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水環境調査


日時 2010/7/24(土)12:00〜15:00 晴
場所 生田緑地の谷戸
参加者 岩田臣生、岩田芳美

昨夜、少しだけ雨が降りましたが、降雨量は僅かでした。 湧水の流量が極めて少なくなっています。 その状態を記録しておくことも大切と思い、水環境調査をすることにしました。
生田緑地の雑木林はニイニイゼミの蝉時雨が煩いくらいです。樹木の根元には羽化殻がついています。

生田緑地サマーミュージアムに奥の池の外来生物調査をイベントに仕立てて行うことにしましたが、全市的な広報には載せてもらえず、子どもたちにとっては忙しい土曜日ということもあってか、なかなか参加希望者が集まりません。
今の子どもたちにとって、池の中に入って生き物を探し、自分で捕まえるという機会は滅多に無く、そんな経験をさせてあげたいと考えましたが、当日たまたま来園した子どもたちが参加できるプログラムを追加することにしました。池の外で、外来生物について勉強したり、実際に手にとって観察したりして、夏休みの自由研究の手がかりを得てもらうというプログラムです。
地域の生物多様性保全のためには、子どもたちに外来生物というものについての正しい理解と関心を持ってもらうことが大切です。
ということで、自分たちでできる広報を追加しようということで、奥の池にもポスターを出すことにしました。
奥の池に様々な生き物を放す人たちは、この辺りによく来る人たちです。現地に、こんな貼り紙をしておくことは、一つのメッセージになるかも知れないと思います。


ポスター貼りを終えてから、水環境調査を行うために北側の谷戸へ行きました。

谷戸の水辺には、どこも、オオシオカラトンボ♂がいました。 何故か、飛んできて体に止まる個体もいます。

ヤブミョウガの白い花も咲き始め、 ノカンゾウのオレンジ色が緑に映えています。
夏の陽差しが照りつける草地には、あれだけ苛めたにも関わらず、カナムグラが元気に広がっていました。

マメコガネもあちこちで観察されます。
私たちが問題にする外来生物は北米原産が多いのですが、このマメコガネは日本から北米に渡って問題を起している北米にとっての外来生物です。


調査地点K(ヨシ原の池)は水温が39.5℃もあり、手を入れると露天風呂のようでした。
PHもBTB試薬ではカバーできず、PR試薬を用いて 8.1 を記録しました。
プランクトンも多く、濁りもあり、透視度は 9cmまで落ちていました。
先日観察されたホトケドジョウは、もういないでしょう。 やはり、流れ込みの無い止水域はビオトープにするのは難しいようです。 ただ、前年までのように水が涸れるという事態は免れていますので、湿地全体には水が供給されているようです。
調査地点B(ヨシ原に近い水流)は広い範囲から集水されているのか、問題はありませんでした。

調査地点A(下の田圃裏の水流)の流量は非常に少なくなっていて、流量は0.07 L/sec. でした。
ただ、流量が少ないものの、他の数値は問題ありませんでした。
周辺のヨシの葉の上に、テラウチウンカ?のクロバネ型、中間型が並んでいました。 体長は6mm程度と極めて小さく、翅の黒いタイプのテラウチウンカは夏にだけ出現するそうです。 ヨシの葉についたゴミとしか思えないようなものが、よく見るとウンカの仲間だったりします。

上の田圃の下の段は水が干上がっていました。
排水口の堰の下に、アメリカザリガニが大きな穴を開けていました。 一応、応急的に塞ぎましたが、スコップを持ってきて、補修しなければなりません。

上の田圃の上空では10匹程度のオオシオカラトンボが縄張り争いをしていましたが、良く見ると、これにクロスジギンヤンマが加わっていました。 更に観察していると、オニヤンマが、この争いに加わってきましたが、直ぐに外れて、園路脇のヨシに止まりました。 写真を撮ってくれと言わんばかりでしたので、撮影させてもらいました。
オニヤンマは、こんな風にぶら下がる形で止まります。

調査地点H(上の田圃への導水路)の水量も減って、0.06L/sec.となっていました。
パイプの上の流れの水深が浅く、サワガニホトケドジョウがいるためか、透視度は低いことが多い場所です。
暑さのせいで、作業時間が普段の1.5〜2.0倍かかっています。

調査地点G(湿地再生地末端の池)では水温が 32.5℃になっていました。田圃も30℃を超えますから、止水域としては少し高いという程度だと思います。 しかし、黒くて短い繊維状の藻のようなものが蔓延っていて、望ましい状態にあるとは思えません。 浮遊物が多くて水深が浅いため、くみ上げた水の透視度は 35cmでした。
湿地の中の水流が途中で消えていることを改善しないといけません。 前回の活動で一段目の池までは水が入るようになっていました。 その続きの作業が必要です。 草は、また一段と高く伸びています。

調査地点C(ハンノキ林上の池)は、水色が黄色味を帯びて濁っていました。
水温は 26.5℃と、湧水の流れ込みがあるにも関わらず高くなっています。
透視度は 15cmでした。子どもたちがザリガニ採りした影響が残っているのでしょうか。
PHは中性を示しています。
湧水の流出量が少なくなっているために水質が変化し始めているようです。


水環境調査(2010/7/24)
地点 地点 気温 水温 透視度 PH 流水量
ヨシ原の池 35℃ 39.5℃ 9cm PR 8.1  
ヨシ原付近の水流 34℃ 24℃ 100cm BTB7.2 0.23
下の田圃 33℃ 20.0℃ 100cm BTB6.8 0.07
上の田圃導水路 32.5℃ 21.0℃ 45cm BTB7.3 0.06
湿地の池 34.0℃ 32.5℃ 35cm PR7.3  
ハンノキ林上の池 34.0℃ 26.5℃ 15cm BTB7.0  


生田緑地の谷戸で気温が 34℃というのは大変な暑さです。 湧水量が少ないために止水域への影響は大きいものとなっています。 水域がつながっていて、水温の高いところもあれば低いところもあるという状態にしておかないといけないと思います。
帰りは途中、木陰で休憩することになりました。 暑さが応えます。

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特定非営利活動法人かわさき自然調査団
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