生田緑地の雑木林の中、イヌシデの大木の幹の地上10m程の所に大きなスズメバチの巣があります。 観察していると少しずつ大きくなっているようです。 巣を拡張しているのでしょうか、巣の表面には20匹程のスズメバチがいます。 私たちは11月までは当該林内の活動を控えるようにしています。 カナムグラ駆除 日時 2013/8/29(木) 10:00〜13:00 晴 場所 生田緑地湿地 参加者 岩田臣生、岩田芳美 この日は湿地のカナムグラ駆除を行いました。 私たちが「湿地」と言っている場所は、昔は谷戸の一番奥の田圃だった所です。 ところが、狩野川台風による土砂崩れで田圃が埋まってしまったそうです。 当時の地主さんは水田耕作を諦めて、排水を良くして畑にしようと努力したそうですが、何処からともなく水が浸み出してきて畑にならなかったという話を聞きました。 水田ビオトープ班では、昔、ここに生育していたという植物の復活を目指して、2004年11月から湿地に再生する活動を進めてきました。 9年弱の活動ですが、一度壊してしまった田圃は湿地にする事さえ困難であることを知ることとなりました。 新たに田圃をつくることは資金を投じれば容易いと思いますが、シードバンクからの植物の復活は望めません。 元の地主さんの努力のお蔭か、時々水が抜けてしまったり、生田緑地の湧水が不安定になっていることなどから、水辺の生物の生息環境としてはまだ安定していません。 しかし、シードバンクからは様々な植物が復活してくれました。 勿論、目標とした植物は復活し、年によって盛衰はありますが、今年も開花し、結実しています。 そういう場所ですが、必要以上に手を入れない管理をしてきました。 管理強度が低くなると、その環境において強い植物が優占してくるようです。 カナムグラは他の植物の上を覆うように繁茂して他の植物を枯らしてしまう侵略的な植物です。 実際、カナムグラの海のごとき状態になっていました。 そこで、今回のカナムグラ駆除となりました。 ところが、この季節、ツリフネソウ、オオミゾソバ、コバノカモメヅル、アキノウナギツカミなどがカナムグラと混在しています。 ツリフネソウやオオミゾソバは、ここでは刈っても構わないと思いますが、アキノウナギツカミやコバノカモメヅルなどは、ここで大事にしてあげたいと思っています。 そのため、できるだけカナムグラだけを取り除くことにしました。 このような細かい作業なので、なかなか骨が折れます。 湧水の流量が少ないためか、1段目の水の流れが途中で消えています。 幸い、2段目の水は涸れていません。これも手を入れる必要があります。 また、ここのヨシも駆除してしまおうと思っています。 明るい低茎湿地を目指すことにして、攪乱の強度を少し増した方が良いと考えています。 暑さの中の作業ですので、1回の作業が2時間を超えないようにしています。 ですから、とても1回で済む作業ではなく、更に2〜3回は実施する必要があると思います。 湿地2段目はチゴザサが問題です。 下の田圃では再生当初は繁茂し、元の地主さんからも「こいつには困らされた。これがあるので、あんたたちには水田耕作は無理だと思った。」と言われたことがありました。 しかし、毎年の田起こしによって衰えて、問題にならなくなっています。 湿地でも田起こしのような活動が繰り返し入ることで解消できるのではないかと考えていますが、 一度徹底的に壊された田圃はなかなか田圃の土に戻ってくれません。 9年経って、土はいくらか柔らかくなっていますが、まだまだ時間がかかりそうです。 このため、まだ当分は園芸的とも思われる活動が必要だと考えています。 この日は、いくつかの植物の状態を観察しただけです。 ツリフネソウが、まだ点々とですが、咲き始めました。 アキノタムラソウやゲンノショウコ、コバノカモメヅルも開花しています。 コバノカモメヅルは、ここでは、2004年に1株だけ確認され、植物班から「これは大事に」と言われていました。 この日は、カナムグラと絡み合ったり、ハンノキに絡んだりと、ここでは明らかに増えています。 昆虫では、谷戸を上下するナガサキアゲハ、葉から葉へ移動するダイミョウセセリやイチモンジセセリ、卍行動をするコミスジ、 水辺ではシオカラトンボやオオシオカラトンボ、上空や水面近くを飛翔するオニヤンマ などが観察されました。 帰り道、園路際でサトクダマキモドキ♀やツルニンジンの花を観察しました。 |
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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation