生田緑地の谷戸の自然保全活動


【里モニ】哺乳類調査カメラ設置、植生調査、トリカブト調査など
日時 2011/8/3(水) 11:00〜14:00 曇後強雨
場所 生田緑地
参加者 岩田臣生

なかなか調査できずにいたポイントを周りながら8月期の哺乳類調査のための定点カメラを設置することにしました。

哺乳類調査のために動物の歩いている痕跡を探してヤブを掻き分けて歩いていると、思わぬところで珍しい植物に出会うことがあります。 中でも、昨年5月に見つけたものは自分の判断が正しければ、生田緑地の記録は無く、1930年代に武蔵登戸、武蔵向ヶ丘村の記録があるのみです。 神奈川県植物誌によると、かつては県内でも丘陵地の林縁部、明るい雑木林内で普通に見られたが最近は減少が著しく、県北部や東部では稀になっていると記されています。 発見した時は萎れて散る直前の花が一つついていたのですが、今年は花の時期に頻繁に観察していましたが花は咲きませんでした。 現地は周囲の常緑樹が大きくなって林床が暗くなっていたり、アズマネザサが繁茂していたため、生育環境が適さなくなってきていると判断しています。 そこで、周囲のアズマネザサを刈ったり、覆い被さっていたヒサカキなどを少しだけ除伐しました。
8月に入ったので葉は消えたかと思ったのですが、濃い緑色の葉になっていました。 しっかり光合成をして、元気な株になって花を咲かせるようになってほしいと思い、大事に見守っています。

11:20
それから少し離れた場所に動物の歩いている痕跡を見つけて、そこにbPのカメラを仕掛けました。

11:35
園路に戻ろうとして園路わきのコナラにこんな傷跡を見つけました。 ノコギリで引っかいたような傷跡です。 昆虫採集のために樹液を出そうと考えたのでしょうか。 人為的な傷で樹液が出てくるとは思えませんが、コナラは樹液を出すようになると数年で枯れてしまうようです。 クヌギのように何年間もクワガタレストランを営業できるものではありません。 コナラを傷つける行為は止めさせたいものです。


11:40
近くのコナラの木では木登り中のアズマヒキガエルを見つけました。 このコナラにはカナブンが2〜3匹来ていました。こんな昆虫を食べていたのか、食べようとしていたのかも知れません。 それにしても樹木に登っているアズマヒキガエルは初めて見ました。


11:50
今年の冬に里山倶楽部でアズマネザサやヤマグワを除伐した城山下谷戸の植生管理地は50〜150cmの高さに植物が繁茂していました。
ザッと調べたところでは40種ほどの植物が見られ、一番上にはカラスウリやノササゲ、ヤブマメ、カナムグラ、ヤマノイモなどの蔓性植物が全体を 覆い尽くそうとしていました。 オオブタクサは何回か駆除していたので殆ど残っていませんでしたが、ベニバナボロギクの赤い花が目立ちました。 これは戦後に帰化が確認されたアフリカ原産のキク科植物です。 既に種子の散布が始まっています。


次のカメラ設置場所を考えながら歩いていると、クチバスズメ幼虫?が園路の手摺りに出ていました。 クチバスズメはコナラ、クヌギ、カシ、シイなどを寄主植物としている蛾です。


12:15
bQのカメラを設置しました。 ここには哺乳類が歩いている痕跡が認められます。


2009年10月の市民部会でヒサカキの伐採を決めて、その後、北部公園事務所が業者に委託してヒサカキを除伐した場所に寄って状態を調べました。 ヒサカキの萌芽はまだ小さく、実生は数種類見られますが大きく育っているものはありません。 草本植物のシードバンクは失われていたようで殆ど発芽していません。 斜面が急勾配なので、早期に草本層の形成を図りたいところです。


12:40
次に飯室山北地区に行きました。 シシウドが咲いていますが、トリカブトが残っているのか見ておくことにしました。
トリカブトはデッキの上に21本、下に7本残っていましたが、元気のある力強いものはありませんでした。 ツクバトリカブトだと聞きましたが、その種の特徴なのでしょうか。

キツネノカミソリが咲き始めていました。1週間前には咲いていませんでした。


13:10
bRのカメラを設置しました。 人が歩いている場所なので動物が歩いている痕跡は確認できませんでしたが、何かが通っているような気がします。 それを確かめたいと思いました。


13:40
最後に、確認したいことがあって萌芽更新地区に行きました。
そしたら枯れて腐りかけていた切株を誰かが掘り出したようで、少し下に転がしてありました。
このような昆虫採集は絶対止めてもらいたいと思います。


13:50
急に土砂降りの雨が降り出したので引き上げました。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation