日時 2014/9/13(土) 10:00〜13:10 晴
場所 生田緑地 皆伐更新地区
参加 深瀬典子、松岡嘉代子
(富士通)岩渕裕輝、蔵本俊秀、長谷川裕、松原通仁、安田亨、渡邊洋己
(雑木林を育てる会)白澤光代
(かわさき自然調査団)佐藤登喜子、吉留憲子、政野祐一
(生田緑地整備事務所)清田陽助
(生田緑地運営共同事業体)額谷悠夏
(市民部会事務局)岩田臣生
今年の里山倶楽部Bでは生田緑地を歩いてモニタリングすることを試みてきました。
9月の里山倶楽部Bは、その第4回目です。
対象は東生田2丁目地区とばら苑地区としました。
(01)
対象地に近いということで、集合は東口ビジターセンターとし、ここでミッションについて簡単に説明し、自己紹介を済ませてから出発しました。
(02)
住宅地の街路に入りました。
ここから山道に入ります。
ビジターセンターに戻ってからの意見交換では、車も駐車されていて、道路の行き止まりのような感じで、雑木林の探勝路に入る入口が分かり辛いという意見がありました。
入口看板は入口の横にあり、入ろうとする時に丁度見易い方向を向いているのは正しいのですが、道路を上ってきた時には見えない方向に立てられているのです。
違法駐車があったために、より酷い印象を受けてしまったようです。
(03)
分岐点にある道標にばら苑の開園期間と時間が記載されていますが、過ぎた期間が表示されていることに疑問を感じる人がいました。
毎回開園前に書き直しているのは問題との意見もありました。
(03)〜(04)
ハイイロチョッキリが落したコナラの枝先が路に沢山落ちていました。
(04)
タマゴタケが出ていました。
(04)〜(04)
おし沼峠方向に出る路です。
路の南側は、かつて繁茂していたモウソウチクが除伐され、林床に丈の低いアズマネザサが広がる雑木林になっています。
ヒヨドリバナが咲いていました。
エゴノキの葉裏にエゴタマバエがつくったエゴノキハヒラタマルフシを見つけた参加者がいました。
(05)
地図の(05)の東側に広がる雑木林は典型的なコナラ・クヌギ群集で、向ヶ丘遊園地の管理区域であったことから多摩丘陵の自然を残している区域です。
市民団体によって下草刈りが行われていた時期もありましたが、犬の散歩をする人たちのマナーが悪かったため、下草刈りを実施できなくなりました。
現在は、アズマネザサが密生し、林床植物は貧相になっているものと思われます。
(06)
生田緑地中央地区からのアクセスのために整備されたばら苑西口です。
ばら苑が開園していない期間は管理していないようです。
タマムシの死骸が1つ、落ちていました。
(07)
ばら苑南側のグラウンドは、疎らな低茎草地といった感じで、バッタ類がいました。
ばら苑を開園していない期間、この草地が利用できないのは勿体ない気がします。
区域南端の斜面の雑木林は、この場所が住宅地に囲まれていることを忘れさせてくれます。
その雑木林の裾に接している所は、オギ、オオブタクサなどが帯状に棲み分けて群落を形成していました。
この草地の植物は帰化植物の方が多かったようです。
(08)
ばら苑ボランティアが手入れに忙しくしている側を通り抜けさせていただきました。
(09)
ばら苑北側の入口は表口ということですが、状態を見れば、こっちの方が裏口だろうと殆んどの人は思ったことと思います。
アプローチの階段下は、ただの空き地にしか見えませんでした。
樹木の上をクズが覆い、舗装された地面には草が生えていました。
(09)〜(09)
湧水の滲み出しが舗装面に広がり、キセキレイが来ていました。
その水辺には、シオカラトンボのほか、オオシオカラトンボまでいました。
また、繁茂していた草むらには、羽化して間もないと思われるツチイナゴがいました。
自然を大事にしたいと思う人は、使わない期間は放置してあることを良いことだと思いますが、
開園していない期間に、然るべき手入れを行うべきと考える人もいました。
(10)
通称もみじ谷です。
ここにも僅かに湧水が滲み出しています。
谷が土で埋められ、駐車場として使われるようになっても、暫くはゲンジボタルが発生していたようです。
正面の斜面は全国植樹祭の時に植樹が行われた場所です。
12時にはビジターセンターに戻って、意見交換を行いたいと思っていたので、近くまで行って育成状態を調べることは省略しました。
参加者から「あれは枯葉ですか?」と尋ねられたものを良く見ると、ヤママユガ♀でした。
細い草につかまっていましたが、殆んど地面から離れていません。指を出すとつかまってきて、逃げようとしません。
どうやら飛べないようです。
ヤママユガは天蚕とも呼ばれ、クヌギ、コナラ、シラカシなどの葉を食べて、全国の山野に棲息する野蚕の代表格です。
当該地区の樹林が、ヤママユガが生息するコナラ林であることは、閉鎖管理されていることも幸いして、多摩丘陵の自然が残っていることを物語っていると思いました。
(06)〜(06)
宿河原2丁目地区の谷戸は遷移が進んで一部シラカシ林と呼べそうな場所もあることから、時間的には省きたいところでしたが、そのような遷移が進んだ状態を見たいとの希望があったので、急ぎ足で見に行きました。
(03)〜(11)
この部分は東生田2丁目地区の中央部の樹林の中を歩くので、樹林の状態を知ることができます。
(11)〜(11)
この部分は当該住宅地の一番奥の部分で、住宅地というよりは山奥の別荘地の感じでした。
生田緑地で普段活動している人でも、ここは初めて来たという発言が聞かれました。
10年前は、もっと開けた感じでしたが、今は草木が生い茂り、ここが川崎市内の住宅地とは思い難い景観です。
オオブタクサなどの繁茂が見られました。
(01)
大急ぎで東口ビジターセンターに戻って、感じたことについて話し合いました。
●生田緑地にこのような所があるとは知らなかった。
この区域に人を誘導するようなイベントなどをしていないのは、何か理由があるのか?
当該住宅地の住民との間の関係は良好なのかといったことを考えていた。
●住宅地に接しているにも関わらずゴミが無くて、歩きやすかった。
●(11)付近で大きな枝が倒れていた。
●このような形で住宅地と樹林が混在している状態は、東京都では見られない。
混在の仕方が面白いと思った。
●改めて見て見たら自然が豊かだと思った。
どうやって、この自然を残せばいいのか、考えてしまった。
●6月のゴルフ場の外周でも自然が残っていると感じたが、今日はもっと自然が残っていると感じた。
朽ちている部分については手入れをした方がいいと思う。
予算のこともあると思うが、木が落ちてくるようなことがあっては拙いと思う。
鬱蒼とした茂みは防犯上の問題がある。
標識が茂みにかかって見えない所があった。
ばら苑を開園していない時でも、グラウンドや駐車場のところなどを使えるようにした方がいい。
●ばら苑の周囲の樹林がバラの栽培にとって防風の役割を果たしているということは、今まで知らなかった。
住宅が山の中に入り込んでいる景色は奥多摩などの景観に似ている。
川崎にも、こういう場所があるんだと驚いた。
これは、これで、一つの形として残していくのも大事なのかなと思った。
●ばら苑の入口の脇に喫煙場所が設けられていたが、中途半端で良くない。
駐車場のところも、ロープがあって、開園中は駐車場になるのかも知れないけれど中途半端な感じがした。
●散策路はあるが歩いている人は少ない。
この地区に行きたくなるような何らかのビュースポットがあったりすれば、自然を楽しめる場所にできる。
●自然がいっぱい残っていて良かったと思ったが、普通の人はばら苑の時でないと行くことは無いと思う。
●ばら苑の周囲の路も歩きたくなるような路になったらいいと思う。
植物についても、特別珍しいというものは無かった。
●(06)の往復した部分は道があるのか無いのか分からない。
せめて入口の所だけでも、案内が欲しい。
そのためか、自然が残っていて良かったとも思う。
一人では行き難い。道に迷ったのかなと思った。
●ドングリが落ちていたり、キノコが生えていたりして楽しかった。
住宅地から樹林に入るところが、入っていいのか迷う感じの状態だった。
入口の部分だけでも草刈りをしておいた方が良い。
(11)〜(11)のところは住宅と樹林が入り組んでいる。
住民と協力して樹林(自然のエリア)の管理をしたら良くなると思う。
●住宅地の住民としては、ばら苑に来園する人が往来することを良しとしない。
●住宅地内の道路も公道なので、通行しては困るというのはおかしい。
個々の問題を解決することで、気持ちよく通行できるようにできるのではないか。
●ばら苑開園期間以外は、この区域に人を誘導することは考えていなかった。
生田緑地に、このような場所があるということを伝えるようにしたいと思った。
●今日の活動中に、オナガバチの仲間、ツチイナゴ、オオシオカラトンボ、コノシメトンボ、キセキレイに出会い、タマムシの死骸を拾い、ヤママユガ♀を拾った。
生物との出会いの無い緑地は魅力が無い。度々訪れる気にはならない。
こうした生物に出会えたことで、樹林の豊かさが伝わってくる。
このエリアの樹林は、中央地区の樹林と比較しても負けない自然度を有しているかも知れない。
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