里山倶楽部A
【2017/8/5 更新】
生田緑地の皆伐更新を考える市民部会

日時 平成29年(2017) 8月 5日(土) 10:00〜12:30 晴
場所 生田緑地市民活動室&飯室山南皆伐更新地区
参加者
   (自然会議会長)磯谷達宏
   (里山倶楽部A参加者)工藤真貴子、思由(高2)、千穂(小6)
   (元川崎市北部公園事務所職員)山口泰民、鈴木修司
   (森林総合研究所多摩森林科学園)島田和則
   (生田緑地の雑木林を育てる会)白澤光代
   (生田緑地運営共同事業体)額谷悠夏
   (生田緑地整備事務所)矢口菊子、山本栄行
   (前生田緑地整備事務所職員)清田陽助
   (かわさき自然調査団)佐藤登喜子、藤間A子、野口美年子、政野祐一、吉留憲子
   (かわさき自然調査団市民部会事務局) 岩田臣生、岩田芳美         19名

 生田緑地の雑木林は環境省の特定植物群落「生田の雑木林 50ha」として指定され、2007年度の生田緑地植生管理協議会において落葉広葉樹林として保全することを合議しましたが、 老熟化、また遷移が進んでいることに対して何を行えば保全できるのかということが大きな課題としてありました。
 そんな生田緑地では、2009年10月の市民部会で、飯室山南地区で皆伐更新を実験することを話し合いました。
 皆伐対象地は、園路から見えない、南向き斜面、勾配が比較的緩いコナラ林という条件を備えていました。
 生田緑地では、1998年末に萌芽更新を繰り返す樹林を目指してコナラ林 1200平方メートルを伐採していて、萌芽更新地区と名付けていました。 しかし、当時は、萌芽更新という管理活動を行う仕組みがありませんでしたので、萌芽更新地区と呼べるような樹林にはなりませんでした。
 しかし、2006年に、生田緑地植生管理協議会の会則を変更して市民部会という仕組みをつくりましたので、この時点では、市民部会が皆伐更新という管理活動を行えると考え、 改めて皆伐を行うことが決められました。
 生田緑地の雑木林を落葉広葉樹林として保全するためには、更新という手法を取り入れる必要があると、皆が考えたからで、 適度な区域の樹木を伐採して、若い樹林地を生み出す技術、そして仕組みを持つ必要があると考えたのです。
 この合議に基づいて、翌2010年1月の市民部会で樹木調査を行い、2010年5月の市民部会で樹木マップをつくり、近隣の事例調査等を進めました。
 生田緑地のコナラは直径30cmを超え、樹齢50年というもので、専門家に尋ねると萌芽更新はできないという答が返ってきました。
 そこで、当該地の皆伐更新では、萌芽更新だけに頼るのではなく、自然に発芽した実生を育てることも行い、更には、自然の発芽が得られなければ、別の場所で育てた苗を植えることも 行うつもりで準備を進めました。
 そして、2010年11月の市民部会でコナラの伐採を市民が体験することから開始し、12月には業者による伐採を行いました。
 市民部会で皆伐更新の管理を進めると言っても、どのような管理を行えば良いのかが分かりません。
手探りで進めるとなると、4〜12月の毎月、手入れを行い、状態を観察しなければ不可能だと考えました。
また、林と言える状態になるには少なくとも 7年は必要だという話も聞きました。
そこで、長期に渡って継続的に活動してくれる人材が必要だと考え、子どもたちに参加してもらいたいと思い、里山倶楽部Aという仕組みを新設することにしました。
これは、年間登録制の主に母子による里山ボランティアの仕組みです。
 この里山倶楽部Aの活動は、今年、7年目を迎えましたが、皆伐更新地区における管理活動は既に年1回程度で十分な状態になり、間もなく若い樹林になるだろうと思われる状態になっています。
若いコナラ林に育てるための管理としては、将来の高木層を構成することになる実生木を中心に考えてきましたが、これからは林床の草本植物を意識した下草管理を行う必要があると思います。
そこで、皆伐更新地区の現況を、生田緑地の植生に関心のある皆さんに知っていただき、今後の皆伐更新地区の管理や里山倶楽部Aの活動についての理解をいただきたいと思い、 今回の「生田緑地の皆伐更新を考える市民部会」を開催しました。
 今までの皆伐更新地区の活動経過については こちら を参照してください。
 里山倶楽部では、通常のことですが、参加者の紹介をしてから、皆伐更新地区の現状を観察するために飯室山南地区に向かいました。


途中、桝形山の手前では、斜面の崩壊を防ぐためにコナラ等の大枝を伐り落としている場面に出会いました。


飯室山手前では、枯れたサクラが倒れていました。
冬期には、この辺りから皆伐更新地区を確認することができますが、今は見ることができないことを確認しました。


皆伐更新地区に着きました。
今年は、6月3日に活動したのですが、それから 2ヶ月しか経っていないというのに、木々の成長に驚かされました。
区域内を自由に観察していただきましたが、ある程度大きくなってからの木々の成長は著しいので、最近は活動の度に、どこを歩けば良いのか迷ってしまう有様です。
コナラの枝先の葉が虫に喰われていることから、ブナ属の樹木が年に2段階で枝を伸ばすことを教えていただきました。


現地の観察を終えてから市民活動室に戻って、感想や意見を聞きました。
特に、里山倶楽部Aの草創期からのメンバーである工藤さん母子には、この活動についての感想を聞きました。

私たちの生田緑地における活動と接点の多かった元北部公園事務所の職員の山口さん、鈴木さんからは、市民が進めてきた皆伐更新の現状についての感想を求めました。


その他の参加者からも感想や意見を聞き、最後に、専門家でもあり、生田緑地自然会議会長でもある磯谷さんからも意見をいただき、 予定時間を過ぎてしまいましたが、「生田緑地の皆伐更新を考える市民部会」を終了しました。



生田緑地萌芽更新地区の観察

日時 平成29年(2017) 8月 5日(土) 13:00〜14:30 晴
場所 萌芽更新地区
参加者
   (自然会議会長)磯谷達宏
   (元川崎市北部公園事務所職員)山口泰民、鈴木修司
   (森林総合研究所多摩森林科学園)島田和則
   (生田緑地整備事務所)矢口菊子、山本栄行
   (前生田緑地整備事務所職員)清田陽助
   (かわさき自然調査団市民部会事務局) 岩田臣生、岩田芳美         9名


お昼のお弁当を済ませてから、希望者を萌芽更新地区に案内しました。
萌芽更新地区は、1998年に伐採され、萌芽更新地区と名付けられたものの、萌芽更新事例調査のために近隣から訪れた人たちを落胆させ、不評を買っていました。
2008年1月の市民部会では、萌芽更新地区の現状を観察し、改めて、萌芽更新地区と呼べる雑木林、萌芽更新を観察できる雑木林にすることを合議しました。
これに基づいて、2009年1月〜2011年1月には大径木を数本伐採して林床を明るくしたことで、いじけた感じだった捕植クヌギ等が急に元気になりました。
そこで、2013年1月にはコナラ2本、クヌギ1本を伐採して、萌芽更新の可能性を調べました。
このコナラの萌芽はアブラムシ等に襲われ、枯れてしまいましたが、クヌギの萌芽は生き残りました。
そこで、2017年1〜2月期に、萌芽更新を目指して、Φ20〜30cmのクヌギ・コナラの伐採を行いました。
この日は、これらの萌芽枝が伸びていましたし、2015年5月2017年7月に植えた クヌギの苗も育っていました。
 萌芽更新地区の管理経過については、 こちら を参照してください。

1998年の伐採時に地上2mで伐採し、萌芽更新できていたクヌギを今年2月9日に低い位置で伐採(Φ33cm、47齢)しましたが、この切り株から萌芽がありました。


萌芽更新地区上側の木道近くに生えていたハンノキが倒れていました。


谷戸へ降りる階段の途中のスロープの部分に凸凹が生じていました。

かわさき自然調査団の活動

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation