里山の自然学校2020 第 4 回 夜の昆虫観察


里山の自然学校2020
第 4 回《夜の昆虫観察》

※新型コロナ感染流行のため、第1回春の里山を中止しましたので、今年度は回がずれています。
【2020/7/28 更新】

日時 2020年7月26日(日) 16:00〜21:00 曇一時小雨
場所 生田緑地
参加者 里山の自然学校 2 年生  5 名
       畠山夏昊 (小学 6 年生 1 名)
       佐藤朝陽、佐藤天音、軸丸朝咲、原田天雅(小学 5 年生 4 名)
     里山の自然学校1年生  5 名
       佐藤弥里(小学 5 年生 1 名)
       加藤帆乃果、玉木 遥、橋本怜奈、房安弘太郎(小学 4 年生 4 名)
                              10 名
事務局・講師 岩田臣生、岩田芳美、工藤思由          3 名
水田ビオトープ班からの応援 岩渕裕輝
総勢  14 名

今年は開催日の変更が多発すると思い、毎回、ML里山の自然学校で連絡を取り合って行っています。
5/31 の田植え6/7 のヤゴの救出作戦6/21 のホタル観察、そして今回の夜の昆虫観察は里山の自然学校の活動のハイライトだと思っています。
7/19(日)が雨天予報だったため、1 週間延期しましたが、所により、時々雨の天気予報のため不安な朝を迎えましたが、昨夜の雨が上がって、丹沢山塊が姿を現していましたので、 変更なく開催することにしました。

14:30 頃に着いた生田緑地は、大粒の雨が降り出したところで、傘も持たずに、急いで帰る来園者が大勢いて、不安が蘇りました。
集合時間よりだいぶ早く来園したのは、用意したカブトムシ・トラップを設置するためです。
大都市の市街地の中の都市公園の雑木林では、心無い虫屋の破壊行為によって、樹液レストランは長期間の営業ができずに、枯れて無くなってしまいます。
ただ、植生管理としては、カブトムシなどの棲息には配慮していますので、カブトムシ・トラップを使えば、集まったカブトムシ等に出会えるはずです。
雨が降る中、6 ヶ所ほどのコナラに設置し、「昆虫調査中」の札をつけて、連絡先を明示しました。

集合時間間際に生田緑地整備事務所裏に戻りましたが、まだ降り止まなかったので、少しだけ雨宿りのつもりで、生田緑地市民活動室を使わせてもらいました。
こうした急場の使用を認めてくれるのは大変助かります。
室内活動は予定していませんでしたが、プールのヤゴの救出作戦で救出して、自宅で飼育した結果を報告してもらいました。
その結果は、羽化させたギンヤンマは 15、羽化失敗したギンヤンマは 3、
羽化させたシオカラトンボは 16、失敗したシオカラトンボは 9、
羽化させたアカトンボは 13、失敗したアカトンボは 5 でした。
報告をボードに書き出したところで雨が止みましたので、フィールドに出ることにしました。

今年は、第 1 回「春の里山」を中止しましたので、里山の自然学校 1 年生は初めての里山観察です。
雨上がりの雑木林からは、ニイニイゼミの声が響いていました。

濡れた階段は滑り易くなっていました。

ツル性木本のハンショウヅルの実を観察しました。
川崎が標本原産地であるタマノカンアオイ、 大きな葉を広げているアオイスミレなどを観察しました。

陸生巻貝のアズキガイを観察しました。

ハエドクソウが咲いていました。
ハエ取り紙は、もう見られなくなりましたので、今の子どもたちにハエ取り紙を説明することは困難でした。
ヤブミョウガの花が実に移りつつありました。
ヒグラシの声も聞こえてきました。
2〜3cm 大の赤褐色のカミキリムシを見つけましたが、振り返って、カミキリがいるよと言っている間に逃げられてしまいました。

暗くなる前に、集合写真を撮りたいというので、園路上に並んで撮影しました。

綺麗なミスジマイマイがいました。
巻貝の右巻き、左巻きの見方について学習しました。

エゴノキの実がなっていました。
ウバユリが咲いていました。
シュレーゲルアオガエル幼体が見つかりました。
シュレーゲルアオガエル
梅畑広場には水溜まりが通行を阻んでいましたが、子どもたちは端を歩いてくれました。

稲の苗は育っていましたが、日照不足は明らかでした。
クサギの花が咲きそうになっていました。
クサギカメムシが見つかりました。

下の田圃地区のノカンゾウが咲いていました。
ノカンゾウは、ユリ科ワスレグサ属だったのですが、ワスレグサ属はススキノキ科に変わり、更に、ツルボラン科に変わっていましたので、もう、ユリの仲間とは言えなくなっていました。
ただ、ワスレグサというのは、ノカンゾウやヤブカンゾウを、古くから、和須礼久佐(わすれぐさ)と和歌などに詠んで、親しんでいたためのようですから、 この谷戸で、ツリフネソウなどと共に、保護するのは意味のあることだと思います。

下の田圃の苗も育っていて、狭苦しそうに、混みあった状態になっていました。

アケビの実を観察しましたが、アケビを知らない子が普通になっていることが分かりました。

戸隠不動尊跡で、集合写真を撮りました。

コウガイビルが見つかりました。
ミミズやナメクジを体外消化して、栄養を吸収する生物ですが、庭にいるから知っているという子がいました。

雑木林の中のコナラに設置したばかりのカブトムシ・トラップも見に行きました。

翅を持たない昆虫であるイシノミがいましたが、小さくて、すばやいので、観察は困難でした。


芝生広場の地面は濡れていましたが、個別にレジャーシートを敷いて、夕方のお弁当を食べました。
岩田と岩渕は、急いで、弁当を済ませて、ライトトラップの準備のため、事務所裏に向かいました。
生田緑地整備事務所裏には、指定管理者の遠藤さんが帰らずに待っていてくれて、ライトトラップの設営を手伝ってくれました。
セッティングを終えたと思ったら、バラバラと雨が落ちてきて、慌てて、ランプに傘を差したのですが、それをガムテープで固定して、終了時まで使うことにしました。
雨粒が落ちてきそうな時のライト・トラップは、初めてでした。

夕食を終えて上ってきた子どもたちは、なんと!、ハクビシンに出会いました。
また、カブトムシ・トラップに集まったカナブンも観察しました。 カナブンは活動開始時間が早いようです。

ライト・トラップのセッティングを済ませてから、見張り番を岩田芳美に任せて、皆で、ニイニイゼミの羽化を観察に行きました。

ニイニイゼミの羽化は時間がかかります。
関心のある子は、別の機会に、自分で観察してもらうことにして、この日の観察は、ニイニイゼミがどんな場所で羽化するのかを知ってもらうことで済ませて、別のカブトムシ・トラップを見に行きました。

最後に、メイン・アクティビティーのライト・トラップ観察に向かいました。

ライト・トラップの途中で、一番近くのカブトムシ・トラップも見に行きました。

ライト・トラップに戻って、片付けの準備を始めました。


ライト・トラップをしている間に、数回、雨が降りましたが、ランプに傘をかけていたので、無事に調査はできました。
飛来した昆虫の個体数は少なかったのですが、常連のコフキコガネを始め、クロカミキリ、ウスバカミキリ(メス)、キシタバ、クワコ、シモフリスズメなど、多数の昆虫が飛来しました。
クロカミキリは、マツ、スギ、ヒノキなどの針葉樹の伐倒木で見られるカミキリムシで、県内では丹沢で普通のカミキリムシです。
ウスバカミキリは、生田緑地のライト・トラップの常連ですので見慣れていましたが、雌は初めて見ましたので、ウスバカミキリに似ているけれども、違うようにも感じました。 そのため、現場では、聞かれても分からないと答えていました。 メスが棲息していることが確認できたという意味で、嬉しい観察でした。
クワコも、幼虫は見ていますが、成虫は初めての出会いでした。
その他、カブトムシ、カナブン、スジコガネ、オオスジコガネ、サクラコガネ、アオドウガネ、数種のコメツキムシなどの甲虫、 アミガサハゴロモ、その他のカメムシの仲間、 フジロアツバ、ツマキシャチホコ、ウスイロギンモンシャチホコ、その他の蛾の仲間が飛来しました。

(上)コフキコガネ

(上)クロカミキリ

(上)ウスバカミキリ(メス)

(上)クリアナアキゾウムシ

(上)シート前を飛び回った後、ペンチの所で、動かなくなったキシタバ

(上)クワコ成虫

(上)シモフリスズメ

ライトトラップの近くには、コアシダカグモが来ていました。


解散して、西口、東口に送り、ライト・トラップを片づけました。

以上

里山の自然学校のスタートページ

特定非営利活動法人かわさき自然調査団
Kawasaki Organization for Nature Research and Conservation