生田緑地の谷戸の自然保全活動




大場信義先生のスジグロボタル調査の案内
日時 2012/6/8(金) 13:00〜15:20 晴
場所 生田緑地の谷戸の水辺
参加者 大場信義
ガイド 岩田臣生、岩田芳美

ホタルの権威である大場信義博士が、生田緑地のスジグロボタルを観察するために来園されました。
大場先生は横須賀市自然人文博物館の学芸員であった時から、地元の三浦半島各地でホタルを復活させる活動を続けてきました。 ホタルが生息できるような環境を再生し、身近な生物であったホタルを通してコミュニティを再生することに努力されています。
ホタルの季節は日本全国にも出かけられて大変忙しいのですが、生田緑地のスジグロボタルを観察するために無理をして時間をつくってくれました。
水田ビオトーフ班では、生田緑地の谷戸の自然の保全活動を進めようとした2004年10月にシンポジウム「市街地の中の里山“生田緑地”の自然をどう考え、どう保全するか」を開催しましたが、その時に講師として参加して戴きました。また、2007年12月には生田緑地植生管理協議会市民部会の勉強会「ホタルの生息環境を考える」の講師としても来園していただきました。
しかし、いずれもスジグロボタルの発生時期ではありませんでしたので、今回は、漸く、スジグロボタルの成虫の歩き回る様子などをじっくり観察して、楽しんでいただけたと思います。
スジグロボタルは寒冷地の生物で、国内では北海道と本州の高山地帯、例えば上高地など、に分布しています。
先生は、生田緑地のような平地に生息していることに不思議を感じて、研究意欲をわかせていました。
寒冷地のスジグロボタルの幼虫の形態的特徴と関東地方に生き残ったスジグロボタルの幼虫の形態的特徴に違いがあることに気がついて、 そのことを検証しようとしています。
その差異がどのようにして生まれたのか、どの様な意味を持つのか、裏に隠された謎を解くことに研究者の探究心を燃やしているようです。
ビジターセンター2階で待ち合わせしました 生田緑地では木道からスジグロボタルを観察できます
2時間程かけて、中央地区の複数箇所について、成虫とその生息環境をご案内しました。
スジグロボタルが何箇所もの場所に生息していることが生田緑地の素晴らしさだと、先生は言われました。
また、寒冷地の生息地に比べて個体密度が非常に高いことが特徴で、その密度を支えている餌が何なのかを調べるという宿題を残して帰られました。

生田緑地の谷戸の自然保全活動のメインページへ

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation