令和 4 年度第 16 回里山倶楽部 <ハンノキ林東地区の伐採更新(大径木伐採)> 日時 2022年10月15(土) 10:00〜13:00 曇 場所 生田緑地 ハンノキ林東地区 参加者 伊澤高行、岩渕裕輝、野下智弘、中村康造 事務局 岩田臣生、岩田芳美・・・6 名 朝の西口トイレには、コウモリガ?がいました。 コウモリガは、農業害虫として知られていますが、コナラなどの苗木も食害するので、里山保全にとっての林業害虫と言えるかも知れません。 雨が降るかも知れないという天気予報でしたので、開催できるかどうか不安でしたが、生田緑地整備事務所裏に集合して、ハンノキ林東地区に移動しました。 ハンノキ林の園路沿いのナラ枯れコナラの伐採については、2021/1/19(火)に、生田緑地整備事務所と、伐採材の置き場所などについて、 現地協議を行い、2021/1/21(木)に、材の置き場所と運ぶ道をつくり、年度末には、伐採していただきました。 当時、ハンノキ林東地区はアズマネザサのヤブに覆われていて、ナラ枯れの状態を知るのは困難でしたが、秋も深まると、大きな落枝が大量に見られるようになりました。 そこで、2021/12/7(火)に、中央地区北側の谷戸を歩いて、ナラ枯れの状態を調べました。 ナラ枯れが注目される場所は、コナラの多い樹林ですが、こうして観察調査を行ってみると、特定植物群落「生田の雑木林」と呼ばれていても、コナラ林と呼べる樹林は意外に少なかったのだと感じました。 そこで、コナラ林に再生できる樹林は、できるだけ再生させたいと思いました。 私たちは、将来起こるかも知れないナラ枯れに対して、コナラ林の再生を可能にする皆伐更新を、2010年末には、飯室山南地区において試して、現在では、若齢コナラ林に育っています。 この皆伐更新の皆伐は、行政によるものでしたが、同時期に始めた萌芽更新地区のやり直しの伐採更新については、樹木の伐採も行うもので、当初は太くても径20cm程度の伐採でしたが、 今年(2022) 2月には、飯室山南地区において、径50cmもの大径木の伐採を行うまでに、技術レベルが向上しました。 こうして、里山倶楽部は、その場の自然を観察調査して、必要な伐採を行って、発芽した実生を育てて、コナラ林に再生することができる仕組みになりました。 ハンノキ林は、生田緑地の湧水が染み出し始める標高に形成された自然林であり、水辺には、多様な生物が棲息していますので、その隣接地の樹林の状態は重要だと考えています。 その状態については、科学的に説明することはできませんが、自然の変化に、少しだけ手助けをして、雑木林として育てることが適切だと考えています。 昨年(2021) 12月に始めたアズマネザサ刈りは、今年の春〜夏の種子発芽の状態を知りたいと思って始めたものでした。 現地の地形は、谷底に面した急勾配の斜面ですので、散布されたドングリは転がり落ちてしまうのではないかと心配をしていましたが、 斜面には、コナラやヤマザクラの実生の発芽も、多数のドングリも、見られました。 アズマネザサの勢いは凄いのですが、頑張って、アズマネザサ刈りを続ければ、実生を育てて、コナラ林をつくることは可能だと思いました。 後は、この狭くて、急な場所の皆伐ができるかが課題です。 今回は、その第1歩です。 ナラ枯れ大径木伐採は初めてという参加者が2名いましたので、実質3名の活動です。 現地は、急斜面であり、最近の降雨で、滑り易くなっています。 最初に伐採するのは、当該地区の西端に立つナラ枯れ大径木としましたが、残っている枝はかなり高い位置にあるだけでした。 そこで、できるだけ高い位置にロープをかけるために、枯れ竹を取りに、竹林に行ってもらいました。 枯れ竹を待つ間、伐倒に使うノコギリ(カタナボーイ)を、参加者に紹介しました。 対象ナラ枯れ大径木の伐採は、その活動のための足場つくりから始めました。 この枯れコナラは斜面下端部、ハンノキ林との境界部にあり、直ぐ下は、湧水が流れています。 この斜面下端部にはアズマネザサを残して、土留め的な通路もつくっていましたが、対象枯れコナラの根元近くには、受け口や追い口を伐る時に安心して立てる場所がありませんでした。 そこで、積んであった伐採材やアズマネザサを置き直して、何とか立てる場所をつくりました。 次に、受け口を伐る前に、ロープの張り方、伐倒方向などを確認しました。 実は、初めに取ってきた枯れ竹は、ロープを上げる時に折れてしまい、改めて、竹林から2本目の枯れ竹を伐り出してきました。 この作業のための竹は軽い方が良いのですが、高い位置にロープを上げるためには丈夫さも必要です。 ローププーラーは、地区上側の園路沿いのコナラ大径木に固定しました。 やっと、受け口を伐り始めることができました。 いつものように、11:30 頃、一度休憩して、記念の集合写真も撮りました。 活動を再開しました。 受け口を伐り終えたので、本格的に、ロープを引き始めました。 ロープを引き始めたら、伐採対象の枯れコナラは揺れ始めて、そのまま引き倒せるのではないかとさえ思われました。 そのような状態でしたので、追い口を伐り始めたら、直ぐに倒れる時の音を立て、やがて倒れました。 倒れた場所は、斜面下端部のアズマネザサなどの材を置いた場所でした。 カシナガ駆除のためには、細かく玉切りにするべきかも知れませんが、この枯れコナラには既にキノコが繁殖していたので、長いまま置いても問題無いと考えて、当該伐採を終えました。 ただ、今後伐採した材を同じ場所に置いていく必要があると思いましたので、地面から浮いている先端側は切り落としました。 当該地区上の園路沿いでは、林縁環境が形成されていたようで、カシワバハグマや、コウヤボウキが咲いていました。 今回は、ナラ枯れ後にキノコが生えている枯れコナラの材は弱くて、不安定になっていることが、伐採することで良く分かりました。 誰も怪我することなく、無事に、大径木の伐採をスタートできたことを嬉しく感じながら、整備事務所裏に戻って、道具の手入れを行って、解散しました。 |