生田緑地の谷戸の自然保全活動

2011年12月22日の活動
1)中央広場第3期工事についての現地確認協議
2)ピクニック広場東斜面下部の植生管理についての現地協議
3)ピクニック広場周辺のササ刈り、落葉かき
4)特別な植物の生育保護のための植生管理(常緑樹除伐)


中央広場第3期工事についての現地確認協議
日時 2011/12/22(木) 9:30〜11:00 曇
場所 生田緑地中央広場
主催 川崎市公園緑地課(高橋、田代、高橋)
   多摩区道路公園センター(佐藤、山口)、公園管理事務所(関口)、工事業者 2社
参加者 岩田芳美(事務局長)、岩田臣生(水田ビオトープ班)、小泉恵佑(同左)、佐藤登喜子(植物班)、
    佐野悦子(野鳥班)、水田茂子(同左)
    松岡嘉代子(遊園の会)、白澤光代(雑木林を育てる会)

最初に園路舗装等の第3期工事の内容説明を受け、協議が行われました。
その後、第2期工事からの持ち越しとなっていた次の案件について現地確認を行いました。
1)客車周辺の整備の件...パーゴラは設置しないことを確認
2)中央広場西側植栽地に低木を植栽する件...植栽場所を確認
3)ナンキンハゼの樹勢回復措置の件...12本全てに酸素管設置
4)クララの生育保護の件...第3期工事では当該地の工事を行わないことを確認
5)親水池に設置する湧水についての看板設置の件...不要であることを確認
6)草地広場に残した樹木のうち、枯死及び枯死が心配される樹木についての今後の対応の件
 ...樹木の経過の確認と枯死をした場合の対応などの確認
7)モッコク♂が残されなかった件


ピクニック広場東斜面下部の植生管理についての現地協議
日時 2011/12/22(木) 11:00〜11:30 曇
場所 生田緑地ピクニック広場
参加者 岩田臣生(水田ビオトープ班)、佐野悦子(野鳥班)、水田茂子(同左)

ピクニック広場地区の植生管理については
2007年9月9日に市民部会として現地での話し合いを行ない、東斜面については目標植生「林床に草本植物が繁茂できる樹林」とすることを植生管理計画にうたいました。
しかし、樹木を伐採することについては数人の方から反対意見もありました。
この植生管理計画に基づいて、2008年11月15日に市民部会として植生管理を行ない、アズマネザサを刈り、枯損木を除去し、ヤマグワなどの小径木数本を除伐しました。
この段階では林床が充分に明るくなるとは思えませんでしたが、樹木の伐採についての反対もあったことから、この程度で少し様子を見ることとしました。
その後3年が経過しましたが、林床の草本植物は非常に少なく、キヅタが一面に広がって、アズマネザサが伸びだした程度に止まっています。
そこで、東斜面に生えている樹木のうちサクラ、コナラ、メグスリノキなどを残し、ミズキやヤマグワなどを伐採して、もう少し林床を明るくしようと考えました。
生田緑地では合議による植生管理計画を進めていますので、反対意見を戴いていた方たちと話し合いを行ない、渋々であっても同意して戴かない限り進めてはいけないと考えています。
立場によって価値観も異なるので考え方が合わないことが起こるのは仕方のないことです。勿論、反対意見も大切です。反対意見の裏側にある意図をできるだけ理解して、対象地区に応じて活かす努力はしたいと思います。
今回、現地で様々な事情を説明し、丈の低い草地を目指すということで合意してもらいました。


ピクニック広場周辺のササ刈り、落葉かき
日時 2011/12/22(木) 10:30〜13:30 曇
場所 生田緑地ピクニック広場周辺
参加者 岩田芳美、城本法子

ピクニック広場東側の階段からピクニック広場下の落葉溜めまでの範囲の落葉を集めて、落葉溜めに入れました。
落葉の季節は落葉の散り敷かれた路を歩けるのが楽しく、里山らしい景観ともなっていると思いますが、傾斜のある木製階段の上などでは足を滑らせる危険も無いとは言えません。
そこで、一度掃除をしておくことにしました。
また、ピクニック広場のテーブルベンチ周辺のアズマネザサを刈りました。
冬期にここのテーブルベンチを使う人は少ないのですが、ベンチ周囲にアズマネザサが侵出しているのは気持ちのよい景観とは言えないと思います。
広場の南側や西側の斜面はアズマネザサが繁茂していますが、この斜面のアズマネザサのヤブはアオジなどの野鳥のために残しています。但し、汚らしく見えるような状態にはしないように手を入れるようにしています。
ところが、そのアズマネザサの斜面に、上から滝のように落葉が捨てられていました。これでは気持ちのよい景観にはなりませんし、その捨てられた落葉の下の植生が消えて、万が一、そこに雨水が流れ込むようなことが起こった時は表土を崩してしまうことにもなります。
上に回って調べたところ、西口駐車場の男子トイレの前辺りから大量の落葉が捨てられていることが分かりました。
斜面への落葉の投棄は以前より問題視していて、度々話し合いも行なってきました。投棄している現場を見た時は直接注意もしました。旧岡本谷戸の斜面の土砂崩壊は長年にわたって落葉が捨てられていた場所に、豪雨の際に園路によって集められた水が流れだして起こったと考えています。
生田緑地から北部公園事務所が無くなったことで、またしても無法状態になってしまったのでしょうか。
生田緑地の全てを指定管理者に委ねようとする手続きが進められていますが、現状のこうした問題を放置して、生田緑地の全てを指定管理者に任せてしまおうという方法は余りに危険だと思います。


特別な植物の生育保護のための植生管理(常緑樹除伐)
日時 2011/12/22(木) 11:30〜13:30 曇
場所 生田緑地
参加者 岩田臣生

生田緑地の雑木林では亜高木層を常緑樹が優占している場所が多く見られます。
常緑樹が優占してくると林床は暗くなるので明るい林床でないと生育できない草本植物は少しずつ消えていきます。更に暗くなると、アズマネザサも疎らになって、やがて消えていきます。そんな状態の場所も多く見られるようになっています。
2010年の春に、そんな遷移の状態にある所に、ある魅力的な植物を見つけました。花の残骸らしきものが一つついていました。
神奈川県植物誌によると「丘陵地の林縁部または明るい雑木林内で普通にみられたが、 最近は減少が著しく県の北部や東部では稀にしかみられなくなった」とありました。
今年の春には花を見たいと思い、その時期に通っていましたが、ついに花は見られませんでした。
その後、毎月状態を確認してきて、どうやら常緑らしいことが分かりました。同植物誌には「夏緑性ときに常緑性の多年草」とありました。
しかし、花を咲かせる活力が無いのだと考え、観察する度に、周囲のアズマネザサを刈ったり、アオキを除伐したりしてきました。そして今回は、南側に数本かたまって生えているシラカシのうちの3本、西側に生えていたヒサカキ1本を除伐しました。
生田緑地では過去にササ刈りをしたらシュンランが広がったものの、その後の2年間で盗掘によって消えたという事例があります。この経験から、ここでは種名も場所も公表できませんが、生田緑地の雑木林の遷移を戻して、落葉樹林の里山として植生管理する場所を増やすことで消えていた植物が復活する可能性がまだ残っていると強く感じています。
しかし、雑木林の管理については多様な意見があり調整は難しく、植生管理計画への記載については盗掘防止対策を考えなければならない等、大都市の中の里山の保全管理の難しさも同時に感じています。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation