れ始めたところで、ハンノキ林上の池からの流れの補修をすることにしました。
ハンノキ林上の池に近い場所は既にササ刈りを終えていました。
ヤクシソウが咲いています。
流れはなかなか回復しません。簡単にできることはしたので、数日時間をおいてから状態を確認することにしました。
ササ刈り
(岩田芳美)
ハンノキ林の林床のササ刈りは夏にすべきと思いながら遅くなってしまいました。
まず気になっていた池に近い場所のササ刈りをすることにしました。
ここでは、ササの中からヤクシソウやタマノカンアオイを残して、ササだけを刈りました。
その後、北西側の場所のササ刈りを行いました。
毎年刈っているので、ネザサは柔らかく、鎌で簡単に伐れます。
まだ残っているコナラの実生を残しながら刈りました。
「ササ刈りを勝手にするなという看板が出ているが」と注意してくれる来園者がありました。
その看板を出したのは私たちだと答えたようです。
簡単な看板でも、注意してくれる人が現れたというのは有り難いことです。
これからは水田ビオトープ班の活動時にも、活動中の旗か看板を掲示する必要がありそうです。
或いは、谷戸の中の邪魔にならない所に、かわさき自然調査団水田ビオトープ班が保全活動をしていることを知らせる掲示をさせてもらうべきだと思いました。
最近、来園者が非常に増えています。北側の谷戸に降りてくる来園者は自然に対する関心も高いようです。
親子連れでも、ドングリ拾いなど、上手に自然と付き合っているように思います。
特に子連れのお父さんは、何をしているのか、これは何かといきなり質問してきます。
こんな他愛ない交流が生田緑地の自然を守ることに繋がればいいと思います。
作業は途中でしたが、15時には止めて引き上げることにしました。
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