生田緑地の谷戸の自然保全活動



モニ1000) 水環境調査
日時 2014/9/27(土) 10:00〜13:30 晴後曇
場所 生田緑地稲目谷戸
参加者 岩田臣生、政野祐一

9月期の水環境調査を行いました。

谷戸のオオミゾソバの花が増えて、ツリフネソウとの競演が見られるようになりました。
上の田圃付近ではマユタテアカネが出迎えてくれました。 体の大きなオニヤンマよりも、アカトンボが似合う季節になってきました。
毎日、生田緑地を散歩しているという人が、田圃の上にアカトンボが沢山飛んでいて気持ち良い季節になったと話しかけてきました。


下の田圃の裏の水流から田圃に水を入れるパイプの口を塞ぎ、計量樋の下流側の水路の泥をあげました。 水路に繁茂していたキショウブ、ヨシなどは刈り取りました。 これは、計量樋の落し口にバケツを置く深さを確保するためです。 ここまでしておいてからヨシ原に向かいました。
下の田圃にはマユタテアカネのほか、アキアカネも来ていました。この谷戸では今秋の初認だと思います。 下の田圃では、実った稲穂は無くなってしまいましたが、アカトンボが飛んでいると嬉しくなります。


10:30〜10:42 K ヨシ原の池 
水面には浮遊物が多く、濁って見えました。
ここにはマユタテアカネ♂?とコノシメトンボ♂が縄張り争いをしていました。
水底には3cmほどのアメリカザリガニが数匹いました。 このクラスのアメリカザリガニを捕獲するためのトラップを考える必要があります。


10:45〜11:12 B 谷戸末端の階段下の水流
計測用パイプには水が流れていませんでした。 漏水している部分を止めることで、僅かに垂れるような流れを計量しました。


11:20〜11:50 A 下の田圃裏の水流
水流にはホトケドジョウのほか、大きなガガンボの幼虫に食いついている小さなヤマトクロスジヘビトンボの幼虫がいました。
体に勝るガガンボの幼虫はヤマトクロスジヘビトンボの幼虫を振り回すのですが、ヤマトクロスジヘビトンボの幼虫は大アゴを放しません。
薄暗い流れの水底での生存をかけた戦いは続いていましたが、見続けたい気持ちを断ち切って、調査を継続しました。





11:52〜12:12 H 上の田圃への導水路
ハラビロカマキリが木道の手摺りを歩いていました。


12:15〜12:50 G 湿地3段目の池
池はカナムグラやススキに覆われていました。 周囲を鎌で刈り取ってから調査を開始しました。

ただ、水が少なく、流れ込みも無かったことから、1段目の水路を点検したところ、途中で水が消えていました。
湧水の流量が少なくて、土に浸透する量をカバーできないのかも知れません。
カナムグラや水路内のミヤマシラスゲなどを刈り取って、水路の泥上げを行う必要があります。 合わせて、先日応急的に補修したような水漏れの原因となる孔を塞がなければなりません。
しかし、これは次回の活動で行うことにしました。 1段目の作業だけでも、2〜3時間はかかりそうです。
この場所は、谷戸の一番奥の田圃で、昔はカワニナがウジャウジャいたと元の地主さんから聞いていました。 そこで、私たちは、その頃の状態に近い湿地にしようと考えて活動しています。 しかし、一度田圃の底を壊して、排水を良くするための努力をしていた場所を湿地にするのは難しいものだと、水が涸れる度に痛感させられています。
間もなく、活動開始から10年になります。 何とか早く安定した水辺をつくりたいと思うのですが...。

13:00〜13:15 C ハンノキ林上の池
この日も水は薄く白濁していて、とても湧水とは思えない状態でした。




2014年9月27日 調査結果
調査地点 開始時刻終了時刻 気温℃水温℃ 透視度cmPH 流量 L/sec.
K(ヨシ原の池) 10:3010:42 21.718.5 277.0 BTB
B(中央水路末端) 10:4511:12 21.317.7 376.9 BTB 0.019
A(下の田圃裏) 11:2011:50 21.418.0 407.0 BTB 0.084
H(上の田圃への導水路) 11:5212:12 21.118.2 407.3 BTB 0.137
G(湿地再生地の池) 12:1512:50 20.620.1 156.9 BTB
C(ハンノキ林上の池) 13:0013:15 20.019.3 276.8 BTB





生田緑地の谷戸の自然保全活動のメインページへ

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation