令和 6 年度第 17 回里山倶楽部 (芝生広場上雑木林のアズマネザサ刈り) 日 時)2024年11月16(土) 9:00〜12:00 曇 場 所)生田緑地 芝生広場上雑木林 参加者)加登勇司、廣瀬朗子 参加者 2名 当該地は、芝生の消えた芝生広場の南側に隣接する雑木林で、2020年1〜2月の5回の里山倶楽部で、高さ4mものアズマネザサのヤブを伐開して、 同年10月から翌翌年の1月まで、18回の里山倶楽部で大径木伐採を行い、2022年夏期に3回、2023年に5回、2024年は、今回が3回目のアズマネザサ刈りです。 今週の里山倶楽部は、伐採更新の見学会を併行開催するため、事務局は活動には参加できませんでしたが、この雑木林で、この2人なら、問題無いと考えました。 加登さんは、2020年1月の最初のアズマネザサ刈りから、当該地の活動の、多分、全ての回に参加していたと思います。 廣瀬さんは、2023年7月からの参加ですが、殆ど、毎回参加してくれていますので、アズマネザサ刈りであれば問題無いと思います。 勿論、休憩時には、事務局も合流して、一緒に休憩し、意見交換も行って、集合写真を撮りました。 ただ、生田緑地整備事務所裏での解散時に受けた報告では、活動中に、親子が入って来て、越冬中の甲虫幼虫の採集を行っていたけれども、注意できなかったということでした。 生田緑地では、園路・広場以外は立入禁止です。 私たちは、「里山倶楽部」の旗を張って、自然環境保全管理会議の活動として、植生管理を行うために、雑木林に入っていることを明示していたと思います。 その上で、入って来て、昆虫採集をしているようであれば、園路・広場以外は立入禁止であること、また、動植物の採集は禁止であることを告げて、 注意していただきたいと思います。 来園者に注意することは恐いかも知れません。 その時は、一緒に活動しているメンバーと一緒に、皆で、注意するようにしてください。 また、出入りし易い状態になってきていることも問題だと思います。 伐採更新を始めた時のように、入りたくない状態、入り難い状態にしておく必要があると思います。 今回の観察を通して、当該地区が、入りたくなるような魅力的な雑木林になりつつあると感じました。 北側に隣接する雑木林と比べても、その差は歴然としていて、伐採更新を行ったことが正解であったと、改めて、実感しました。 緊急対応を検討します。 令和 6 年度第 17 回里山倶楽部 雑木林の再生を考える会 (生田緑地の伐採更新の見学会) 日 時)2024年11月16(土) 9:10〜12:20 曇 場 所)生田緑地 中央広場(集合) 飯室山南皆伐更新地区〜芝生広場上雑木林〜ハンノキ林東地区〜萌芽更新地区 参加者)里山倶楽部メンバー(伊澤高行) NPO Birth(亀山明子) 生田緑地共同事業体(木遼子) 水田ビオトープ班(冨田健斗) 事務局)岩田臣生 参加者 5名 調査団としては、全国都市緑化かわさきフェア生田緑地会場のイベントへの協力として、 中央広場での野外展示に参加し、生田緑地の生物多様性保全の活動を写真で紹介しています。 展示内容は こちらで閲覧できます。 また、併せて、生田緑地で行ってきた伐採更新についての現地見学会「雑木林の再生を考える会」を行うことにして、 その1回目は、先週、11/9(土)に開催しましたが、この日は、第2回を開催しました。 (上図)活動場所図 中央広場に向かう途中、ヤクシソウが咲いていて、モンシロチョウが吸蜜に来ていました。 (9:10 中央広場に集合) 中央広場に置かれた調査団水田ビオトープ班作成の野外展示を使って、 2004年の田圃再生に始まる水田ビオトープ班の20年間の活動と生田緑地の生物多様性についての話を行い、 特定非営利活動法人かわさき自然調査団、水田ビオトープ班、里山倶楽部などの解説は省略しました。 観察する伐採更新地は、前回と同じ、飯室山南皆伐更新地区、芝生広場上雑木林、ハンノキ林東地区、萌芽更新地区の4ヶ所としました。 (飯室山南皆伐更新地区) ここは、2008年1月に、生田緑地植生管理協議会市民部会(愛称、里山倶楽部)を開催し、萌芽更新地区の植生管理について話し合った時に、 将来、生田緑地にも、ナラ枯れが起こるかも知れないと、同協議会の倉本会長に教えられて、ナラ枯れについて調べて、若い雑木林をつくっておく必要があると考えて、 当時、生田緑地を管理していた北部公園事務所に相談し、皆伐更新を計画し、 園路から見えない当該地区で、20m×20m規模の皆伐更新を行なうことになったものです。 この地区の皆伐は2010年末に北部公園事務所が行い、その後の更新管理は市民部会が行ってきました。 14年が経過した現在、若い雑木林になっています。 この皆伐更新によって、市民の手で雑木林を再生することが可能であることが分かりました。 生田緑地の雑木林の林床には膨大な数の多様な植物の種子が眠っているので、樹木の苗を外から持ち込む必要が無いことも分かりました。 この方法なら、その地区の植生の歴史を再現することにもなるので、皆伐翌年から4年間の手入れは大変ですが、生物多様性を保全することは 比較的容易と思われます。 また、皆伐すると消えると言われていた貴重種が、雑木林の再生に伴って復活していたことも特筆すべきと考えます。 前回から1週間経って、少し黄葉が進んだからか、今回も、若い雑木林も魅力的だと思いました。 (芝生広場上雑木林) 生田緑地のナラ枯れが始まったことから、2019/10/19の里山倶楽部で、現地調査を行い、話し合って、 当該地区の伐採更新を行うことを合議しました。 そこは、丈の高いアズマネザサのヤブの中に、何本もの倒木が積み重なり、足を踏み入れることも躊躇われる状態でした。 そこで、翌年(2020)1〜9月に9回のアズマネザサ刈りを行って、同年(2020)10月から翌翌年(2022)1月まで、18回の里山倶楽部を開催して、大径木を伐採しました。 大径木伐採後の更新管理は、2022年夏期に3回、2023年に5回、2024年は、今回を含めると、3回のアズマネザサ刈りを行ったことになります。 前回は、地区内を周回できるような観察路づくりを試しましたので、今回の観察では、そこを歩きました。 同地区へは、生田緑地整備事務所脇の尾根路を降りました。 芝生広場上雑木林の上端の園路からは、麻生区方向の眺望が楽しめますが、当該地区は北向き斜面であり、択伐的な伐採更新を試していることもあって、 育ち始めた実生が茂みとしてしか眺められません。 園路から当該地区に入って、前回の里山倶楽部でつくった観察路を歩きました。 当該地区でアズマネザサ刈りを行っていた二人と合流して、休憩しながら、意見交換を行いました。 当該地区では、多様な植物がある状態を保ちながらの伐採更新を目指していることもあってか、今回歩いていても、多様な植物に出会えました。 伐採材を各所に置いてあるので、越冬場所として利用している昆虫もいるようです。 多様な実生も大きく育っていて、少しながら黄葉となって、辺りを明るくしていました。 ここは、伐採に数年かけてしまう伐採更新ですが、伐採更新を行って良かったと感じました。 記念の集合写真を撮りました。 (谷戸の湿地地区) 湿地地区は、今日のテーマの伐採更新とは関係ありませんが、ハンノキ林東地区に向かう途中の木道で観察し、 水田ビオトープ班が最初に本格的な自然保全活動を始めた場所です。 ここは、昔は、低地部から続く田圃が続く谷戸の一番奥の田圃があった場所です。 狩野川台風による土砂崩れで、田圃が埋まったことから、畑への転用を考えて、排水管布設や水流の掘削などを行って乾燥化が行われました。 水田ビオトープ班では、2004年12月から、水を引いて湿地にして、ある植物の復活を目指した場所です。 今生えているハンノキは、その時は未だ、芽もでていませんでした。 この20年間で、ハンノキが発芽し、成長して、林床の水辺が暗くなってしまったので、ハンノキの萌芽更新を考えています。 (ハンノキ林) ハンノキ林は、環境省の特定植物群落に「生田のハンノキ林」として登録されています。 昔は、溜め池があった場所だと聞いています。 その溜め池を廃止した跡に、自然発生的に形成されたハンノキ林で、林床の水辺には、多様な水生生物が棲息しています。 水田ビオトープ班では、2007年に、ハンノキ林の植生管理主体として、保全活動を行うことになりましたが、 陸地化した林床を湿地に戻すこと、林床の水辺を保全することなどを行っていました。 2018年夏にカシノナガキクイムシが侵入してきて、周囲のナラ枯れが始まったことで、ハンノキ林は明るくなり、ハンノキの実生が発芽したり、 ハンノキが幹から枝を出して展葉するようになりました。 水辺は、ゲンジボタルや、ヤマトクロスジヘビトンボなどの棲息をイメージして管理しています。 (ハンノキ林東地区) ハンノキ林の東側の急斜面は、東側の尾根路から観察しました。 急斜面の彼方此方に大きな切り株があることを観察していただきました。 このような急斜面で、このような大木を、ハンノキにダメージを与えることなく、ノコギリで伐採したことを想像していただきました。 この斜面の大径木伐採は、2022年10月〜2024年1月に行ないました。 更新管理としては、今年 9〜10月に、3回の里山倶楽部で、アズマネザサ刈りを行いました。 コナラ実生は高さ1m超に育っているのが、観察できました。 いくつかの切り株からは萌芽しているのも、観察できました。 私たちが進めてきた伐採更新は、埋土種子を発芽させて、育てて、雑木林を育成するものなので、 ハンノキ林の林床の土壌の埋土種子を発芽させてみたら面白いのではないかという提案をいただきました。 (萌芽更新地区) 国庫補助事業によって、伝統的里山管理である萌芽更新を観察できる雑木林を目標に、1998年末に伐採し、同時に補植も行われた地区です。 しかし、この切り株からの萌芽は、5年で枯れました。 2008年1月の市民部会で、萌芽更新地区の現況植生を調べて、植生管理について話し合い、萌芽更新の失敗を確認しました。 そして、改めて、萌芽更新を観察できる雑木林を目標植生とする植生管理計画を立案し、植生管理協議会に諮って、市民部会が植生管理を実施することを合議しました。 萌芽が枯れただけでなく、補植されていたクヌギなどが弱弱しく、育っていなかったことから、暗い樹林になってしまっていると考えました。 2009年1月から2011年1月は、林内を暗くしていると思われる胸高直径20〜30cmのムクノキ、キリ、アカシデ、ミズキ、アカメガシワ、ヤマグワなどの高木の除伐を行いました。 すると、ゴンズイはじめ様々な実生が育ち始め、生き残っていたコナラやクヌギが勢いを取り戻し、夏草の繁茂が著しくなりました。 そこで、2014年1月に、試しに、コナラ 3本とクヌギ 1本を伐採してみましたが、コナラの萌芽枝は虫害によって枯れて、クヌギの萌芽枝だけが成長できました。 そこで3年待ったところ、補植クヌギの成長が勢いを増して、直径 20cmを超えてきたので、2017年1月〜2019年3月、これらのクヌギの萌芽更新目的の伐採を行いました。 現在、これらの萌芽枝は順調に成長しています。 自然に発芽した実生が育ってきて、間伐を考えるべき状態になっていますが、その中でも、直径23cmのコナラが樹冠を広げて、林床を暗くしている場所がありましたので、 先日、2024/10/26(土)に、このコナラを伐採しました。 萌芽更新地区に入って直ぐの場所でしたので、先ず、このコナラの切り株を観察しました。 そして、このコナラの伐採材を積んだカントリーヘッジを観察しました。 これは、1998年末の萌芽更新地区整備の時に設置したものですが、丈夫な材を使ったものであったので、今も使用可能で重宝しています。 クヌギ(2017/2/18里山倶楽部伐採、2017/2/22伐り直し)を観察しました。 クヌギ(2014/1/18里山倶楽部伐採)も観察しました。 さて、目標植生「萌芽更新を観察できる雑木林」に近づいているでしょうか。 今回の雑木林の再生を考える会では、里山倶楽部の活動についての意見交換がなされました。 里山倶楽部のような活動では、活動に参加してくれる市民を募集することは、大きな課題です。 愛称「里山倶楽部」は、市民部会では人は集まらないと参加者に言われて、愛称を使うようにしたものです。 都会に居住しながら、都合の良い時だけ、里山ライフを楽しめるようになど、様々に工夫はしてきました。 メンバー集めは、完成の無い課題だと思います。 林床にツチグリが出ていました。 12時を過ぎてしまったので、生田緑地整備事務所前に移動して、解散しました。 里山倶楽部参加者を少し待たせてしまいました。 |