生田緑地の生物多様性保全活動


湿地地区2段目の水辺の手入れ  
日時:2025/3/27(木) 9:00〜12:00
活動参加:岩田臣生、田村成美
場所:生田緑地 湿地地区(B05)

今朝のピクニック広場には、久し振りに、シロハラが来ていました。
小さな草の茂みの中で、探し物のようで、絶え間なく、落ち葉?を放り投げていました。
姿は殆ど見えませんでしたが、最近、よく出会っていたので、シロハラだと分かります。

ピクニック広場下では、急な気温上昇のせいでしょうか。
今までに観察したことがない数のナガバノスミレサイシンが開花しています。
今冬のアズマネザサ刈りの効果が出ていると思いました。

湿地再生地区は、トウゴクヘラオモダカを復活させて、保護することを目的にして、2004年末に、水辺づくりの活動を始めた場所です。
トウゴクヘラオモダカが復活して、開花してくれることに安心して、手入れを怠っていました。
ハンノキが発芽して成長したら、ミドリシジミが観察されたので、ハンノキを大事にして、育ててしまいました。
ハンノキが大径木になったことで、樹陰が濃くなりましたが、オニスゲは元気に繁茂していたので、それで良しとしていました。
しかし、トウゴクヘラオモダカは消えてしまいました。
盗掘にもあったせいもあるとは思いますが、決定的な原因はハンノキ林化したことだと思います。
樹陰の無い明るい水辺なら生育できると思いましたが、そこは、ミヤマシラスゲに占領されていました。
自然に任せたのでは、年月を経て、強い植物が優占してしまうことを教えられました。
先輩諸氏から聞いていたように、里山の自然は、適度な攪乱があって、生物多様性が保全されるようです。

昨秋から、直径20〜30cmの大径木になったハンノキの伐採を行ない、樹陰の範囲を小さくしました。
昨夏の高気温はミヤマシラスゲを著しく繁茂させてしまいましたので、ミヤマシラスゲの根茎が蔓延った水辺の攪乱を行うことにしました。
今回は、3本爪の備中鍬、ジョレン、桑切鎌を使いました。
この水辺は、昔は田圃だったこともあり、完全に田圃の土になっていて、膝上まで潜ってしまうような所もありました。
その水辺には、ミヤマシラスゲが新芽を出し、繊維の強い枯れ葉が広がっていました。
ハンノキの樹陰となっていた場所には、オニスゲが新芽を出していましたので、その辺りは、現状のままにしようと思いました。

その土が、鍬やジョレンにまとわりついて、作業が捗らないので、もっと水を入れて、田起こしではなく、代掻きに近い形にしようと考えました。
元々の湧水の流量が少ないのですが、地区1段目の水路の落葉や泥を上げてみました。
3/18(火)の活動では、1段目の水路に丸太堰を配置しましたので、 丸太堰と丸太堰の間には、水が溜まって、水はゆっくりと流れていました。

2段目に入る水の量が増えて、漸く、鍬が使い易くなりました。
草地の攪乱は、田起こしのように、掘り返していけば良いと思うのですが、ここでは、簡単にはいきません。
ミヤマシラスゲの根茎が切れてくれません。
土はトロトロの泥になっていて、塊りとして扱えません。
桑切鎌を使って、深い所で、根茎を切って、ジョレンで泥を掻き寄せることはできました。
しかし、根茎を抜き取っておかないと、直ぐに、芽を出して来そうです。







繁茂したミヤマシラスゲの根元に、アズマヒキガエルがいました。
丸見えになっているのに、まだ目覚めていないのでしょうか、動こうとしませんでした。


気温が異常に高くなったので、孵化したばかりのアズマヒキガエルのために、 昨日、3/26(水)に、上の田圃の水涸れ補修を行いました
湿地地区の状態把握ができたので、上の田圃の水面が広がってくれたかどうか、田圃の水の状態を見に行きましたが、上の段も、下の段も、充分な水が溜まっていました。
対応策は正解だったようです。



湿地地区に戻りました。




2004年に、初めて、田圃再生活動を行いました。
それは、泥の中からチゴザサの根茎を取り出して、水域を広げる活動でした。
トウゴクヘラオモダカを優先させたいと思う水辺の部分は、田圃づくりと同じように、ミヤマシラスゲの根茎を切り出して、 田圃の土が水面と同じか、泥面が僅かに出るぐらいの状態をつくる攪乱を試そうと思います。
また、トウゴクヘラオモダカの種子は軽くて、簡単に、水面を流れてしまうので、降雨時などに流れ出さないように工夫しなければならないと思います。
次回からの具体的な活動方法が見えたように思います。
後は、体力次第でしょうか。


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