谷戸の水辺保全 日時 2016/5/12(木) 10:00〜12:30 晴 場所 生田緑地 湿地、上の田圃、田圃下の草地 参加者 岩田臣生、岩田芳美、鈴木潤三、田村成美 倉庫のシャッターにヒオドシチョウの幼虫がいました。 ヒオドシチョウは2年前から、生田緑地でも時々出会えるチョウになりました。 しかし、こんな所で出会うとは予想していませんでした。 蛹化する場所を探していたのだと思いますが、ここは困ります。移動させてもらいました。 今日の活動は、谷戸の水の状態をモニタリングして、急いで手を入れる必要がある場所に手を入れることと考えました。 湿地 谷戸の水辺の全てを点検するつもりでしたが、まずは湿地の水の状態を観察しました。 1段目では途中の土嚢堰の脇が崩れていて、堰の役目を果たしていませんでしたので、これを補修しました。 この堰が無いと、上側に水溜まりができません。 ここに水溜まりがあることは重要だと考えています。 堰を除けば、流れとしてはまずまずで、1段目から2段目に落ちる水は良い状態でした。 2段目は、この湿地の再生目的であった植物を保護している場所ですが、前回の活動で少し攪乱しました。 そこに残したオニスゲは勢いを増していました。 攪乱後に発芽してきたミゾソバは、泥の中にすき込みました。 ここからの流れと、竹林側からの水流とが合流する辺りの水溜まりが消えていました。 この水溜まりをつくるための土嚢堰の直前に穴が開いていて水漏れしていましたので、この穴を塞ぎました。 しかし、なかなか水が溜りませんでした。 また、今まで無かった所に水溜まりができていたり、水が設定した場所以外の所から3段目に流れ出ていました。 何処から漏れて、どこを通って、3段目に流れ出しているのかが分かりませんでした。 この水漏れの流路は、早く見つけて止めておかないと、この流れによって土が削り流されて、土手部分が崩壊する危険も考えられます。 次回以降、注意して、畦部の補強を考えておきたいと思います。 そんなことで、どこからともなく、3段目には水がきていて、ある程度の水面が広がっていました。 ただ、末端部には大きな穴が開いているようで、そこを流下する水音が聞こえましたので、この穴を塞ぎました。 しかし、辺りには他にも穴があるようで、一向に水が溜る気配がありませんでした。 ここは末端部なので、今後、少しずつ改善できればよいと思いますので、ここまでにして田圃に移動することにしました。 湿地のカナムグラ刈りも始めました。 上の田圃 田植えは今月末の予定なので、湛水できているかが気になり、上の田圃に移動しました。 田圃周りの草地にアオダイショウがいました。 大きな個体ではありませんでしたが、追われるように田圃に逃げ込みました。 田圃上の水路では、アズマヒキガエルの幼体が上陸を開始していました。 アズマヒキガエルの幼体は小さくて、心配になりますが、これらが皆、あの大きなアズマヒキガエルに育ったら大変です。 食べられる立場の生物が増えることは、生態系を豊かにしてくれることでもあると考えています。 水域には、ホトケドジョウの稚魚、シュレーゲルアオガエルの幼生がいました。 田植えが終わるまでは、ここにいて欲しいと、勝手に願っていました。 田圃の上空や周辺には、シオヤトンボ、クロスジギンヤンマ、 ヤマサナエなどが見られました。 田圃の水が少し減っているように思われましたので、上の段も、下の段も、水漏れ穴を調べて、塞ぎました。 新しいものは少ないと思いましたが、新旧合わせて多数のアメリカザリガニ穴が口を開けていました。 先日補修したばかりなので、少しがっかりしました。カルガモが田圃から離れてくれないと鼬ごっこかも知れません。 少しずつでも粘土を集めて、一つ一つ、泥ではなく粘土で潰していくことを考えないと際限がないかも知れません。 田圃下の水溜まり 堰をかさ上げしたり、水漏れ穴を塞いだりした後では、田圃下に水溜まりをつくるために数年前に掘った凹みには、水が溜っていません。 それでもアメリカザリガニが数匹いましたので、田圃活動の前には、水が流れてきていたのでしょう。 勿論、アメリカザリガニは駆除しました。 今春、この水溜まりから流れ出した水を流す浅い水路を掘りましたが、これは、すっかり草に覆われていました。 一面に繁茂したオヤブジラミが結実していました。残念ながら、アカスジカメムシは見つかりませんでした。 オヤブジラミと微妙に棲み分けて一面に繁茂し、花を咲かせているイネ科植物が辺りを優占していましたが、種名は分かりませんでした。 谷戸の草地は、春から夏にかけて、2週間程度で、優占種が替わっていきます。 この水路の位置を探りながら、草刈りを行い、少し前までは水が流れていたとみられる水路を露わにしていきました。 オギの繁茂していた辺りにつくった水溜まりには水が溜っていて、アメンボが来ていました。 この場所に、通年、水溜まりができるようになると、生物の生息環境としては面白くなりそうです。 しかし、早くもカナムグラが、周囲の草にしがみついて伸びていました。 気が付いたカナムグラは抜きましたが、これから際限なく、育ってくるでしょう。 帰り道、ハンノキ林で倒れていたイボタノキを起こして、伐採して積んであったアカメガシワの枝で支えました。 ヤマグワの実がなり出したのを見ていたら、見慣れないハムシがいました。 後で調べたら、キベリクビボソハムシのようです。 神奈川県昆虫誌2004には、川崎の記録がありませんでした。 第9次川崎市自然環境調査では、川崎の生物目録づくりを目指して調査を始めています。 気になったのなら、何故採集しなかったのかと御叱りを受けても仕方ありません。 今年はオカタツナミソウが園路から多数観られます。 タツナミソウも咲いていました。 |
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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation