生田緑地の谷戸の自然保全活動




モニ1000) 水環境調査
日時 2012/4/28(土) 10:00〜13:00 晴
場所 生田緑地稲目谷戸
参加者 岩田臣生

忙しさと体調不良から遅くなってしまいましたが、4月の水環境調査を行いました。 昨夜の雨を考えれば、調査に適した日とはいえませんが止むを得ません。、
谷戸へ降りたところ、上の田圃の上の段にはカルガモが2羽食事中でした。
下の田圃裏の導水口を塞いで、計測用の樋の方に水流を変更してから、ヨシ原に向かいました。

【K】10:30〜10:41 ヨシ原の池
カルガモが遊んだ後なのか、水がすっかり濁っていました。
水が流入している辺りの濁りの無さそうな所で水を汲んで調べることにしました。
カサスゲの花が一面に広がり、雄花の開花も中程まで進んでいました。

木道上で作業していると、通りかかった来園者が「水質を調べているのですか?」と声をかけてきました。
そして、「貴方たちが(谷戸環境を保全する)活動をしていることに感謝している。」、 「自分たちが、この谷戸の自然を楽しめるのは、貴方たちの活動のお蔭だ。」、 「それにしても採っていく人は何を考えているのだろうか。」、 「自分も怪しい人たちを見たことがあるのだが、その時は恐くて注意できなかった。」 などという話を聞かされました。
このような人たちと上手く連携できると、自然監視のシステムができそうにも思うのですが、 生田緑地に拠点を持っていない者には、その構築は困難なことに思えます。

【B】10:43〜10:47 ヨシ原階段下の水流
階段下の水流の流量は見るからに多く、水路脇にも水が流れていました。
流量を計測してみると、5リットルのバケツが2秒で一杯になりました。こんなことは初めてのことです。 このところの雨の降り方が効果的に湧水量を増やしているようです。
谷戸の谷底部の草地ばどこも水浸しです。

【A】10:48〜11:10 下の田圃裏の水流
木道の上で、水質を試薬で検査していると、ヤトセスジジョウカイ、ケバエ、クロセンブリが近くまで飛んできて、煩いぐらいでした。 気温が上がって、小さな昆虫がたくさん飛び出しているようです。
シュレーゲルアオガエルの声に混ざって、ニホンアマガエルの声も聞かれました。
排水路の途中に枯れ草などがつまって流れが悪くなっていました。 手で取り除いているとトンボのヤゴがいました。


【H】11:20〜11:35 上の田圃の導水路
上の田圃の上の段にいたカルガモは下の段に移っていました。 すっかり居ついてしまって、逃げる気配がありません。
導水路に溜まった泥をあげていたら、オニヤンマのヤゴが出てきました。
田圃の畦は、ケキツネノボタン、タガラシ、ヤブタビラコなどの黄色の花で賑わっていました。


【G】11:42〜11:51 湿地3段目の池
湿地3段目の池は、すっかり日当たり良くなっているので、水温は24℃になっていました。

【C】12:12〜12:19 ハンノキ林上の池
ミヤマシラスゲの花も咲き始めました。
雨のお蔭で、池の水が澄んで、オタマジャクシ、メダカ、ヌカエビなどが良く見えました。


2012年4月28日 調査結果
調査地点 気温℃ 水温℃ 透視度cm PH 流量 L/sec.
K(ヨシ原の池) 20.8 18.0 65 6.9 BTB
B(中央水路末端) 20.8 16.0 100 7.0 BTB 2.50
A(下の田圃裏) 22.0 15.0 90 6.8 BTB 0.85
H(上の田圃への導水路) 20.5 14.0 60 7.2 BTB 1.26
G(湿地再生地) 22.0 24.0 100 7.2 BTB
C(ハンノキ林上の池) 22.1 14.0 100 6.7 BTB


この日、調査中にミミナグサが咲いているのを観察しました。
在来のミミナグサです。 オランダミミナグサに比べて、珍しい存在になりつつあります。

こちらが、オランダミミナグサです。 ヨーロッパ原産の外来種(帰化植物)で、繁殖力は圧倒的に大きく、市街地から緑地まで広範囲に普通に見られます。

生田緑地の谷戸の自然保全活動のメインページへ

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation